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特集 シューケア&フットケア

 赤い靴 横浜元町本店(横浜・中区)

痛みに合ったインソールを勧める

「赤い靴」では、各種のインソールを扱っている。ことに個々人の足に合ったオーダーインソールには定評がある。方法は2つで、「ディギタイザー」というドイツ製の機器で足の形をパソコンに取り込み、そこから画面上にさまざまなパーツをつけて仕上げていくタイプと、沈み込む素材(シャウム)で足型をとり、液体を流し込んで木型とし、さまざまな素材を組み合わせてこれに合うインソールを製作していくタイプがある。 

「靴本来の中敷きを調整するだけですむ場合もありますが、それだけだと足りない、もっと安定感がほしいという場合は、パーツを足していくと価格も増していくので、フルオーダーのほうが便利かもしれません。当店では、毎年ディギタイザータイプのものを1000足、シャウムタイプを200足くらい製作しています。糖尿病やリュウマチで足の変形が強い場合は、シャウムを使うことが多いですね」(芦沢卓人・店舗統括マネージャー)。

既成のインソールも扱っている。熱可塑性のインソールは、足型をつくって押しつけたり、ドライヤーで部分的に加熱すれば足なりに曲がっていく。裏にパーツをつけてアーチの高さなどを調整できるタイプもある。


接客でお客のニーズとお悩みのレベルを探る

ただし、インソールを入れればすべての靴に対して、100%効果があるというわけではない。ことにエレガントなデザインのレディスシューズは難しい。熱可塑性の薄いインソールもあるが、「パンプスをはいて足が痛くなった」というお悩みをインソールで完全に解消することはできない。

「インソールの効果が出るのは、面ファスナーの甲ベルトがついていて、フィット感がある靴。スリッポンだと土踏まずが高くなっただけで、かかとが浅くなった感じが出てくる。その場合は、パーツを貼って調整しています。はき口が大きくなって、足を見せれば見せるほどおしゃれに見えるのですが、それだけホールド感は減り、インソールとの相性は悪くなります」。

パンプスにとってのインソールは、「パンプスの痛みをどこまで和らげることができるのか」ということと、フィッティングのバランスにある。パンプスは靴の両脇を絞って土踏まずをもち上げている形が多く、さらにアーチホールドをする必要はない。つまりは靴の形によって、異なってくるわけだ。

「どこまでできるか」をわかってもらうこと、そしてお客が何を求めているのかを探っていくのは、コンサルティング的な接客である。
「合う靴がない」「いつも疲れてしまう」と嘆く人がいる。しかし、ホールド感のよいひも靴を勧めると「それではないの」という。
「ファッション的な要素もあるんですね。深刻度が高ければ、足をしっかり支えてくれる靴を選ぶはず。けれども、好きなデザインの中で考えて、『合うものはないのか』探している。その人のほしいデザインで合うものを探している人が多いです」。

インソールの接客で大切なことは、まずお客の問題を整理すること。どのくらい歩くのか、どんなシーンではくのかを聞いて、情報収集する。「痛み」がどのくらい深刻なのか、その痛みのために、これまではいていたパンプスを捨てて、健康靴に変更できるのかを探る。もし、「やはりパンプスがいい」のなら、その条件ものとでインソールでサポートする。

「自分が選んだものだ、ということをわかっていただくようにしています。また、必ずいい面だけではないことをお伝えする。完全に良くなるわけではないからです。お客さまにも、用途によっていろいろな靴があることを知っていただくようにしています」。

ちょっとしたテクニックでインソールもはき心地も変わる

年々インソールは進化し、「もはや出尽くした」感があると、芦沢マネージャーはいう。
 「これからは、精度を高め、差が出る調整をしていくことになるでしょう。医療関係の難しい症状にも対応していきます。インソールはちょっとしたテクニックで変わる。ノウハウを積み上げていきたいです」。
インソールの世界は、実に奥が深い。その範囲は「ちょっと足が痛い」軽度なものから「足が変形して歩けない」重症者にまで及ぶ。赤い靴では高い技術とともに、少しの足の痛みでも解消できるよう、コンサルティング接客を大切にしている。



 バーニッシュ 梅田店(大阪・北区)

書店の中でリラックスできる「靴磨きショップ」展開
2015年5月にオープンした、シューシャインショップ「バーニッシュ梅田店」。大阪・北区のJR大阪駅の「ルクアイーレ」9階に出店する「蔦屋書店」の一角にあるインショップだ。ほかにも雑貨やバッグ、カフェ、ワークショップコーナーなどリラックスできるライフスタイル提案業態として話題になった。
「バーニッシュ」の入口は、おびただしい本を並べた本棚の間にある。店頭のメニュー表もカフェのような雰囲気で、「一体ここは何だろう?」と興味を持った人が何人ものぞきこんでいる。本を探して蔦屋書店に来た人にとって、まさか靴磨きショップが? と物珍しさに入って来る人も少なくない。
大阪・西区本町にある「バーニッシュ」には、同店が提供するハイクオリティな靴磨きを受けたくで、「わざわざ」来店する人がほとんどだが、この梅田店は、「たまたま書店に入ってみたら、靴磨き店もあった」というスタイルで展開している。

アンティーク調な雰囲気を重視

 6坪ほどの店内には、重厚感のある大きなカウンターと、アンティーク調の大きなソファが存在感を発揮している。靴磨きのアイテム以外にも、バッグや時計、グラスといった、こだわりの逸品も多数陳列され、ゆったりとくつろげる雰囲気が演出されている。
靴を磨いている間は、室内履きを貸し出してもらえるので、外の蔦屋書店で気になる本を探したり、カフェでくつろいだりすることもできる。待ち時間も有意義に過ごすことができるのも、ここ梅田店ならではだ。また、テレビなどメディアで取り上げられたこともあり、女性客の利用が多いことも特徴となっている。
「靴磨き」という仕事も徐々に浸透し、取り組んでみたいという若い世代も増えてきているのか、同店もスタッフは若手が多い。
 「店名には、『靴磨きを通じて自分も磨く』というニュアンスも込めました。これからも、『ここで靴を磨いてもらいたい』と思ってもらえるようになりたいですね」と大岡辰徳代表はいう。