今月の記事・ピックアップ 2007・12
 HOME > フットウエアプレス > シューケアQ&A
シューケアQ&A

靴売場の販売員が消費者からよく質問される、革靴のお手入れについての項目をまとめた。それらの質問への回答例を紹介する。(回答協力=エス・アイザックス商会・鳥井田浩一部長、彩革の匠・安富好雄代表)

 ※回答は一例であり、製品の素材や状態により異なる場合もあります


 スムースレザーと起毛レザー(ベロア、ヌバック)の手入れ方法の違いは?

 スムースレザー、起毛レザーどちらも、使用前に防水スプレーをかけておきます。防水スプレーは、スムースレザーと起毛レザーとでは異なりますので、その素材専用のものを使うことをおすすめします。
スムースレザーは、新しいうちは着色力の低い「コロニルウォーターストップクリーム」などを使います。クリームをほんの少量つけて全体に伸ばし、きれいな布で乾拭きします。古くなってきたら、だんだん着色力のある靴クリームを使用するとよいでしょう。
 また、起毛レザーはブラッシングが基本になります。ドライタイプの汚れには生ゴムブラシで汚れをとります。部分的なドライタイプの頑固な汚れにはスウェードクリーナー(砂消し)やソフトガム(消しゴム)を使います。油汚れには泡タイプのスプレー剤で汚れを落とし、乾いた後にブラッシングし、最後に起毛専用の防水スプレーをかけます。デリケートなヌバックはとくに慎重に扱うようにしましょう。


 アニリンレザーやハ虫類など高級素材の手入れ方法は?

 アニリン塗料で仕上げたアニリンレザー、ハ虫類の高級素材も、まず使用前に防水スプレーをかけておきましょう。
アニリンレザーは通常の油性クリームやぬるだけの手軽なクリームは革の風合いを損ねやすいので、不向きです。「コロニルプレミアムシリーズクリーム」や「コロニルウォーターストップクリーム」など、デリケート素材用のクリームをおすすめします。ほんの少量つけて全体に伸ばし、きれいな布で乾拭きします。
 ハ虫類系はエキゾチックレザー用のスプレーを吹き付け、その後、きれいな布で乾拭きします。


 最近多いダメージレザーの手入れ方法は?

 ダメージレザーの場合、靴クリームをぬって手入れをすればするほど、ダメージ感が消えてしまいます。防水スプレーを吹いての手入れがよいでしょう。ときどき革の保湿性を持たせる意図で栄養分を補給することをおすすめします。「コロニルディアマンテ」などの栄養クリームをぬって、自然な雰囲気を保つようにしましょう。


 雨の日、急に濡れてしまった後の手入れは?

 大雨で靴全体が濡れた場合、シミの心配はありません。そのまま陰干して乾いたらシューキーパーもしくは新聞紙を丸めて詰め込み、外から押さえて形を整えます。問題は部分的な雨ジミです。濡れたところと乾いているところの接点をなくすことがポイント。タオルを硬めに絞り靴全体を水拭きして均一に濡らします。
しつこいシミはタオルで押さえ込むように繰り返すと効果的。ただシミ抜きできるのは、水拭きした時に薄黒く水が染み込む革だけに限ります。表面を防水加工している水が染み込みにくい革は、シミ抜きできませんので注意してください。


 カビが生えてしまった靴を再生させる方法は?

 時間の経過で革の奥まで浸透した黒カビは除去できませんが、初期段階の粉状の白カビであれば取り除けます。最初に乾いた布でカビをよく払い落とし(水拭きは厳禁)、靴用の除菌消臭スプレーを吹きかけます。消臭スプレーは市販されているエタノール(アルコール)配合が有効です。カビ菌は死滅するまで時間が掛かるので、最低でも1〜2日、できれば1週間程度風通しの良い場所に保管しておきます。その後、通常の手入れをすれば完了です。


 乳化性クリームと油性クリームの違いは?

 乳化性クリームはワックス、油、水の3成分を乳化剤で混合したもの。革を柔らかくしツヤを出す保湿・保革性、着色性に優れています。油性クリームはワックスと油で構成され、水は入っていません。この点で乳化性よりも防水性に優れていますが、使い続けると革が硬くなり色も薄くなる場合があり、革に栄養を与える乳化性との併用が望ましいです。
市販されているものでは、乳化性がビン入りやチューブ入り、油性は平缶入りなので店頭でも見分けがつきます。




続きは本誌に