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特集 アプローチは「計測」から 


 ジーフット グリーンボックス 幕張新都心店

395店舗でフィッティングアドバイザーが計測


足圧を計測し、2種類のインソール提案

 ジーフットでは、2010年からコンフォートラボの足型計測機「フットナビ」の導入を始め、現在ではグリーンボックス、アスビーキッズ、クツラなど395店舗に設置している。
 使い方は簡単で、測定板の上に乗って画面のボタンにタッチするだけ。圧力センサーとカメラを併用した足型計測器で、足長、足幅、重心、圧力分布、さらに外反母趾や扁平足、ハイアーチの有無などをわずか10秒で測定する。「左足の重心が前にかたより気味です」「右足の前足部圧力が強まっています」などとコメントもでる。計測は無料で、結果はプリントアウトして渡す。
 「すでにお求めになる靴が決まっている方を除いて、まず計測していただき、一緒に靴をお探しするようにしています。自分の足長を間違って認識している方が多いですね。足の幅で判断して、大きめの靴をえらんでしまうのです。漠然と幅広の靴がいいとおっしゃる方もいらっしゃいますが、計測すると自分に合った靴はどのようなものなのかがわかるので、お勧めしやすいです」(田中陽介店長)
 フットナビで計測すると、2種類のインソールのナンバーが表示されてくる。一つはコンフォートラボのバランスを改善するためのパッド「バランスナビ」、もう一つはジーフットが開発した「ウエルネスライト」のインソールだ。

iPadの「ぴたトリ」で在庫を探す

今履いている靴の履き心地を向上させるならパッドで十分だし、新しい靴を購入するなら、自分にあったインソールを入れた方がいい。そのためには、少し大きめのサイズか、インソールが外れるタイプの靴を選ぶことになる。
 ジーフットには社内資格「フィッティングアドバイザー」があり、この資格を持ったスタッフが計測を行い、インソールを勧めている。万一、店頭に気に入った商品がなかった場合でも、店頭iPad内のアプリ「ぴたトリ」を使って、オンラインストア内の在庫から商品を取り寄せ、店頭で受け取ることができる。フットナビ、フィッティングアドバイザー、ぴたトリの3つが連携することによって、効果を上げている。
「接客も経験値や慣れより、データがあるほうが効果的。ぴたトリともども、接客サービスの一環です」。

イベント開催時には、2日で600人計測

 年に1〜2回、イベントも開催している。店外の広めのスペースにフットナビを出し、無料計測会を行っている。2日間の期間中、600人もの人たちが計測に参加、計測を待つ人の列ができるほど。イベントの告知にはチラシを使い、裏に10%オフのクーポンを付けて店頭に誘導する。
 「システムも改善され、10秒という短時間で測定できるようになっています。また、お客さまが自分で操作できるように、使い勝手もよくなりました。計測会のときは、お子さん連れのファミリー層が、家族全員で計測していく姿がよく見かけられます」。
 子供は3〜4ヵ月をメドにまめにサイズを測り、足に合った靴を選んだほうがいいことを伝えている。ジーフットが子供靴を扱う業態に優先してフットナビを配置したのは、そのためだ。ただし、幕張新都心では「アスビーキッズ」とグリーンボックスはモール内で離れたところにあり、双方が行き来する形で使っている。そのとき、子供の足型測定の重要性を十分にアピールできるのが、この無料計測会のイベントだ。






 アシックスウォーキング

7つのポイントで足を計測する3次元足形計測

パーツによる調整から、中敷のセミオーダーも

アシックスウォーキングの直営店では、3次元足形計測により、一人ひとりの足の特徴を正確に測り、スタッフが顧客の要望を聞きながら、最適の靴を提案する。
アシックスウォーキングの3次元足形計測の最大の特徴は、@足長、A足囲、Bかかと幅、C足高、Dかかと傾斜角度、E第一趾側角度、Fアーチ高という7つのポイントから足を計測し、足の特徴を正しく計測することである。この計測結果が靴選びの基本データとなる。足形計測は無料だ。
 フィッティングの流れは、
1 シューズを選ぶ前に、顧客の要望を聞く。
2 足の特徴を正確に知るために、一般的な靴選びの基準になっている「長さ」だけでなく、「足の周囲」「土踏まずの高さ」「かかとの傾き」「親指の角度」などを3次元足形計測機できめ細かく計測し、靴選びの基本データを作る。
3 専門スタッフがデータに基づいてフィット感をチェックしながら、目的に合った靴選びを手伝う。
4 足の特徴に合わせてオリジナルパーツを組み合わせ、セミオーダー中敷き(有料)を作製することも可能である。所用時間は約15分。両足の料金の目安は、¥4,400(税抜き)から。

初めて自分の足のサイズを知る機会に

計測データには、3次元足形計測の結果に加え、顧客からのさまざまな情報を記入する。この内容に基づいて、最適な靴が提案できるため、次回の来店以降はスピーディな対応ができるのも特徴である。
3次元足形計測を体験した人からは、「自分の足のサイズを測ったのは初めてだったので、左右の違いなどがよくわかった」、「足のことがよくわかりました。今まで測定したことがなかったので23pと思っていたが、22・5pでした」などの声が寄せられた。
このように、3次元足形計測の体験者はまだ少数であり、体験することで自分の足を改めて理解し、今後のリピーターにすべく、顧客満足度をアップさせることに役立っている。







 フリックフィット

足と売場の靴を3Dデータでマッチング


「フットデジタイザ」で足の3Dデータをスキャン

 フリックフィットのシステムは、「フットデジタイザ」という機械で足をスキャニングして3Dデータとし、すでにスキャンしてある店内の靴内部の3Dデータとクラウド上でマッチングさせるというもの。
 「データを重視し、フリックフィットというクラウドのなかに蓄積された靴のデータを検索していく。靴をレコメンデーションすることこそ大切で、フットデジタイザは、クラウドにアクセスする入り口と考えてもらえるとうれしいです」(廣橋博仁 代表取締役)
 フットデジタイザは、中央に立つと10秒くらいでスキャニングが終わり、足の3Dデータが備え付けのアイ・パッド(iPad)上に現れる。画面にタッチすると、お勧めの靴が30足くらい出てくる。店内に設置するときは、店内の靴をあらかじめスキャンしておいてクラウド上に保存しておき、そこからマッチングする靴を探すことになる。考え方としては、ECの在庫につなげることも可能である。
 もともと3Dプリントの会社を経営し、人体のデータをたくさん計測してきたという廣橋代表。現在はスタッフを抱え、ソフトもハードも自社で開発している。

データ上で多数の靴の試し履き可能

 お勧めする靴は、販売スタッフによって異なってくる。このシステムは、接客を平準化していくことに役に立つ。また、靴価格、ブランド、デザインなどから選ばれるが、それをデータ上で試し履きできるようにしていることに特色がある。
 「靴は服と比べてフィッティング、履き心地が重要ですが、記憶に頼ってしまっています。データ化して記録しておくと、自分には実はこういう靴が合ったのだ、と知ることができます。大切なのは、靴選びを楽しくさせること。そのために画面のデザインやハードにも気を使っています」
 百貨店などのポップアップショップを経て、今年2月には阪急梅田店に常設された。来店客の反応もよい。マッチングアルゴリズムは使えば使うほど情報が蓄積され、お勧めの精度が上がっていく。「こうしてほしい」というニーズを汲み上げ、年末に向けてソフトのリニューアルを計画中だ。常設店も募集している。