|
今月の記事 ピックアップ | 2005.3 | |||||||||||
|
華やかな色で季節感を表現するものに移行 |
||||||||||
アジアリング・川崎 智枝 | ||||||||||
台頭する新メンズマーケット ここ最近、「メトロセクシュアル」という言葉がメディアで頻繁に登場している。女性と同様にファッションや美容に投資し、「見られること」に目覚めた20〜30代のおしゃれな男性たちをこう呼んでいる。レディス市場が飽和する中、新たなターゲットとして注目されている。 この春夏はメンズバッグ業界でも、こういった男性たちを意識した商材が見られるようになった。キーワードは「大人(30代以上にも支持)」「高級感(素材・クオリティー)」「シーズン性」。メンズバッグにありがちな黒くて硬いイメージから、季節感の取り入れた華やかな色を提案するなど「メンズの既成概念を覆すアイテム」が増えてきたことに注目したい。 |
||||||||||
まず。企画担当者の声から紹介する。 「今期はメンズビジネスにも、色や素材の奥行きを持たせた。リネン素材を5色で展開し、オレンジ・サックス・オフ白など明るい色を差し込んだ」(トーリン「ラガシャ」中村さん)。 「黒が基調だったシリーズに今期は思い切って真っ白を提案してみた。意外にも売場からの評判が良く驚いている」(青木「コンプレックスガーデン」飯塚さん)。 「ソフトな衣料革を使い、ダーク×ビビッドカラーというスポーティーなカラーコンビに挑戦。革ゾッキではあまりない色だが、ポップな雰囲気をあえてメンズに取り入れた」(井野屋「マスターピース」冨士松さん)。 「レディスも意識したビジネストートで、ストライプ柄や色コンビにトライした。ベージュ×赤、グリーン×キャメルなど、アースカラーとビビッド配色の提案です」(東京ラゲージ「カンザン」塩谷さん)。 このように、今春夏はレディス同様に色が重要なシーズン。特に白やブライト系など、メンズではタブー視されていたカラーを取り入れるブランドが増えている。 去年の春はメンズに白モカスリッポンが大ヒットした経歴もあるので、今年はバッグでのブレイクは確実。ブライト系ならベージュ、カーキ、ライトグレーなどから始めると売場でも抵抗がない。 |
||||||||||
|
||||||||||
05春夏のファッション傾向はナチュラル&エスニック。メンズでもそのテイストを意識したラインナップが見られ、異素材の加工バリエーションが充実したシーズン。 「備長炭染めやロウ引き帆布など、独自素材を開発。その生地を使った大人も持てるカジュアルなダッフルボストンが人気」(バギーポート・池上さん)。 「今春のいち押しは麻。オリジナルで織ってもらったインポートのアイリッシュリネンを使用。シワ感のイメージが強い麻をビジネスシーンで持てるようかっちり仕立てにしたことがポイント」(井野屋)。 「グレンチェック、オールドストライプ柄のコットン地を使い、鞄職人にかっちり仕立ててもらったシリーズを提案。また別注品ではあるが定番型に大胆なプッチ柄も取り入れた」(トーリン)。 もちろん革の提案もメンズでは重要なファクターだ。 「馬革をロウ引きした後に洗いをかけて、しっとりした風合いを出すなど、様々な独自の加工法を試みた。パーツも工業系のものを付属させ、ソフト感とハードのバランスの面白さを狙っている」(ディヴィジョン零「ナシモ」山田さん)。 「帆布のブリーフにあえてぶ厚い本ヌメを付属に使ってみた。力強さと上品さの両方を表現」(青木「ガザ」)。 レディス同様にメンズでもラムなどのソフト系や、クロコやパイソンなどエキゾチック素材も意識されるようになった。中途半端でない明確なテイストを持ったアイテムが支持される。 |
||||||||||
|
||||||||||
|
||||||||||
「バッグウォッチング」のページに見られるように、最近の仕事スタイルではスーツ、カジュアル共に「ブリーフ」人気が上昇中。「ブリーフ=ビジネス」という考え方が変化し、カジュアルとの境界線があいまいになっている。 「ポイントは『ビジカジ』ではなく『カジビジ』。白化風加工でしっとりした質感のキップなどを使って、セレクトショップのスタッフが持てるような「カジビジ」を提案した」(バギーポート)。 「機能は必要最小限、まずは洋服とのマッチングがビジネスアイテムにも大切。鏡の前で合わせてもらい、スタイリングとリンクすることを重要視している。もちろん女性にも使って欲しい」(ディヴィジョン零)。 客層が限定されていたアイテムを、新しい客層に向けて再提案する動きも見られる。 「ボストンやショルダーに代わって、今シーズンはさまざまなシーンでも持てるような大人なリュックを提案したい」(井野屋)。 「素揚げの牛革をワックス仕上げした、オンにも使える革ゾッキのショルダーを提案した。メンズに舟形ショルダーは新鮮だと思う」(トーリン)。 「アダルト需要が高かったクラッチを、ソフト革を使ってビョウを打ち、幅広い客層が持てるアイテムに昇華した」(東京ラゲージ)。 |
||||||||||
|
||||||||||
メンズバッグもシーズン提案を これまでメンズバッグは年に一つ買えば充分と思われていた。だが今後はシーズン性やファッション傾向の変化によって、年に2、3本買ってもらえる提案が不可欠であり、その需要に対応できる商品提案も出てきている。このため、売場提案においても、年間を通して黒茶ばかりではなく、女性客やカップルが入っても楽しめる工夫がますます必要になってくる。 |