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目次にもどる2002.10

【業界用語の不思議】 

消費者には浸透させない バッグ業界の不思議な符丁


数年前、「イカリュック」が一世風靡したことを覚えているだろうか。ヒットアイテムとなった「プラダ」のナイロンリュックがいろんなブランドでどんどん変貌していき、その結果、ミセス中心にロングセラーとなったアイテム群である。かぶせがイカの頭、フォルムもまさに「イカ」であった。
それにしてもこの絶妙な(!)ネーミング、誰が最初に言ったのだろう。あっという間にバッグ業界に浸透してしまった。こんな不思議な用語がバッグ業界にはまだまだある。そのフォルムからつけられた「胃袋ショルダー」、「おにぎりリュック」、最近ではワンショルダーを「忍者バッグ」なんていったりする。
共通するのはバッグの用語事典には掲載されない陰の業界用語であることと、なんともトホホ感が漂う点だ。胃袋ショルダーなんて「三日月ショルダー」といえばおしゃれな感じだと思うのだが、「胃袋」が共通用語なのだ。
とはいえ、こうした用語はユーザー(消費者)は知らない(知らせられない?)用語でもある。つまり業界内だけで通じる符丁みたいなもの?
 符丁といえば「ゾッキ」という用語もそう。革のみで仕立てられたバッグを「革ゾッキ」という。この「ゾッキ」という言葉がどこからきたのか、ちゃんと知って使っている業界人は少ないのではないか。もともとは繊維用語で「絹ゾッキ」や「ゾッキサポート」などストッキング業界で使われているものが、バッグ業界でも使われるようになったようだ。ところが「ナイロンゾッキ」「帆布ゾッキ」など繊維素材では使わない、これもまたバッグ業界の不思議用語である。
 「ピギーバック(ケース)」は一般ユーザーにも広く浸透している。しかしなぜ子ブタなのか。ネットで調べてみたが「機内持込みができる小型のキャスター付きケース」とあるだけで、その由来まではわからなかった。
そこでエース(株)の販売サービス課に問い合わせてみた。返ってきた明快な答えいわく「ピギーバックはアメリカのサムソナイト社が命名したもので、由来はズングリムックリとした形で可愛い子ブタをイメージできるから、と聞いております」とのこと。なるほど。やっぱりそうだったのか。しかし子ブタって日本以上にアメリカでは愛らしい存在のようだ。