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ミラネーゼ(イタリア・ミラノ人)の邸宅が多い、ヴィンチェンソ・モンティ通りにある「スティヴァレリア・サヴォイア」は、1870年創業の老舗靴店。 店名から察するように、創業者のバリーニ家は、サヴォイア家の騎馬隊用ブーツを作っており、王家がなくなってからもオーダー靴をつくり続けた。しかし、3代続いたファミリービジネスも年々厳しくなり、2004年にナポリの老舗ネクタイメーカー・マリネッラ社が店を買い取った。 現在は、先代オーナーの代から30年間働いているシルヴィア・ソーマイニ女史と、04年にセールスとして入ったファウスト・リジィ氏が、店を切り盛りしている。彼らは販売だけでなく、採寸、パターンメーキング、レザーカッティングと職人的な役割も担っている。 オーダー靴に多い国外の顧客同店の特徴は、奥にガラス張りの工房を備えていること。工房にはベテラン職人のフィリッポ氏と、働き始めたばかりというヴァルテル氏が靴づくりをしている。フィレンツェの工房で靴つくりの経験を積んだヴァルテル氏は「現在の広々としたショップ兼工房の環境が気に入っています」と満足そう。同氏は最近のイタリアの職人事情について「若手靴職人が増えています。大切なのは、良いオーナーの元で働くこと。その点で、自分は恵まれています」とコメントしている。85坪ほどの店内にはプレタポルテ靴、その奥に工房、ネクタイやバッグ、傘、ジャケット、シューケア商品などが並んでおり、地下には木型や革のサンプルが収納されている。 「最近、イタリア人はプレタポルタがほとんどで、オーダー靴のお客さんは外国人ばかり」とリジィ氏が語るように、取材中もアメリカとオランダからの顧客が来店していた。 オランダから夫婦で来店したお客さんは、「この店でオーダーした靴をはいてから、他の靴ははけなくなりました」と話すように、はき心地は格別だという。 「通常、ビジネスタイプはフランスタンナーの革をインソールに、アウトソールはドイツのレイデンバッハの革」というように、革が持つ特徴を靴に反映させている。さらに、カウンターは一枚革で作っているので、足が縫い目に当たらず不快感を与えない、という細かな配慮もする。 1000人以上のクライアントの足型データは、店の貴重なアーカイブだ。50時間要するオーダー靴、価格は2000ユーロからだが、現在、リスト待ちの状態という。 良い靴にこだわるスタッフの姿勢が、上質なお客さんを呼び込むことを実証しているショップだ。
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