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特集 子供靴の売場づくりと人気商品

市場動向

少子化の中でも伸びる子供靴の販売スニーカー人気で客単価もアップ

5000円台まで広がる価格帯

日本の14歳以下の人口は、2016年現在1600万人。全体の13%を占めるが、35年間連続で減少している。子供靴を展開する靴売場が対象とするのは、小学生までで、この人口よりは少なくなるが、少子化が続くマーケットであることには変わりない。大手チェーンの子供靴の売上げ比率を見ても、1割程度である。しかし、この子供靴の売上げがここ2年ほど、ほかの部門と比べると伸びている。
売場ではこの理由として、少子化を背景とした親御さんの子供靴への関心の高まりと子供靴の客単価アップをあげる。
祖父母を含めた大人の子供靴への関心は、子供の足の健康に向けられ、価格よりも機能性の高い靴に目が向けられている。このことが、単価アップにつながっており、複数買いにもなっている。
子供靴の価格アップは、5000円台のグローバルスニーカーが売れていることもけん引役になっている。また、これまで3000円の壁を越えられなかったコム靴メーカーの商品が、人気ブランドの誕生や円安を背景とした値上がりで、3000円台の商品が売れるようになったことも大きい。この結果、大手チェーン店の子供靴売場では、1000円台から5000円台までと幅広い価格帯で構成できるようになった。

スニーカー、スニーカー調が人気

人気商品も変わってきている。スニーカーが人気なのは子供靴売場に共通すること。これまでジュニアシューズを卒業した層に人気だったグローバルブランドは、キッズ部門でも人気となっている。ゴム靴メーカーの商品も、よりスニーカー感覚になっている。
この流れは女児ジュニアにも影響しており、これまで普段ばきで人気だったサンダルやブーツに代って、スニーカー調のデザインが人気となっている売場もある。また、大人の靴と同じように、機能性に加え、ファッション性を取り込んだ子供靴が求められているという。
キャラクター商品については、「人気キャラクターは売れている」という売場がある一方、「人気キャラクターが誕生しておらず、キャラクターの売上げは下がっている」という売場もあり、見方は2分している。
大手チェーンの各社がPBで取り組む、機能性を備えたリーズナブル商品も売れている。ラストや中底の設計にポイントを置いたはき良い靴のほか、防水性や耐久性のある靴、はき口を広くすることで、はかせやすい靴などだ。
これまで「はかせにくい」「はくのが面倒」ということで敬遠されてきたヒモ靴だが、「最近はヒモ靴の人気がじわじわ高まっている」という売場もある。正しい歩行のためにはヒモ靴のほうがいい、という情報が周知されはじめている。

「ゲンキキッズ」は56店舗に拡大

子供靴への取り組みも変わってきている。
子供靴はベビー、トドラー、キッズ、ジュニアに区分される。企業によって括りのサイズレンジや名前は違うが、ジュニアを主力に、キッズやベビー商品も展開する、というのがこれまでの一般的なMDだった。しかし、少子化の進行やスニーカーブランドの人気で、キッズ部門にも注力する売場が増える傾向にある。
子供靴専門の業態ショップ誕生も見られる。
最初は、コンフォート商品を展開してきたショップが、足の健康を考えた海外の子供靴に特化したショップを誕生させた。市場の子供の足に対する認識の低さや、子供靴の現状を改善したいという思いからの取り組みだった。
大手企業の取り組みでは、ムーンスターが「ゲンキキッズ」を10年前にオープンさせており、現在56店舗にまで多店舗化している。5年前にオープンしたジーフットの「アスビーキッズ」は、現在23店舗あり、新たに「クツラ」業態を開発するなど、子供靴の需要拡大を積極的に進めている。このほか、大手ではエービーシー・マートがキッズスニーカーを主力とした「プレミアキッズ」を展開している。
こうしたショップでは、足型計測器が置かれ、フィッティングなど売場でのコンサルティング販売に役立てているほか、定期的に来店してもらう手段にするなど販促にもつなげている。
しかし、売場のサービスとして、子供の足を計測することをやめている売場もある。計測やそのあとのコンサルティングには時間が取られる。また、足サイズを確認したお客が、そのあとネットで購買するという例も少なくないのが理由だ。
いずれにしても、子供の足サイズを知らない親にとって、計測は有意義なことで、足の健康に関心を持ってもらうことは、購買足数や単価のアップにつながる。