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売場の三つ星ブランド

キーン
(伊藤忠ホームファッション) 
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“ハイブリッドフットウエア”という新分野を創出。
パフォーマンス性高いアウトドアの一般化を狙う

 2003年に米国オレゴン州で生まれ、翌年日本に上陸。06年から伊藤忠ホームファッション(HF)が日本販売総代理店をつとめている「キーン」が快進撃を続けている。  キーンのデビューを華々しく飾ったのが創業モデルの「ニューポート」だ。靴とサンダル、機能とデザインを融合させた同モデルはハイブリッドフットウエアという新カテゴリーを創出し、低価格化し沈滞していた米国のサンダルマーケットを活性化した。  この創業モデルに見るように、キーンの人気の秘密はパフォーマンス性の高いアウトドアシューズを一般化し、ファッションの領域に近づけている点にある。足入れが良く、アッパーとフットヘッド、靴紐の色の組み合わせも繊細でスマート。デザイン性が高い。「アウトドアを一般化するのがキーンの狙い。日本市場では、アウトドアファン以外にも訴求しないと成長できません」(営業第3部152課チーム長・高木雅樹さん)  日本市場に合わせて、製品の約半数は色や素材を変更した日本規格。米国では姿を消した「ヨギ」や「ジャスパー」も、コラボや外部デザイナーを起用して新作を送りだし、人気を集めている。トレッキングブーツ「ピレニーズ」も好調で、「スカートにもあわせやすい」と店に入荷するや完売の状態だ。

社会貢献活動も人気支える要素に  
現在、靴はSKU(最小管理在庫単位)で約200。中心価格は春夏9000円。秋冬は1万3000円。販路は靴専門店が2割、スポーツやアウトドア専門店が5割、セレクトショップが2割、残りが通販や百貨店だ。「靴専門店からの問い合わせが少ないことに驚いた。キーンを理解し、じっくり売ってくれる専門店を増やしたい」(高木さん)。  カテゴリーはアウトドアとカジュアル(BLVD)の2本立て。アウトドアは、創業モデルの流れを組むトレイルヘッドと、水辺で使用するウォーターフロントに二分され、売上げ比率はトレイルヘッド3割、ウォーターフロント4割、BLVDが3割。売上げは絶好調そのもので、昨年は前年比135%を達成。今年も130%増の見込みだ。 

社会貢献活動や環境問題への取り組みも好調を支える要素。09年12月には、ホームレスを支援する団体ビッグイシュージャパンと手を組み、ホームレスが雑誌ビッグイシュー販売時に使用するバッグを提供した。
商品陳列時に使用する什器も、多くが廃材や段ボールの再利用品だ。「社会貢献にも熱心で、面白い活動を展開しているオシャレで機能的なブランド」というキーンファンの熱いコミュニティが形成されつつある。  (ジャーナリスト・三田村蕗子)