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新社長に聞く 武井秀喜氏  (プレステージシューズ社長)  
 
たけい ひでき
1964年生まれ。88年4月バートン(現ライフギアコーポレーション)入社。2017年5月プレステージシューズ取締役事業本部長、10月同社代表取締役に就任。

価格市場のトップとセカンドステージで販売、百貨店でスニーカー展開も

 2017年2月にジーフットの傘下に入ったプレステージシューズ。同年10月、武井秀喜氏が社長に就任した。同社は、高級紳士靴を扱うセレクトショップ「トレーディングポスト」を運営しており、武井社長は販売やバイイング経験も豊富な生え抜きの人材。現場を知り尽くした武井社長が、今後どのようなかじ取りをしていくのか、期待がかかる。


――これまで長く高級紳士靴に携わってきました。

武井 1987年に靴業界に入り、販売の現場からたたき上げ、一般の販売員から店舗責任者になりました。インポートにあこがれ、バイヤーになろうと97年からアメリカ・メイン州の靴工場に3ヵ月修行に行ったこともあります。ハンドソーン工場などで学び、帰国後買い付け担当となりました。07年に部長になり、ジーフットに来るまでは本部長でした。

――トレーディングポストの位置づけは。

武井 プレステージシューズは、直営店がトレーディングポスト7店舗と、昨年9月にオープンした新業態のトレーディングポストホワイトレーベル1店舗に加え、7ヵ所の百貨店をメインに取引を行っています。仮に紳士靴市場をピラミッド形に見立てると、トレーディングポストの位置づけは、百貨店や有名セレクトショップトなどと同じトップ市場に位置づけられ、プライスラインは5~30万円くらいの想定です。トップ市場の下にあるセカンド市場は、ビジネスシューズの王道といわれる2~5万円までのプライスラインが中心、ここにトレーディングポストホワイトレーベルを位置づけています。さらに大手靴チェーン店などが競い合うボリューム市場、価格競争が最も激しいディスカウント市場と続いて行きます。
 トレーディングポストの取り扱いブランドは、オリジナルブランドのほか、「クロケット&ジョーンズ」「トリッカーズ」「エドワードグリーン」「ガジアーノ&ガーリング」など英国の高級靴が中心になっています。

デメリットも伝え時間をかけて接客する

――それだけ高級な靴の販売ともなれば、接客にも気を使いますね。

武井 簡単に販売できる商品ではありません。店頭に立つスタッフたちは、販売キャリアも長く、手前味噌になりますが、みんな靴好きなスタッフばかりです。店舗については、靴好き、ファッション好きなお客さまが、めまぐるしい日常を少し忘れ、好きなものに囲まれながら、靴やファッションについて語り合える隠れ家的な雰囲気を大切にしております。靴だけでなく車や時計などの話題になることも多いです。
 私どもは接客の際にあえてデメリットもお伝えします。取り扱うブランドの靴のほとんどは、職人の手作業で仕上げられており、はきこむほどに自分の足形に馴染む2足とない靴になるのですが、フィッティングの際には、足馴染みが出るまでにお客さまが感じられるであろう、それぞれのブランドの特徴やこだわりなどもお話します。それが最初はデメリットに感じられる場合もあるため、だからこそ、接客には時間をかけさせていただいております。
 お客さまの顔が見えるので、海外の展示会や工場を回って、常にお客さまに喜んでいただけることを念頭においてバイイングしています。タイミングや条件などもありますが、ご要望の商品の買い付けができ、お客さまに大変喜んでいただけることが励みになります。

アウトレットモールへの業態出店も計画中

――福岡・天神に「トレーディングポスト ホワイトレーベル」がオープンしました。

武井 これは、2つめの業態で、先にお話したセカンド市場に向けたものです。これに続いて第3、第4の展開も計画しております。
 昨年の11月には、新宿高島屋紳士靴売場のリニューアルオープンに伴い、スニーカーを集積したコーナー展開にチャレンジする機会をいただくことができました。200SKUと、かなりのボリューム感ある展開ですが、品ぞろえについてはジーフットと一緒になったメリットを生かすことができたのではないかと思います。
 もうひとつがアウトレット業態です。今後は出口戦略も必要と考え、トレーディングポストの名前で春にはアウトレットモールに出店する計画です。

――スニーカーの販売で、今後の百貨店向け戦略は新しい方向にむかうのでしょうか。

武井 今後については、トレーディングポスト、トレーディングポストホワイトレーベル、アウトレット、そして先ほどお話しした、今までの百貨店との取引でスニーカーを加えた新しい展開の4本柱を中心に、3ヵ年計画を立てて実施していくつもりです。2017年はまだ初年度で、スタートしたばかりですが、それぞれプレステージらしさを生かしたさまざまな展開が出来ると思っています。

青山本店を情報発信の起点に新規顧客の開拓を進める

――今後の展望は。

武井 新しい環境へのチャレンジと今まで培ってきた安心の接客とフィッティング、居心地の良さ、満足感の高いサービスで、新たなお客さまだけでなく、既存のお客さまの新たなニーズも掘り起こせるようなアピールを行い、お客さまがお客さまをよぶような店舗をつくっていきたいです。昨年8月には、トレーディングポスト青山本店のリニューアルを行い、靴好きの憧れ「エドワードグリーン」の取り扱いとプレスルームをつくり、ここを情報発信の起点にしていくつもりです。お陰さまで売上げ的には前年に対して順調な推移となっていますが、もちろん、さらに上を目指すつもりです。

プレステージシューズ
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