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特集 スニーカー通勤

3つのカテゴリーで新たな需要を開拓

10月2日、スポーツ庁は「FUN+WALK PROJECT」と題して、「歩きやすい服装」での通勤を推奨した。具体的にはスニーカーやビジネス・カジュアル、通気性の良いスーツなどでの通勤を推奨した。
2017年5月、全国に先駆けて、福井県ではスニーカーなど歩きやすい靴で通勤・勤務し、仕事で歩く機会を増やす新たな県民運動「スニーカービズ」が始まった。
今回の「スニーカー通勤」推奨は、より歩くことで人々の生活習慣病予防に繋げていくねらいがある。2018年3月から本格導入を決めており、靴売場のMDにも大きな影響を及ぼすことは間違いない。業界でも長期的な取り組みが必要な運動と言える。
今回は「スニーカー通勤」に対応すべき、メンズシューMDの考え方を整理してみよう。


 【カテゴリーの編集】  通勤スタイルをテーマに、既存の品ぞろえを整理

靴業界でも、ウォーキングシューズなど歩きやすい靴の開発は進んでいるが、今回はビジネスシーンではくことができ、ビジネススタイルに提案できる靴を、カテゴリー分けして整理してみる。
大きく分けると、以下の4カテゴリーに分類させる。

 @ アクティブ・スニーカー  コート系スニーカーなど定番を柱にスニーカー

「アクティブ・スニーカー」でまず連想されるのが、通勤スタイルでスポーツシューズを着用すること。普段ばきで馴染みのあるスニーカーを、通勤スタイルでも取り入れて行こうとするもの。すべてのスポーツシューズが該当するが、あえてビジネススタイルと相性の良いカテゴリーを整理すると「クラシックコート」「バルカナイズ」「フューチャースポーツ」「スタイリッシュウォーク」などが挙げられる。多くの専門店では、すでに店頭に並んでいるアイテム群で対応可能といえる。


 A カジュアル・スニーカー  レザースニーカーなどレースアップタイプ

 定番のレザースニーカーを筆頭に、国内外のシューズブランドが打ち出すスポーティーデザインのカジュアル靴を、ビジネススタイルに提案するもの。
最近は、「スリッポンスニーカー」や「ドライビング」などもスポーティーカジュアルとして人気が定着しているが、スニーカー通勤の提案では、カテゴリーを明確にするために、レースアップシューズを基本とし、アウトドアやハードなウォーキングシューズは除外し、ジャケパン(ジャケット+パンツ)スタイルなどに合わせやすいものでくくる。


 Bビジネス・カジュアル  ドレス+機能ソールでスーツでもはける

 スニーカー通勤が騒がれる以前から、「スピングルビズ」や「パトリック」では、“ビジネススニーカー”のカテゴリーを提案。ドレスシューズとスポーツソールを組み合わせ、ジャケットスタイルに合わせられるアイテム群。
ここでは「コールハーン」のゼログライドのように、ドレスシューズとスニーカーのようなハイテクソールを組み合わせた「ハイブリッドドレス」が、「スニーカービズ」でも大きな需要を喚起していく。スーツスタイルでも違和感がなくはけ、外回りの営業や商談シーンでも取り入れ可能だ。




 【シーン別提案】  ビジネススタイル別にカテゴリー提案する

一般ユーザーが何を選べばよいのか? 自分の職種や立場でどこまでのスニーカー通勤がOKなのか? 大きな戸惑いが出てくることが想定させる。
そこで靴売場では、ビジネスシーン別やビジネススタイル別に、どのカテゴリーが適切なのかを明確にしておく必要がある。各カテゴリーのポジションを明確にした上で、お客のビジネススタイルに合わせた提案をチャレンジしていきたい。
スニーカー通勤に対する提案は、すでに靴専門店が扱っている商品群である。しかし、既存の売場では、「スニーカー売場」と「カジュアル売場」、「ビジネス売場」と分けて売場を構成しているのが現状だ。それぞれの売場から、今言われているスニーカー通勤に適したアイテムを再編集し、新しい売場を構築する事が不可欠となる。

※シーン、スタイル別の「スニーカー通勤」のポジションマトリクスは参照

(アジアリング/高橋悟史)