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特定非営利活動法人・日本皮革技術協会は、2月9日、東京・千代田区の東京国際フォーラムで「革・革製品の基礎・応用知識講習会」を開催した。この講習会は15年間に全国主要都市で30回以上開催されてきたもので、東京で開かれるのは2年ぶり。受講対象者は営業・販売・製造・加工・企画・開発・品質管理・メンテナンス・クラフトなど、皮革に関心のある人々で、皮革に関する知識と理解を深めることを目的としている。皮革への関心の高さを反映してか、定員の100名は募集が開始されるとすぐに満席となった。 同講習会に参加した経済産業省・紙業服飾品課の水上定課長補佐は、開催に当たって「この講習会は、すぐに定員オーバーになったと聞いています。若い方々がいらしていてうれしいです。日本の皮革の生産量は1990年をピークにして下がり続けています。タンナーの数もピーク時の4分の1、5分の1となっています。その一方で、輸入は増え続けています。その中で差別化していくためには、エコレザーが重要なツールとなります。エコレザーを始めて5年になりますが、ここ2〜3年申請数が減っています。PR不足もあるかもしれません。日本の消費者は、安心・安全に高い関心を持っています。いかにエコレザーをPRするかが大切です」と述べた。 国産皮革を救うエコレザー講習は10時から17時までほぼ1日かけておこなわれた。内容は大きく分けて3つ。まず、午前中は日本皮革技術協会理事長・杉田正見氏が映像による解説も交えながら、「革の製造法、革の歴史、革の種類、革の特徴、エコレザーの必要性を学ぶ」というタイトルで講義を行った。革の歴史からひもとき、なめし方の種類、タンニンなめしやクロムなめしの特徴と製法など、皮革に関する包括的な講座だった。 午後は、TFLジャパン社長・中村泰久氏が「革の仕上げの一般知識――異なる仕上げを施した革を試料とし、その外観、触覚などを体験しながら仕上げの役割を学ぶ」という講義を行い、種類の多い皮革の仕上げ方法について語った。 さらに、日本皮革技術協会理事・中村蔚氏が、「革特性から見た革の取り扱い・利用の仕方を学ぶ――1革の繊維方向 2吸湿性、熱特性 3カビ・臭気、以上の革特性と環境基準と感性との相互関係を学ぶ」という講義を行った。 皮革の製法、仕上げ、取り扱いの3本の柱で行われた講義だが、その間に全体を3つの班に分け、「“革を親しむ体感講座” 各種なめし革・各種仕上げ革、各種事故事例品などを学ぶ」として、実際の革に触れ、またトラブルを起こした革を見て、理解を深めた。 日本皮革技術協会理事長・杉田正見氏は、なめしの種類・工程について細かく解説をしたのち、エコレザーについて次のように述べている。 「エコレザーは、日本皮革技術協会が基準値をつくりました。こういったホルムアルデヒドなどの物質は、革の中から溶出している値を基準としています。世界にもさまざまな基準値があり、日本はドイツのものを参考にしています。また、7月1日から発がん性のある芳香族アミンに法規制がかかります。衣料や帽子、手袋など身に着けるものが対象で、今のところ靴、バッグは対象外になっています。 現状では国産の革は市場の5%くらいしかなく、使用されている革のほとんどが外国製です。外国製の革の中には、エコレザーの基準に適合していないものも多いのです。日本エコレザーの認定があれば、安心・安全の度合いがアップし、国産皮革の使用量も上がるのではないでしょうか」 皮革に関する製品の知識とともに、市場やエコレザーなど広範な知識を得られた講習会であった。 若い人の革に対する関心は高い講習会を終えての感想を杉田正見理事長に聞いた。「募集人数を上回る人からの応募があり、今回漏れた方は次の機会に優先しますということにしました。最近は若い人の参加が多く、中でも女性が目立ちます。革の良し悪しを判断する知識、能力を身につけてもらいたいと考え、講座を開いていますが、革に対する関心はますます高まっているように思います。 日本の革と輸入革の見分けができるようになれば、日本の革ももっと需要が高まるともいます。もちろんそれに応えられるだけのいい革をつくることが大切ですが、ここで、日本の革の良さを安心・安全の面から認証されている日本エコレザーの革も講座で取り上げています。エコレザーを使った製品がもっと多くなれば、もっと関心が高まると思います」。 |
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