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7月13日(土)晴
横浜・都筑区は1998年からの10年で大型SCが次々と建設され、SC(ショッピングセンター)の激戦区となっている。最初に2007年の開業から6年が経過し、リニューアルがほぼ完了したららぽーと横浜へ。ららぽーと横浜は、ラゾーナ川崎プラザ、ららぽーと豊洲に次ぐ実績をあげている。
 開業時、1〜3Fには10店の靴店が並んでいたが、現在も営業しているのはウォッシュ、ABCマート、クラークス、リーガルの4店だけで、1Fの5店はすべて退店している。その原因は商圏の見誤りと動線計画の失敗と思われる。
 1Fの3店舗は、オープン以降の出店である。アルテミスbyダイアナはセントラルコートに面していて、セール価格は6000〜1万円。エコーは東西モールをつなぐ間で、コーチの向かい、バナナリパブリックの隣である。前回の探訪時は西モールに出店していたが、今回はこの場所に移動している。外部のセントラルガーデンに面したクロックス専門店famは一見難しそうな場所だが、お客が入っている。
 2Fへ。ウォッシュは左がメンズだが、スピングルムーブ、パトリック、マカロニアンなどのスニーカーが目立つ。右はレディスでラボキゴシやマナス、タタミなど。2足以上買上げでさらに10%オフ。お客がついていそうだ。チャールズ&キースはシンガポールのレディス雑貨ブランドで、日本ではオンワード樫山が運営し、今年4月に原宿の明治通りに旗艦店を出店している。白と黒でシックにまとまった内装は高級感があり、5000円台の価格帯がとても安く感じられる。靴以上にバッグの品ぞろえも豊富である。向かいのジェリービーンズはセール価格20%、30%オフが多く、裾値は3150円。キッズ・ベビーゾーンのラグラスマート+キッズはエスペランサの店で、左がレディス、右が子供である。子供は全品10%オフ、子供用のバッグ、傘も扱っている。レディスは3990円が多い。子供ゾーンなだけに、レディスの動きはどうだろう?
 3Fへ。ABCマートはららぽーと内で圧倒的な存在感。セントラルコートに面したクラークスのセールは30%オフ、9500〜1万2000円の価格帯が多い。隣接するリーガルシューズもセール価格は30%オフ。3店とも実績を残していそうだ。
ノースコートに面したビルケンシュトックは人目を引くディスプレイで、間口の狭さをカバーしている。卸展開より、ショップのほうが好調そうだ。同じくノースコートに面したマーレマーレ・デイリーマーケットは、セールは10%、20%、30%オフ。カヌーサンダル、トウがボリュームのあるオリジナルスニーカー、モーブス、アドミラル、トッパーで面白さを演出している。
これらの専門店が今の日本を代表していると三井不動産は考えているのだろう。

テナントの変化大きい港北東急百貨店SC

 港北ニュータウンに向かう。横浜市営地下鉄センター南駅すぐの港北東急百貨店SCは、今回が4回目の探訪である。
今回もテナントの動きがあり、ドクターショールは退店、アカクラとエスペランサ・アウトレットは閉店セール中。2Fにはシューズラウンジがオープンしているが、セシルマクビーアウトレットの後で、アウトレットとしての集客力は失われつつある。
1Fのディリダリーは雑貨と靴を混ぜた業態で、バッグ、レインシューズも扱う。SC内でも屈指の好立地で客が入っている。アカクラは閉店セール中であり、70〜30%オフ。ディリダリーのような好立地だったら、営業を継続できたのにと思う。クエスト神戸は販売員1名で対応している。
 2Fへ。エスカレーターを上がった横のエスペランサ・アウトレットは7月28日までの閉店セール中。シューズラウンジは今年の4月のオープンで、目立つのはクラークス、ロックポート、ジェオックス、オニツカタイガ、ニューバランス、カリステなどのアウトレット品で、デイパックも扱う。経営しているのはラ・ルールという会社で、本業はアートフラワーサロンの運営と流通関係のコンサルティングである。うまく回転しているのだろうか? ABCマートメガステージは店頭で呼び込みを行っており、お客が入っている。
5FのABCマートは前回のABCマートインターナショナル・シューズ・ギャラリーから店名変更。実際の品ぞろえに合った店名で、好条件で契約していそうだ。8月10日現在109アウトレットは、エスペランサ、フラッグJを含め空床が目立ち、今後大きな改装が予定されていそうである。

センター北で最も集客力があるノースポートモール

 センター北駅へ。モザイクモール港北&都築阪急SCも今回が4回目。最近改装し、百貨店はB1の食品と婦人服・紳士服、身の回り品を扱う1Fだけで、2〜4Fはテナントゾーンに変わっている。この間のテナントの入れ替わりは激しく、ギャップも退店し、靴専門店もその例外ではない。現在は1Fにモーブス、2Fに馬里奈のグリッター、3Fにアキュアーズ、4Fにゲンキキッズという構成。阪急内の婦人靴売場は05年からり縮小され、リーガル、クラークス、オギツ、クロスロード、ヨシト、三鈴が主力。紳士靴はこれしかないのかと思えるほどの売場で、阪急の状況を感じさせられる。
 1Fのモーブスはワンブランドでは難しそうだ。2Fのグリッターは20%オフのセール中だ。3Fのアキュアーズはアシックス商事の経営で、レディス1500、2000、3000円。メンズ3000円が中心で、角店のせいもあり、ララガーデンつくばより雰囲気は出ている。4Fのゲンキキッズは06年にオープンしていた店で、固定客も多そうだ。入れ替わりの多いSCで、競合の少ないゲンキキッズ以外は、どれだけ固定客をつかめるかが課題であろう。
 新しくできた専門店ビルのYOTSUBAKOの中を通り、ノースポートモールへ向かう。靴専門店はクーイスイが抜けている。
アルテミスbyダイアナは、この地域にららぽーと横浜と2店では、自社間の競合が心配だ。ヌォーボはスニーカー25%の構成で、2足以上の買上げ金額6000円以上でさらに10%オフ。出店当時より婦人靴専門店としてまとまっている。4FのABCマートはピーク時間を過ぎたせいか、お客は少なめ。向かいの島店舗が空いており、そこでABCマートベビー&キッズの期間限定ショップを営業している。販売員が不足して、ABCマートから販売員が移動して接客にあたっている。
ノースポートモールは、07年のオープン時に空いていた大型専門店用の区画もすべてうまり、大型専門店+ファッション+飲食という大規模なSCに成長している。地域の買物行動にも合っており、3つのセンター地区のSCの中では最も集客力がある。
都筑区の人口は20万9000人。この人口では2つの百貨店と大丸の食品館が成立するのは難しく、ディベロッパー業への転換や、リニューアルによりグローバルテナントを導入したりして生き残りを図っている。この4つのSCのそれぞれの特徴、客層はかなり異なる。ららぽーと横浜と大型専門店一般専門店のバランスのとれたノースポートモールはいいが、3番店以下は今後もテナントの入れ替わりが続くだろう。出店時には慎重な検討が必要である。