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靴を立ててディスプレイ

9月28日、JR秋葉原〜御徒町駅間の高架下にある商業施設「2k540 アキオカ アルチザン」に、「スピングルムーヴ」のオンリーショップがオープンした。運営母体はスピングルカンパニー(広島・府中市、TEL:0847・41・5609)。同店は、昨年10月に開設した渋谷パルコ店に続き2店舗目となる。

16坪の店内には、約100アイテムを展開。木製の什器を用いて、落ち着いたナチュラルな雰囲気を出しており、ふらっと入店しやすいような空間づくりに努めた。

通常、靴専門店のディスプレイでは靴の側面を見せて置くことが多いが、同店ではあえて靴を立て、“表情が見える”置き方で顧客の視線に入りやすい工夫を行っている。靴の色やデザインなどが顧客に伝わりやすく、比較検討もしやすい。
立地に恵まれ、休日には店内があふれるほどの人気ぶりを見せている。店舗オープンから1ヵ月が過ぎ、店長の丸山真樹さんは「予想を上回る滑り出し。施設内での靴の出店が初めてであることも要因なのでは」と語っている。
この施設はバッグや革小物を中心とした店舗が多いが、日本製のスニーカーを販売しているのは同店のみ。来店客の多くは職人やモノづくりに対して関心を持っており、「広島の自社工場で職人がつくっている」という背景が強みとなっている。
商品ごとの売上げ比率は、「スピングルムーヴ」75%、「スピングルニーマ」15%、「スピングルビズ」10%。ペアニーズで「スピングルムーヴ」が好調のほか、レディスシリーズの「スピングルニーマ」も健闘している。男女比は6対4の割合で、差はほとんどない。女性客が他店よりも多いことも人気要因となっている。

衝動買いを誘う魅力

主力はカンガルー革とオイルレザー。価格は1万6000〜2万円台で、高くてもよいものをはきたいという理由で選ばれている。同店の接客はブランドのよさを伝えるだけでなく、必ず試しばきを行ってもらう。言葉よりも実感してもらうことで、購入へとつながっている。
「顧客から『最初買う気がなかったのに、どうしても欲しくなって購入した』といわれたときは驚きもありましたが、自信を持って商品を提案できると確信しました」と丸山店長はいう。顧客が商品に惹かれ、衝動買いをしたくなる魅力を秘めていると実証されたのである。同店では現在何と約9割近くが新規顧客というから、これから伸びていく可能性は十分にある。
今後はいかにして顧客と密なコミュニケーションを取り、飽きさせない工夫でより多くのファンを獲得するかということが課題となっている。