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特集 |
米国の最大手靴チェーンのペイレス・シューソースが昨年11月に日本1号店を出店、7ヶ月が過ぎた。現状のスタイルが日本に受け入れられるのか。 MD、売り方、接客などから検証した。 さらに今後、日本でどのような展開を目指すのか、インタビューした。 |
ペイレス・シューソース・ジャパン且謦役副社長 広瀬陽一郎氏 | |
「靴市場の裾野を広げるために日本に進出した。 共存共栄の精神で伸ばしたい」 |
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かねてから、上陸の噂があった全米ナンバーワンの靴チェーンが昨年11月、千葉・船橋市に1号店をオープンした。ペイレスは日本の靴市場の中で靴事業をどのように位置付け、今後どう店舗展開して行くのか、現場責任者の広瀬氏に聞いた。 |
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●企業買収によるシェア拡大は考えていない ――(編集部)日本市場のポテンシャリティー(潜在力)について、どのように見ているか。 広瀬 日本は靴に限らず、世界第2位の経済大国。われわれは、中国や欧州を狙う足がかりとして日本進出してきたわけではない。 ――日本の靴市場は専門店のシェアが減少し、市場規模も縮小傾向にあるが。 広瀬 消費者の好みが多様化しているため、靴専門店に限らず、さまざまな業態の店で購入されている。市場の多様化により、進出へのハードルは低くなっている。 ――ペイレスは、なぜ双日(旧ニチメン)と提携に踏み切ったのか。また、出資比率はどうなっているか。 広瀬 先方(ペイレス)には世界一の小売業を目指すという大方針があり、双日へのオファーはきわめて真摯だった。取り組みのスタート時には、経営者同士の信頼関係や夢の共有があったようだ。出資比率はペイレスが過半だが、数字は公表できない。 ――進出に際して日本の靴小売チェーンを買収する案はなかったか。 広瀬 検討すらしなかった。米国では、最近は融和的買収を模索する傾向にあるが、それでも企業買収により、従業員の心を一つにまとめるのは非常に難しい。 米国のペイレスは日本市場や靴業界事情にも通じていない。そんな中、お金の力や市場支配力にものを言わせても上手くいかない。 今後靴市場も変わっていく。提携によりお互いが伸びていく可能性があるのであれば、中長期的にまったく買収がないとは断言できないが。 ●快適性を重視し、1号店の売場は米国の2倍に ――1号店の売場面積は、米国の平均的なペイレスの約2倍だが。 広瀬 ベビーカーやカートなどが通りやすいよう考慮し、子供の遊ぶスペースを設け、店頭の左右にレジをつけた結果、おのずと広くなった。採算性も大事だが、安全面や快適性などを重視した。 また、ららぽーとは構造上、柱が太く場所を取っている。2号店以降はあれだけの面積は必要ないだろう。70〜80坪が妥当かと見ているが、お客の好みをまだ読みきれていないので未定だ。 家賃は米国の大都市もそれなりに高いが、日本は非常に高い。米国ではコストダウンや固定費の見直しで、大幅に改善されて業績が良くなっている。 続きは本誌に。購入はこちら |
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前田喜昭 | ||
SPAシステムが力を発揮する米国チェーン | ||
――量販専門店とGMSがライバルになる | ||
北米大陸に5000店を展開する世界最大の靴チェーン、ペイレスシューソースが千葉・船橋市にわが国1号店をオープンしてから7ヵ月ばかり。 業界の評価は必ずしも高くはないが、内部からのアナウンスでは予定通りの順調な業績と聞く。もっとも進出して日も浅く、まだ万事試行錯誤の段階ということで、売上高などの数字は一切公表されていない。 とにかく1号店を1年間営業してみて、その翌年(06年)に5店舗の出店を予定しているということで、わが国への進攻はウォルマートと同じようにじっくりと腰を据えてかかる腹づもりのようだ。 本格的な海外の靴チェーンの業態とそれを迎えたわが国消費者の反応について、その一端をのぞいてみるのも大いに興趣のわくところ。なんといっても5000店。その気になれば学ぶところはいくらでもあるはずだ。 ただし、同社にかかわる数字面、および将来計画などについての言及はほとんど筆者の乱暴な推定。従ってあくまで参考に止めておいて欲しい。なお、同チェーンの経営戦略や商品などのディテールについては編集部による取材記事を参照されたい。 ターゲットはファミリー 同チェーン店の基本コンセプトは「家族でストレスを感じることなく入ってみようと思えること」で、そのターゲットはファミリー。コアを成すのは35歳女性を軸とした子供が2人いる家族。中心層は20代後半?30代前半の家族連れ。靴消費の量的ニーズと意欲は高いものの、決してぜいたくは許されない。従ってリーズナブル価格が最大の購買条件となるクラスだ。 今日、世界のどこの国でも、もちろんわが国でも、売上高でビッグ5ぐらいまでの靴チェーンは「ファミリー」対象の業態。紳士靴などのシングルライナーや、ファッションや特定ブランドなど特殊な好みに偏ったタイプではない。この理屈はアパレルの世界においても共通のものだ。 同チェーンが今後わが国で店舗展開をしていくに当たり、強力なライバルになるのは同じファミリー狙いということで、シュープラザやニューステップなど量販型専門店とGMSの靴売場ということになる。 なかなかの激戦区。それだけこのファミリー層のマーケットは大きいということができるのであろう。 ただ今日、わが国を筆頭にこの層の人口が減少しつつある問題が横たわっている。今後この問題に対するに同チェーンは、そのターゲットの年齢幅を拡幅するか、あるいは現在の層に向けて新しいファッションや新しい機能を追加販売していくか…興味が尽きないところだ。 全米マーケットシェア15% 同チェーンの現在の年間靴販売量は2億1000万足。それは全米靴消費の6足に1足の割でマーケットシェアは15%強。ちなみにわが国のチヨダの場合、金額によるシェア計算であるが10%弱。 同チェーンの高シェアを支えているのは(1)米に張り巡らされた5000の店舗網 (2)市場ボリュームゾーン以下クラスの圧倒的な品ぞろえ (3)中国でのSPA(製造小売)方式による割安な値付け (4)品質に対する消費者の信頼感、といったところであろう。 ところで、マーケットシェアに関して同チェーンでは、わが国やEUのチェーンではちょっと見られない現象がある。それはどの所得レベルにおいても一定の割合でペイレスシューソースが買われていることだ。 世帯年収1万5000ドル未満の最貧層から10万ドル超の富裕層まで、そのマーケットシェアはいずれも10%以上で、最多所得層(5万〜7・5万ドル未満)では23・5%。すでに4足に1足の世界に入っている。 所得の高低にかかわらずそれぞれのクラスに一定割合が買われているということは、すでに価格を超えた品質や機能が市場で認知されているということである。 極端な例だが、わが国ダイソーなど100円ショップの商品、あるいはユニクロの低価格衣料、いずれも近年では所得階層の高低に関係なく、買い求められている。 続きは本誌に。購入はこちら
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