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(コケット) 素材からオリジナルにこだわるレトロかわいいバッグ 趣味の布バッグが一流バイヤーに評価 JR御徒町駅から歩いて5分弱。喧噪な春日通りから1本入ると、赤い壁の色が印象的な小さなショップが目に飛び込んでくる。林きょうこさんが立ち上げたブランド「コケット」(HP)の直営店だ。 代官山のオシャレな雑貨店を思わせる18坪の店内に並ぶのは、鳥かごやバレリーナ、バンビ、リボンといったモチーフをアレンジしたバッグや小物類。メルヘンから抜け出したような昔懐かしい少女好みのモチーフではあるが、少女趣味のバッグとはまったく違う。キュートなアイテムが、独自のセンスで大人の粋な感覚にあふれた現代的なバッグに仕立て上げられている。 そんなチャーミングなコケットの始まりは、「手作りの布のバッグ」だった。10数年前、趣味として布のバッグを作っていた林さんは、仕事でニューヨークに出かけた時、お手製の布バッグを持参。ヘンリベンデルを始めとする現地の一流セレクトショップのバイヤーからバッグを高く評価され、「この道でやっていけるかも」という自信を得たという。その後、知り合いが運営する代官山のセレクトショップにバッグを置かせてもらったところ、反響が高く、林さんはバッグ作りの道へと進んでいく。 勤めていた化粧品会社を退社後、バッグのデザインを習うと同時に、アパレル業界についての知識を得ようと学校に通った林さんは、やがて実践的なバッグ作りの教室にも足を運び始めた。そして、ある結論に達したという。 「パターンや縫製はプロに任せて、自分はデザインに徹しようと考えました。ただし、素材はすべてオリジナル。私が素材を作り、デザインを担当する。これは小規模なブランドだからこそできることなんです」。 バッグの学校を卒業後、林さんはあるバッグ会社にアシスタントデザイナーとして勤め始めたが、ファッション分野の若いクリエイターの創業を支援する施設、台東デザイナーズビレッジに誘われ、1年で退社。入居条件が「事業主であること」だったため、コケットを立ち上げた。04年6月のことである。 収納力を確保しつつ “小顔”に見えるよう工夫 コケットの個性を林さんは次のように語る。 「毎日持つバッグじゃなくていい。とっておきの機会に『あ、あのバッグを持っていこう』と思ってもらえるような、持つ人の気持ちを高揚させ浮き立たせる。そんなバッグを目指しています」。 加工を施してあえて少しくったりと見せたり、色あせたように演出した革に王冠や鳥かごといったモチーフが踊るバッグは、「お出かけ」というちょっぴりレトロな言葉がふさわしい。とはいえ、機能性を重視していないわけでは決してない。 「A4サイズが入ると大きくうたうのは好きじゃない。実際は収納力があって機能的だけど、そう見えない。正面から見て『小顔』に見えるバッグにしたいんです」 革でできた鳥かごのモチーフと小鳥がポイントの、定番「鳥かご・バッグ」はその好例だ。A4サイズの書類や雑誌が縦にも横にも入るほどの収納力を誇るが、正方形に近いバランスなので大きくは見えない。たっぷりと取ってあるマチの部分がウエストのくぼみにすっと馴染むラインで、持ち姿のシルエットが美しく見える。こうしたきめ細かい配慮と工夫が、目の肥えた30代〜40代の女性に支持されているのだろう。 中心価格は3万円〜5万円。鳥かごシリーズを始め、コケットのラインナップには廃版は少なく、長く継続しているシリーズが大半を占める。独特の口金を用いたがま口のバッグは立ち上げ当時からのロングセラーだ。ピッグスキンに、細かくクラッシュさせた箔を載せ、エナメルコーティングし、アクセントとして取り外し可能な大きめリボンを付けたエナメル・リボンバッグも根強い人気が続いている。 続きは本誌に |
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