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機運高まるエコロジー素材
 


出展社、来場者は平年並み

 2013〜14年秋冬素材見本市「リネアペッレ」が、10月9日から3日間の日程でイタリア・ボローニャ見本市会場にて開催された。出展社は前年同時期とほぼ同様の1120社(イタリア760社、国外360社)。内訳はタンナー543社、アクセサリー・コンポーネント437社、ノン・レザー117社、デザイナー・学校14社、その他(プレスなど)9社となった。来場者数は、100カ国・2万人とほぼ平年並み。
 全体の出展社数は昨年とほぼ変わりないが、タンナー企業の数が今回も11社減少している。会場内でもブースを縮小したタンナーも見受けられ、引き続き厳しい状況は続いているようだ。
 植物タンニンなめしを扱うレザータンナー、ラ・ブレターニャ社では、靴・バック企業のほかにインテリア企業のクライアントも抱え、最近ではヨットの内装を手がけるなど新しい活路を見出しており、時代性に合ったフレキシブルな対応で安定した業績を残している。
 

素材傾向

豊富な加工レザー

 「スエードに加工された革が多く、靴メーカーがいやがりそうだが、値段は抑えられる」とは、会場内で会った某デザイナーのコメント。3年に一度ぐらいの周期で、加工レザーが多く提案される時期があるが、今シーズンはどうもその周期に当たるようだ。エレガンス系では、グリッターやエナメル調の仕上げが引き続き人気。ブロケード風はアクセサリーも含めた人気デザイン。
 一方で、「地球環境に優しく」というマインドが高まっており、エコロジー素材の提案も注目される。その代表といえば植物タンニンなめしレザーだが、「ナチュラルセンセーション」を仕かけるサンタクローチェの植物タンニンなめしレザー組合に加入する企業は、いずれも順調な業績をあげている。今回は各国のデザイン学校から選抜した学生10人が各企業の革を使った作品をそれぞれのブース内に展示、来場者に投票させるというコンペを行って植物タンニンなめしレザーをPRした。




 

北欧の空を彷彿させる中間色のバリエーション

 「北欧の明るさと透明感」「温もり」「くすんだ中間色」が、展示会が発表したトレンド提案。温かみのあるマロンやオレンジがかったブラウン、ダークレッドは秋冬の人気定番カラーになりつつある。
 今回は北欧をイメージさせる明るいグレイッシュなカラートーンがある一方で、くすんだトーンも提案されている。黒のなかにさりげなく色を見せる手法も見逃せない。





人気のブロケード、注目のエスニック

 エナメル調のつや感、グリッターのシャイニー感を施した素材は根強い人気。ファッション系企業を多くクライアントに持つFM社では、つや感がさらに進化したメタル調が人気だという。
 デザインでは、アクセサリーでも提案されているブロケード風が好調だ。エレガンス系のシチェルプ社では千鳥格子が人気のデザイン。同じエレガンス系のステファニア社では、シープのファーを新しく提案しており、デザイナーたちが注目しているという。メッシュを得意とするクエリダ社では、エスニックカラーのメッシュが人気で、エスニック感覚の素材は今後も注目だ。








コルク、リサイクルなど多彩な商品群

 エコロジー素材は植物タンニンレザーやコルクやラバーなど自然素材が提案されており、どのブースでも来場者で賑わっていた。
 ポルトガルのコルクメーカーはコルクを使用したさまざまなコレクションをブースに展示、来場者の注目を集めていた。実際、コルクはファッション系ブランドでアッパーのデザインに使用するなど、活用の幅が広がっている。
 ソールのヴィブラム社では、15年ほど前から30%リサイクルを使用した「エコステップ」を提案しており、商品ラインのひとつとなっている。
 今回、最も注目されたのは日本から出展した「PORTIERRA」(ポルティエラ)。化学薬品を一切使わないエコ・フリーレザーである。とくに真っ白に仕上げられたいわゆる「白なめし革」は、貴重とあって多くの来場者から反応があった。
 同商品をオーガナイズしたIFB・三木文夫社長は、「白なめし革」発祥の地である姫路・たつの市の出身。レザー事業をスタートした10年前から企画、紆余曲折を経て今回の出展に至った。
 「2007年にリネアペッレに出展しましたが、そのときは生産背景がなく引き合いが来ても商売には結びつきませんでした」と三木社長。今回は姫路やバングラディシュのタンナーと結び、生産背景ができたので、本格的に始動した。
 「環境問題を考えた希少な日本の白なめし革を世に広めること以外に、他国で現地の人の雇用も考えています。エチオピアにこの技術を提携することを提案しています」と社会貢献にも積極的だ。




温かみのあるカラートーン、人気のシャイニー

 ファブリックでもカラートレンドの流れはレザーと同様、温かみを感じさせるブラウン系のカラートーン、グレーやグリーンなどの中間色が提案されている。老舗のファブリック企業アルマンド・サッカル社では、金糸で施したクロコダイルやヒョウ柄が人気。ファブリックでもシャイニー感ははずせないようだ。


変わり目に来たトウライン

 「しばらく続いた丸いトウラインからスクエアへ変化しています」と語るのは、有名ブランドの靴型を数多く手がけるエンゾ社。スマートでエレガントなスクエアトウが新しい流れだ。
 底周りのボリューム感は継続している。透明、ベルベッド調のウエッジソール、ファーやウールが施されたストーム入りヒールとウォーム素材がプラスされ、温かみのあるボリューム感だ。フォークロアを感じさせるウッド調ソールにも注目。
 ヴィブラムソールは、生地をゴムに配合し、グリップ性をより向上させた新製品を発表している。ファッションのみならず、機能性を常に追求したコレクションがさらに充実した。
 アクセサリーでは革でも人気のブロケードが登場し、くすんだ色合いでチェーンやフラワーデザインを提案している。