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 女子力が動かす  自主的かつ自在に仕事をこなす10人の女性集団


リード

指示がなくても状況を見て自分で判断

 リードは、15年ほど前からネット販売を展開、楽天に6店舗、ヤフーに3店舗、Qoo10(キューテン、韓国系モール)に2店舗、ポンパレに1店舗の計11店舗を出展している。今年中には自社サイトもオープンする予定だ。商品は靴が95%で、そのほかバッグやスポーツ用品なども販売している。売上げはときに月商2億円を超え、特徴的なことは、3~4割が中国を中心とした海外からの受注が占めている。
 リードのスタッフは12人。うち女性が10人で、仕入れから受注、発送まですべてをこなす。10人の仕事の分担は、ウエブ担当が7人、こん包が3人と分かれているが、こん包作業が終わらなければ、ほかの人が手伝うことが自然にできている。全体の指揮を執っている佐々木朋美マネージャーが、「終わらないから手伝って」と指示することはない。
「大まかな仕事はウエブの制作、受注メール、こん包などと決まっていますが、自分の仕事の合間にこん包や納品、在庫の確認など進んでどんどんやってくれます。こん包資材も準備し、一度に2つも3つも仕事をこなしてくれるのです。来週からセールですよ、とミーティングでいえば、『今週は私がその準備をしなくてはいけないから、ほかのことはお願いね』といわなくても、みんな動いて、こちらに仕事が集中しないように気を使ってくれるのです」(佐々木朋美マネージャー)
まさに、「あうんの呼吸」である。10人の女性スタッフは、社員3人、パート7人で構成されるが、区別は全くない。一人ひとりが「どうすれば効率が上がるか」を考え、自主的に行動する。

60代から20代までさまざまな立場の人が共に働く

仕事の流れを見ながら、その協力体制を見てみよう。
まず、出勤すると各サイトから受注データを落とし込み、商品をピッキングしている間にメールを送る。このとき伝票をつくるカスタマー担当と受注担当が連絡を密にし、「○○さんキャンセル」「○○さん変更あり」と発注内容を確認、間違えないようにする。キャンセルしたのに「受注しました」というメールを送ってしまうと、クレームになりかねないので、協力してチェックしているのだ。外国のメール対応も、翻訳ソフトを駆使しテンプレートを工夫して対応する。これも担当者が自分で考案した方法だ。
朝のピッキングが終わらなければ誰かが手伝う。午後には入荷商品がどっと入ってくるが、これらを2階の事務所まで運び上げるのも女子たちだ。全員が仕事全体の流れに気を配り、「自分の仕事だけ全うすればいい」と考えることなく、チームとして一つの有機体のように自然に動く。
3人のメンバーに話を聞いた。
吉野美加さんはウエブデザイナーで、まだ入社2年目の24歳。ページの中にバナーを置き、お客を誘導する仕掛けをつくる。
「商品に同梱するチラシをつくっています。チラシの企画やイベントの企画など、どんどん提案して、やらせてもらっています。自分のやりたいことが現実になって、本当にやりがいがあります」(吉野さん)。
浅井とし子さんは60代で、同社がまだ実店舗中心の経営をしていたころからの社員だ。担当はウエブページをつくることで、写真撮影して加工、ページにアップし編集するまでの作業を行っている。社歴20数年のベテランだ。
「この年齢になって、ウエブの仕事ができること自体がありがたい。新しい商品がどんどん入ってきて、その画像処理をしていくのは自分の作品を制作しているようで、楽しいです。キレイに撮影できれば、愛着もわいてきます」(浅井さん)。
和工田美穂さんは30代。小学生と幼稚園に通う、3人の子供がいる。入社6年目、カスタマー担当で、返品・返金の処理をする。もう一人のカスタマー担当と交代でメールにも対応している。
「小さい子供がいる中で、融通をきかせて働けるのは魅力です。『子供の具合が悪い』と電話がかかってきて、早退しなくてはならないこともあるのですが、周囲の理解があるので助かっています」(和工田さん)

自然に生まれた有能なチーム

年代もさまざまで立場もさまざまな、しかし有能なこの10人のチームはどのようにして生まれたのだろうか。
「それがよくわからないのです。人数が減って、一人でできることは限られているため、自然にこのような形になったと思います。それに、当社の山屋潤代表が女性に対して理解があることも、一つの要因です。言いたいことが言える雰囲気があるのです。『こういうメールが来たけれど、どうしましょうか』『こう工夫したいのですが、どうでしょうか』など、何でも相談できるのです」(佐々木マネージャー)。
自主性を重んじ、それぞれに責任を持たせることによって自然に優れたチームワークが生まれた。それがリードの女性チームである。


リード
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