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目次にもどる2002.9

【バッグマーケットの謎】 

インポートの5割が有名ブランド。並行輸入の3割が偽物というデータも

 日光猿軍団と日本猿軍団は先日和解となったが、良く似た物や偽物は世界中にあふれている。
ヨーロッパでも最近はノキアの携帯や任天堂の偽造品が多く、CDやカセットの偽造品はEC圏だけで年に4000万枚も出回っており、残念ながら日本のバッグ業界にも紛らわしいものが存在している。
知的財産権の権利者から承諾をえないで製造された物品、いわゆる偽物は関税定率法で輸入できないことになっているが、昨年中に日本の税関で「知的財産権侵害疑義物件」として輸入差し止めされたものが約2800件、100万点。そのうちバッグ類が件数で実に3分の2の約2400件、点数では約8万個あったという。これは外国郵便と商業貨物分で、旅客の手荷物や別送貨物は含まれていない。
税関の検査率は大雑把な推定で4%ぐらいらしいので、仮に25倍すれば偽物バッグの輸入総数は200万個にもなってしまう。
輸入相手国は中国、香港、韓国が主だが、イタリアからの輸入でも差止物件が急増している。ルイ・ヴィトインジャパンによる消費者アンケートでも偽物を所有している人が約1割あった。
それでも一時は並行輸入の8割と言われた偽物比率も、現在は3割程度まで減少したようだ。
バッグに限らないが、警察白書によると、偽物は日本の年間犯罪200万件のうち、約1万件あり、1500人が検挙されている。事件としてマスコミに出るのはそのごく一部なのだ。
偽物が蔓延しもうかる背景には、もちろん日本人のブランド好きがある。日本のバッグマーケットは年間9000億円ほどと推定されているが、そのうち有名ブランドのシェアは、正規販売分と並行輸入、海外旅行での購入を合計すると4000億円を超え、実にマーケットの半分を占めている。
ちなみに「ルイ・ヴィトン」の日本人の購入本数累計は、財布類を含めると4000万個という試算もあり、国民3人当たり1個「ルイ・ヴィトン」を持っている計算になる。