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17年度靴輸入実績(2017年4月〜18年3月の輸入通関統計から集計)

革靴は1次横バイ、2次は前年をクリア

――スポーツ靴は依然、好調な伸び



 輸入靴合計  6億4874万足
 
17年度の日本の靴輸入足数は、6億4874万足、前年比102・3%と、わずかに前年を上回っている。品目別ではスポーツ靴、なかでも非革スポーツが2ケタの伸びを見せており、依然スポーツが輸入靴市場をリードする結果となった。
数量で最も多いのはキャンバス靴で、足数全体の55%を占める。ゴム・ケミカル靴24%、スポーツ靴9%、革靴(1次+2次※)は輸入靴の4%弱を占める。
国別では、インドがイタリアを抜き、上位7位までがアジア各国となった。ヨーロッパ勢は前年と同じイタリアとスペインが入る。トップの中国は足数で80%のシェアは占める。
※1次革靴:輸入に際してTQ枠が必要となる革靴。2次革靴:TQ枠が不要で輸入できる革靴。ただし、関税率は高くなる。




 革靴  2389万足

1次、2次革靴に革スリッパを加えた全革靴の輸入足数は2389万足、前期比102・3%に。金額は1072億円、同102・4%となり、足数、金額とも前期を大きく上回った。革靴足数での1次対2次の比率は33%対67%で、EPA(経済連携協定)やFTA(自由貿易協定)の進捗もあり、圧倒的に2次革靴の輸入が上回っている。
国別では上位10ヵ国の顔ぶれは前期と同じ。1位のカンボジアは前期に続いてトップ。順位が変わったのは9位と10位で、両国とも前期を割っている。6位のイタリアは、金額ではトップで、これは不変となっている。
足数トップのカンボジアのシェアは18%、金額トップのイタリアは同28%になる。




 革靴平均CIF価格  4488円

革靴(1次+2次)の平均CIF価格(運賃・保険料込み価格)は4488円、前期比100・1%と横バイだった。主要国(輸入足数の多い20ヵ国)の平均CIF価格を見ると、前期を下回ったのは6ヵ国で、ほかの14ヵ国は前期を上回っている。金額トップは英国の1万8537円で前年度より下げている。数量トップのカンボジアは2962円で、輸入足数の多いLDC(後発開発途上国)は、いずれも2000円台で前年度よりアップしている。




 1次革靴  796万足

TQ枠を使って輸入される、1次革靴の輸入足数は796万足、前年比99・9%、金額は561億円、同101・1%と、ほぼ横バイで推移しており、前年までのマイナス傾向を止めている。
国別に見ると、足数ではトップは中国で、全体の45%を占める。金額ではイタリアが全体の46%を占める。ただし、この1次革靴の比率については、来年に予定されているEUとのEPAが発効されれば、大きく変わることになる。
婦人靴、紳士靴、その他(カジュアル靴、子供靴)で分けたアイテム別では、紳士靴のみ前年度を上回っている。足数での構成比は、婦人靴36%、その他36%、紳士靴28%で、婦人靴が最も多いが、下げ幅は4・7%減と最も大きかった。金額は婦人靴の前年度割れとなっている。




 2次革靴  1582万足

 2次革靴の輸入足数は1582万足、前年比103・6%、金額は510億8900万円、同104・0%と、前年度の足数、金額とも2ケタのマイナスから、プラスに転じている。
 輸入国はLDCとEPA発効国からの輸入が大半で、イタリアのみ2次関税で輸入している。足数、金額とも前年度割れながら、トップはカンボジア。その全体シェアは、足数26%、金額24%となる。
品目別でのトップ国を足数で見ると、婦人靴はベトナム、紳士靴はミャンマー、その他がカンボジアとなる。これは前年度と変わっていないが、カンボジアをのぞいて、ベトナムとミャンマーはさらに大きく伸ばしている。
 婦人靴、紳士靴、その他の構成比は、足数はその他42%、紳士靴34%、婦人靴24%、金額がその他40%、紳士靴34%、婦人靴26%の比率となる。




 スポーツ靴  6073万足

 スニーカーの好調な市場を背景に、スポーツ靴は2ケタの伸びとなった。これはニットアッパーなど低価格の非革スポーツがけん引したもので、非革スポーツが前年比19・1%増に対し、革スポーツは1・5%増にとどまった。この結果、スポーツ靴は、足数では非革スポーツ80%、革スポーツ20%の比率となった。
 主な輸入国は、革スポーツ、非革スポーツともベトナムがトップとなる。2位は革スポーツが中国、非革スポーツはインドネシアが入る。この3ヵ国で、革スポーツは83%、非革スポーツは95%を占める。
 4位以下では、カンボジア、インドが革スポーツで伸ばしている。両国とも2次革靴の「その他」での輸入量は、前年より下げているが、革スポーツは増やしていることが注目される。
 



 キャンバス靴  3億5541万足

今期は3億5541万足、前年比106・8%という結果になった。スポーツ靴と並び、市場のカジュアル化がキャンバス靴の輸入を押し上げている。また、伸び率は金額のほうが高く、平均価格は上がっている。
上位10ヵ国の中で前期を割っているのはインドネシア、タイ、スペインの3ヵ国。ベトナム、ミャンマー、インドとならび、イタリアからの輸入が2ケタの伸びを見せている。
トップの中国からの輸入は、前年度のマイナスから今年度は6%の伸びとなった。3億2200万足の実績は、全体の91%と圧倒的なシェアを占める。




 ゴム・ケミカル靴  1億5728万足

ゴム・ケミカル靴の輸入足数1億5728万足、前年比91・5%と、依然、数字を下げている。金額は1410億円、同94・7%で、足数より下げ率は低く、平均CIF価格は上がる傾向を見せている。
輸入国トップは中国で、1億2940万足の輸入があり、全体の82%を占めた。上位10ヵ国の中で、アジア以外の輸入国は、ドイツとブラジルの2ヵ国となるが、ドイツは前期、高い伸びを見せた分、今期は2ケタの下げとなった。ブラジルはさらに大きなさげとなった。
一方、アジアからはミャンマー、インド、タイが伸ばしており、前2ヵ国はキャンバス靴と並び、好調な伸びを見せている。



 
 非革サンダル  5141万足

 前期は横バイとなり、それまでの低迷から脱した革以外のサンダル。当期は5141万足、前年比96・3%と下げる結果となった。市場はコンフォートサンダルや厚底サンダル、ファー付きサンダルなどがけん引したが、輸入数量を伸ばすまでにはなっていない。金額は249億円、同89・4%とさらにさげており、平均CIF価格を下げる結果となった。
 上位10ヵ国では、ベトナム、インドネシア、イタリア、タイからの輸入が2ケタの伸びを見せ、一方でスペイン、ドイツは大きく下げており、とくにコンフォートサンダルの本家であるドイツの下げ幅は大きく、伸び率の格差が大きかった。
 国別に見ると、中国からの輸入は足数で90%、金額で80%を占め、圧倒的であることは前期と同様。