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5,900円〜で勝負するグレードアップ・ケミカル

市場の動き

モノづくりから販売までリブランディングで好調に推移

 ケミカル商品の有力小売・卸であるアマガサは、昨年から既存ブランドのリブランディングに取り組み、今秋の市場展開からすべてが整い、再び成長路線を狙う考えだ。
 見直しの背景には、1000円台から1万円前後まであるケミカル商品が、値段だけでは差別化しにくくなっている現状がある。ケミカル素材の質感の向上や、シーズントレンドを取り入れたデザイン性で、差がなくなっているのである。
 特集では、これまでベター・ケミカルとして、あるいはグレートアップ・ケミカルと呼ぶ、5900円以上のケミカル商品が、今どのようなことで差別化を進めているのが、売場から見た。

対象年齢の見直し、絞込みを進める

 価格訴求のできるケミカルは、幅広い客層が狙える商品である。このため、デイリーなものからファッション商品まで、あらゆる商品が展開されている。しかし、シーズンのファッショントレンドを取り込んだ商品では、若い層をねらったものが多くなる。
 このゾーンをこれまでは、5900円以上のケミカルがリードしてきたが、成長を続けることで販路も広がり、とこにもあるブランドとして、差別化ができなくなりなっていた。
 このため、アマガサではターゲットを20代半から30代前後と明確にし、ガーリー・イメージから大人っぽいフェミニンなイメージに変えている。また、これまでの20歳前後の向けては、姉妹ブランドの開発で対応している。ここ数年のスニーカーやカジュアル人気も、こうした見直しの背景にある。

オン需要にも対応する商品開発を行う

 客層の見直しは、履かれるシーンにオンが加わることになる。このため、オン・オフ兼用の商品が求められ、エレガントな要素を取り入れたカジュアルな商品の市場投入も進んでいる。また一方で、ドレスアップしたパーティー・シーンで履けるような靴の展開も求められ、ラインアップを増やすと同時に、コーディネイトの提案も、売場では行っている。
 オン・オフ対応では、テイスト・ミックスの他に、防水・透湿機能を持たせ、雨の日でも履けるパンプスも人気商品で、差別化のできる商品となっている。


機能性での差別化、付加価値アップを

 メイド・イン・ジャパンといった付加価値に加え、機能素材の搭載や履きやすいラストの開発などにも目を向けている。
 「走れる美脚パンプス」を打ち出すランダでは、クッションインソール搭載ではき心地の良さを高めていると同時に、豊富なサイズやカラー展開で、ブランドの差別化を図っている。また、同ブランドでは「3E」表示を「羽マーク」のシールで表示ように変えるなどの気配りをしている。
 カジュアルタイプで展開するマーレマーレ・デイリーマーケットでも、発泡ウレタンや低反発素材を駆使し、「履きやすくてかわいい」商品を打ち出すことで、スニーカーとの差別化をしている。

売場のプレゼン、接客対応に注力

 同店が、差別化のために力を入れているもう一つのことは、売場プレゼンだ。テイスト別だけでなく、ライフスタイルに沿って商品を再構成し、その説明を親しみのある言葉で手書きボードに書いている。これは、常にお客と接している販売スタッフがアイデアを出し合っているもので、親近感のあるものになっている。
 セルフ販売はせず、接客対応しているのも、グレードアップ・ケミカルを展開する売場の姿勢だ。機能性や洋服とのコーディネイトをアピールする商品については、とくに一言が大切で、その後の修正や商品開発につながる点も大きい。