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2020年を目の当たりに、東京オリンピックが世間の関心事になっているが、そのあとに来る2025年も間近な問題だ。団塊世代が75歳以上の後期高齢者になる25年問題である。25年以降は、4人に1人、2200万人が75歳以上という、高齢化社会に突入する。 この話題は、すでに15年問題として、団塊世代が65歳になった時から取り上げられており、25年は最終段階である。統計では75歳から79歳が、医療費負担のピークとなり、要介護の対象となるリスクも75歳から増えてくる。この高齢化の進行は、介護・医療といった社会保障の面で負担が大きくなり、問題視されている。 しかし、活動的に動き回るアクティブ・シニア≠ニいわれる人たちも増えることになる。ファッションでも常に新しいものを取り込んできた世代であり、新たなシニア市場の誕生が期待される。 健康とファッションに切り口で売場展開物販でのシニアマーケット開拓も、アクティブ・シニアが主要ターゲットとなる。フランスベッドは、介護ベッドや車椅子など介護用品のレンタル事業を行っているが、並行して小売業態の「リハテックショップ」を展開している。ここでは介護保険を使わない、アクティブ・シニアを対象とした、各種日用品や身の回り品を展開している。靴、ステッキ、ノルディックポール、シルバーカー(手押しカート)といった歩きに必要な用品も主要なアイテムで、歩くことで健康を維持したい≠ニいうシニアを対象に扱っている。 同店では、シルバーを対象とした機能的ではき心地のいい靴として、「メディカルウォーク」などウォーキングシューズと、介護シューズの「快歩主義」を販売している。 GG(グランドジェネレーション)と呼ぶ、60代以上のシニア層をターゲットとするのがイオン葛西店(東京・江戸川区)。ここに出店するグリーンボックスも、アクティブなシニア層を対象に、ウォーキングシューズやスポーティーカジュルを展開すると同時に、介護シューズ「健康得歩」を扱っている。 シニアの顧客が多い京王百貨店新宿店の婦人靴売場は、快適なはき心地の靴ブランドを数多くそろえるゾーンが、同売場の顔となっている。同時にオシャレなデザインも求められており、コンフォート商品のほか、ローファーやバレエシューズに加え、「ニューバランス」のようなスニーカーも扱っている。 靴専門店は、コンフォートシューズを扱うことで、早い段階からシニア層の需要開拓に取り組んできた。東京・巣鴨のアルプスシューズもシニア層を顧客に人気の店舗だ。同店では、コンフォートからウォーキングといった快適にはける街ばきを置き、シニア層の固定客を増やしている。 ウォーキング主力に介護シューズもシニア層に強い売場では、ウォーキングシューズが主力となり、売れ筋もウォーキングが多い。その中でも軽い≠ニいったものが支持されている。また、もっと普段ばきのできるカジュアルシューズとして、ウォーキングタイプも売れている。新しいのは、バレエシューズやスリッポンなど、洋服とのコーディネイトを考えたファッションシューズ。これまでのカラーや素材でのオシャレ感に加え、デザイン性でのファッション性も求められている。また、これまではくことのなかったアスレチック系のスニーカーも、シニアのタウンばきとして求められている。 同じデザインで色や素材違いの複数買いやリピーター需要が見られるのも特徴だ。京王百貨店ではバレエシューズを購入した人の4割が2足買いで、3割の人が後からもう1足違う色の靴を購入しており、カラーや素材を変えての展開は、有効な手段になっている。 足囲サイズのそろえからも、シニア対象では見直す必要がある。グリーンボックス葛西店では、3E〜4Eが好まれるという。リハテックショップでは「快歩主義」で5Eまで在庫を積んでいる。さらに来春から投入される3E〜7Eの商品に期待しており、扱う計画だ。 また、屋外を活動的に歩かない層に向けた介護シューズも、シニア層を対象とした売場では必要なアイテムである。楽な姿勢で脱ぎはぎができる靴、家の中で、あるいは家周りはく靴、さらには車椅子の乗った時にはく靴として、求められている靴である。 ベテラン販売員による接客も有効売場の接客では、各店とも時間を掛けている。リハテックショップでは、足が弱くなって人もいるため、フィッティングのあとに店内を歩いてもらい、歩き方や歩く速度を観察してから販売している。目的買いの来店が多く、「パンツスタイルに合わせる靴は?」などといったコーディネイト相談が寄せられる。ここでは、自分より年齢が上の人とでも会話ができることが求められる。アルプスシューズのように、ベテラン販売員を配置することも有効は手段で、足の悩みなどの相談に乗りながら販売している。 スマートフォンを使った販促が一般的となっているが、シニア層に向けての販促では、まだ新聞広告やハガキによるDMが一般的だ。グリーンボックスは50代以上の層には新聞広告の訴求力が大きいとして、定期的に新聞広告を行っている。京王百貨店は、靴の情報も掲載した販促物を発行しており、郵送で約22万人のカード会員に送っている。アルプスシューズも定期的にDMを発送している。 |
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