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目次にもどる2002.7

「らしさ」の喪失 

 かなり前、ニュースで『ジェンダー』について取り上げており、ある評論家が「男の子らしく、女の子らしくなどと言う考え方はおかしい」ということを、熱く語っていた。視点を変えてみると、いろいろな場面で「らしさ」がなくなっている現実に突き当たる。その一端が通勤電車だった。
 最近、通勤時に「サラリーマンらしい」男性会社員や、「OLらしい」女性会社員を見かけることが少なくなったのだ。
私が学生の頃まで「サラリーマン」と言えば、スーツ・ネクタイ・ドレスシューズ・アタッシェなどのカッチリとしたビジネスバッグというスタイルが一般的だった。
ところが最近ではスーツは着ているが、大きなカジュアルショルダーを斜め掛けしている人が増えている。以前はそれが大きいリュックだった。リュックもショルダーもオフ=遊びの時に持つバッグであり、オン=仕事の時に持っていたら失礼に当たるとされていたはずだが、今では40歳過ぎの中堅会社員の方まで平気で持っている。
 一方OLさんは、スーツ・パンプス・ショルダーバッグというのが定番スタイルだったと思う。それが最近ではジーンズ、裸足にサンダルというスタイルも普通で、バッグも大きめのトートが主流になっている。
このように「社会人らしい」スタイルが喪失している今、通勤用として提案する商品を、見直さざるを得ない状況になってきている。また逆に「どういうスタイルにしたら、どういうバッグを持てば良いのか」が分からなくなっている人も増えているようだ。
実際、今年のリクルート商戦があまり良くなかったという話も聞く。
「らしさ」が無くなった今、違った意味で「指標」が求められているのではないか、という気がした。
ただ、毎日Tシャツ・ジーンズ姿の私が言っても、説得力がないけどね…。