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 特集 女子力が動かす 

アンケート 女性登用の現状

  雇用、昇進などで男女の差別を無くすことを目指した法律は80年代から制定されていた。90年代には「機会均等法」という名称になり、会社での女性のキャリアアップが話題になった。また最近は政府が女性の社会進出や登用を強力に推し進めている。
靴・バッグ業界では、女性に活躍の場が与えられ、役職への登用がされているのか。また、キャリアアップのための育成体制はあるのか。16社からアンケート回答があった。


1. 女性社員の割合は?

小売は5割を超える58%

全社員の中に、何人の女性社員がいるのか、割合を聞いた。
回答企業の全部の平均は45%。業種・業態別には靴小売58%、靴卸39%、靴メーカー37%、バッグメーカー47%という結果。
靴小売は5割を超えている。この中でも率に差があり、89%から30%の範囲で広がっている。レディス専門店では女性社員の比率が高く、社員数の多い大手チェーンほど低くなっている。
靴卸の女性比率は39%。21%から76%と差があるが、直営店舗や百貨店の派遣などで女性スタッフが欠くことのできない存在となっているよう。
靴メーカーは37%と最も低く、個別でも21〜45%にとどまる。店舗展開をするところもあるが、まだ規模は小さく、企画・製造の要員であろう。
バッグメーカーは47%と靴の卸・メーカーを上回っている。店舗要員よりも企画から営業まで、幅広い配置になっているよう。
靴もバッグもファション産業という点から見れば、女性の雇用はさらに増えるであろうし、その職域も多様化しよう。


2. 社員の平均年齢、女性社員の平均年齢は?

 女性の平均年齢は34.9歳

  とくにメーカーにおいては高齢化がいわれているが、回答企業の実態はどうか。また、女性の平均年齢が高いことは、働く環境がいいことを示しているとも考えられる。
 全体平均では39.2歳。いわれているような高齢化とは程遠い年齢だ。対して女性の平均年齢は34.9歳と全体より5歳ほど若い。
 女性の平均年齢を業種別にみると、靴小売が最も若く、27.8歳。最も高いのが靴メーカーの40.8歳。平均の年齢ではあるが、小売の方が定着率は低く、キャリアアップの環境が、まだ限られているとも言えるが、女性の力を活用し、女性だけで店舗を運営していくような動きも出てきており、これからかもしれない。


3. 女性の課長職以上の人数が、全部の課長職以上の何割?

  3分の1が課長職以上はゼロ

  女性の人材登用の実態を聞いた。
  まず、全課長職以上の人員に対して、女性の課長職以上の割合を聞いた。結果は、36%との回答が最も高く、以下15%、10%、9%と続き、0%という、課長職以上の人はいないという企業は16社中の5社あり、3分の1の企業がまだ女性を役職に就けていない。全体的には小売とバッグメーカーの女性登用の比率は高い傾向に有る。この中でも積極的に登用している企業は、会社の組織自体が女性の力を活用することに目的が置かれている面がある。
 
  役職の内訳は、役員まで登用している企業は5社ある。中小企業においては親族ということもありそうだが、上場企業の中にも役員が女性の会社があり、女性が活躍できる会社になっている。
部長職に女性がついている企業は3社。セグメント化で積極的に多店舗化を進める企業では、部長職への登用も積極的だ。
課長職を置くところは多い。アンケート回答16社中9社が課長職に女性をつけている。この中には、比率としてはまた、10%を切っているものの、グループ全体で人材育成に取り組み、女性の可能性を引き出す取り組みを行っている企業もある。

 小売展開する企業については、女性店長の人数を聞いた。アンケートで集計してみると、女性店長が多いことが分かる。
 大手チェーンでは女性店長の割合は25%までだが、それでも150人ほどの女性店長を抱えている。業態によっては、全店女性店長で固め、初めから店長は女性としている企業もあり、積極的に女性の活躍の場を提供している。



4. 昇進基準、待遇に男性と違いがありますか?

 大半が「同等」、「差別あり」は皆無

  この質問については、回答は同じだった。昇進基準については、「規定はなし」とする企業3社以外は、全て「同等」との回答。
待遇についても2社が「規定なし」とするほかは「同等」という回答。


5. 営業推進のなかで、女性中心のチームはありますか?

 予想以上の成果を上げたチームも

 プロジェクトを推進する上で、女性を中心としたチーム、グループあるいは事業部のような組織があるか聞いた。
 結果は16社中、5社が「ある」との回答。この内容は特集2の事例レポートで紹介しているが、予想以上の成果をあげているチーム・プロジェクトもあり、周りの見方も変わってきている。ここでは女性目線からの取り組みや気配りが、これまでの男性中心の発想にはなかったものとなっている。


6. 社員のキャリアアップのために行っていることは?

 シューフィッターの資格取得も

 会社が女性の戦力化を図るために行っていることを聞いた。
 回答を羅列する。
・登用試験を経て研修、人事異動
・販売・接客のロールプレーイング研修
・会社外部の研修
・シューフィッター資格取得
・短期・長期の目標設定の上での研修、ステップアップ評価
・講演会・異業種交流会への参加
・フォローアップ研修、通信教育講座、次期リーダー育成研修


7. 女子戦力に期待することは?

 女性にしかない感性に期待

 会社として、女性のどんなところに期待するのか、聞いた。
・直感力、柔軟性
・女性目線の店舗展開、商品開発
・商品開発やMD、店舗演出につながる女性ならではのセンス、感性
・ファッションに対する熱意
・男性には不可能な発想、企画力
・顧客の気持ちに沿える女性の意見 
・女性の経験による組織の活性化と、次代のリーダーになること

 回答企業
 靴小売 エービーシー・マート、ジーフット、ジェイ・ビー、テヅカ、三中井、ワシントン靴店 
 靴卸 アマガサ、エスエスケイ、モーダ・クレア、リーガルコーポレーション
 靴メーカー アサヒコーポレーション、エイゾー、ニチマン、マドラス
 バッグメーカー エース、協和