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ライフスタイルバッグの開発現場
ジャーナリスト 三田村蕗子 |
(カロッセ)
バッグのTPOニーズを目指し、常に新鮮な定番でリピーターを獲得
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時代背景を感じさせるシンプル&ベーシック
ドイツ語で「馬車」を意味するカロッセは、1987年に産声をあげた。「エンドユーザーに近い位置でバッグを開発し、直に提供したい」と、カロッセ(東京・渋谷区)の遠藤亨社長が立ち上げたブランドだ。
遠藤社長はそれまでは大手問屋のOEMバッグを扱っていたが、企画・製造から販売までトータルで手掛けるカロッセのスタートとともに、事業内容は二本立てになった。それも現在は牛革については100%カロッセだけとなっている。
コンセプトについて、遠藤社長はこう話す。
「生活や社会の上でなにがしかのこだわりや価値観を持つ女性を想定し、本当の女性を感じさせるバッグを作っています。洋服にもTPOがあるように、バッグにおけるTPOを確立したいと考えました」。
カロッセの特徴の一つは、シンプルかつベーシックでありながらも、時代背景に基づいたモノ作りを志向していることだ。一つのイメージを中心に置き、その時代のトレンドやファッションを微妙なさじ加減で取り入れる。この方針は、スタート時からまったく変わっていない。
「自分たちのイメージとお客様のイメージとが食い違うことはよくある。無理に枠を作らない方が、面白いモノができるんです」と話すのは、企画を担当する伊東龍孝さんだ。
ボディコンシャスなファッションが一斉を風靡したバブル期に投入した箱形のフォーマルなバッグは、「枠を作らない」カロッセの一例だ。フォーマルなファッションにふさわしいこのバッグは好評を博し、コンスタントの売上げを記録した。
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