復興応援グッズプロジェクトで全国の人とつながる
株式会社ナカガワ(創業昭和21年)は、仙台を代表する老舗バッグ店である。これまでさまざまな新業態を立ち上げ、斬新な店舗開発においては業界内でも常に一目置かれる存在だ。
現在は、仙台一番町にある「フラッグショップ ナカガワ」をはじめ、「ワードバッグ長町モール店」、「盛岡イオンモール店」、「KURACHIKA店」の4店舗を運営している。
「生まれも育ちも仙台」という営業部長の熊沢良一さんに、震災直後からの“復興応援プロジェクト”のお話しを伺った。
震災直後から動き始めたプロジェクト
2011年3月11日の震災の日。この「ナカガワ」も例外なく大きな揺れにみまわれ、店舗の2階部分が損壊する被害となった。
震災後の混乱の中で何とか店を開けると、取引先や知り合いから数多くの商品や救援物資が送られてきた。ご自身も被災された中、数多くの支援を受けたことを経て『これをいつか何らかの形でお返ししたい』という気持ちになったという。
「単にお返しの品を送って…というのではなく、出来ればこちらからの“メッセージ”を伝える形にしたかった。そこで“東北魂”とプリントした革巻きのボールペンとレザーポーチを、メーカーさんの協力を得て作成し、各1,000円で販売して一部を義援金に充てました。」
この試みが4月中旬に「河北新報」の夕刊で採り上げられたことをきっかけに、一気に市民の間へと広まった。支援のお礼にグッズを贈りたいという方や、まとめ買いをする方も多かった。
そして5月には東北放送、仙台放送のTV番組にも出演。そこから全国へと拡散し更に認知度が高まった。
フェイスブックへのアップで多くの人から反響が
半年が経過すると社会全体も落ち着きを取り戻し、チャリティ機運も少しづつトーンダウンしてきた。けれどもナカガワの復興応援グッズは“続けていくことが支援”とばかりに根気強く継続されていく。
メーカーの協力を得て、以下のようにアイテムが拡大した。
【第一期】
●革巻きボールペン(石井)
●レザーポーチ(石井)
●薄マチ革トート(ライト・ウィズアウト・ヒート)
●革ポーチ(ボーデッサン)
【第二期】
●ランチバッグ(アンビリオン)
●エコバッグ(フルニシ)
●革バッグ×ポーチ(ドアン)
【第三期】
●革キーホルダー、コースター、バングル(ライト・ウィズアウト・ヒート)
メッセージ性は、復興が進むにつれて少しづつ明るくポップに変化。ランチバッグに載せた「Imagine for Sendai」のロゴデザインは、熊沢さんの知り合いのデザイナーにお願いした。
「これだけでなく、企画まで進んだが商品化されなかったものももちろんあります。陰には多くの協力がありました。
第三期のグッズ販売は震災から1年後。ライト・ウィズアウト・ヒートさんからの提案で、カラフルなレザーキーホルダーを500個作成しました。今回は店頭販売だけでなくフェイスブック上にアップして反応を見ることにしました。」
すると、仙台のみならず全国の友人達から大きな反響があった。恐らくずっと気になってはいたけれど、義援金というアクションではなく「キーホルダーを買うこと」によって支援に携わりたいと思っていた人が多かったのではないか、と熊沢さんは感じたという。
フェイスブックを使えば、遠く離れていても買った人とやりとりも出来る。中には「このキーホルダーでモテました!」というユニークな感想を書き込んだ人も出てきて口コミが生まれ、更にその友人たちへと拡散していった。結果的に500個がすべて完売。
グッズを通じて“楽しみながら支援に繋がる”、“人との縁を取り持つ”ことが重要なのではないかと熊沢さんは感じている。
震災から一年半あまりが経ったが被災地は未だ復興の道半ばだ。「フラッグショップナカガワ」では、現在もレジ横に「もっと復興!」のポスターと共に“チャリティグッズコーナー”を設け、引き続き販売をしている。
今後のアイテムは「まだ検討段階」とのことだが、ナカガワの復興応援はこれからも続いていく。根気強く被災地に寄りそう老舗の姿に、熊沢さんの仰る「東北魂」が見える。
フラッグショップナカガワ
宮城県仙台市青葉区一番町4-2-17
Tel:022-222-5357 |
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