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渡辺孝二(コミュニケーションデザイン) |
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マルチカテゴリーコンセプトストアの新業態 ナイキは8月6日、新業態Nike Brands Experience Store(ナイキ・ブランド・エクスペリエンス・ストア=以下NBES)第1号店を、サンタモニカ(カリフォルニア州ロサンゼルス)にできたモール、サンタモニカ・プレイスに出店した。 NBESは業態としてはマルチカテゴリーコンセプトストアで、ナイキタウンと類似したコンセプトである。両売場は表面的には似ているが、ナイキタウンのように売場がカテゴリー別にコーナー化されていないところが違う。さらにナイキタウンには無いカスタマイズシステムの「NIKEiD」コーナーや、ナイキが運営するスポーツ版SNS「Nike+ Run Club」、アクションスポーツの「Stoked Club」などが開設されている。 サンタモニカ店はナイキにとって10年ぶりの新型メガストアの開発となった。ここでは、ストアの性格をデジタルステーションと位置付け、プロダクトはNIKEiDによるカスタマイズを前面に打ち出すという新しい販売スタイルを試みている。 新店はチームカスタマイズサービス、プロダクト・トライアル(新モデル試着)、モデルチューンナップなどの新サービスも導入している。いずれもナイキ・ストアでトライアルしてきたことを総合化して売場に導入したものであるが、NBESはそれらの新プロダクトと新サービスの集大成になっている。 NBESはナイキとカスタマーがデザインアイディア、チューンナップデータを共有して、カスタムメードのプロダクトを作ってゆくステーションである。ナイキはそれを個人からチームにも広げ、新しいスポーツショップを開発しようとしているのである。
店舗周辺の消費者をスポーツを通じ結びつける NBESのもう一つの重要な機能は、店頭で「Nike+ Run Club」メンバー加入、イベント参加受付ができることである。店舗はランニングクラブの受付窓口を兼ねていて、店舗周辺(ローカルコミュニティ)のランナーは、コーチングスタッフのアドバイス(アスリート・サービング・アスリート)も受けられる。クラブは土曜日にレ―スを開催し、申し込めば誰でも参加できる。またメンバーが保有しているNIKE+(ランニングデータ)の走行データはアイパッドやアイフォーン経由で、店頭でアップロード出来る。 「Nike+ Run Club」は表面的にはナイキのランニングビジネスの再構築を目指す試みにみえるが、実際にはランナーだけでなく、ローカルコミュニティのあらゆる消費者を、スポーツを通じてナイキと結び付ける窓口(ステーション)の役割を果たす。ランニングはきっかけの一つに過ぎないのである。 初のランニング・スタジアムを目指す「ナイキ・ランニング」 ナイキは5月1日、初のランニング専門店をスタンフォードショッピングセンター(カリフォルニア州パロアルト)にオープンした。 ストアはランニング、トレーニング、スポーツウエア売場と、「Nike+ Run Club」、「Runners Studio」を統合したスペースになっている。ナイキは同店をランナーのハブに位置付け、アスリートがスタジアムでトレーニングするように、ランナーが集まるスタジアムとして運営する。このため販売だけでなく、サービス機能も強化した新タイプのストアとして開発されている。オープニングに合わせて4月30から5月8日にかけて、オリンピック選手やセレブを招待してインストアイベント、ランニングイベントを開催した。 新店はランニング専用フットウエアモデルやアパレルはもちろん販売しているが、ランナーのためのスタジオ、ロッカールーム、パーソナルアドバイスなどの機能を備えている。特に重視されているのは「Nike+ Run Club」の受付窓口機能とイベント運営である。クラブ加入、グループラン開催(毎週土曜日)、Nike+ のデジタルチェック機能などを備えている。 ランニングショップはナイキが運営しているランナー向けのウエッブサイトNike+ の小売りバージョンで、ウエッブではできないプロダクト・トライアル、テストラン、モデルチューンナップなどが店頭でできるところが違うくらいである。ナイキランニングショップはデジタルネットワークの情報を生かして、店頭のNIKEiD端末で発注したカスタマイズモデルを購入させることができる。 ナイキは過去10年間開発した小売りフォーマットでことごとく失敗して来た。最新2業態はトゥィーンズ向け業態で、ナイキが最も苦手としている消費者が対象である。この2業態が成功しないとナイキの将来はかなり厳しくなる。 「ナイキ・ランニング」(スタンフォードショッピングセンター内) |
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