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地方ショップレポート サワムラヤ靴店(茨城・牛久市)

50〜60代の女性へ向けての品ぞろえを軸に

 牛久市がまだ牛久宿といわれた時代に操業した老舗の靴店で、現在の入江秀夫社長は5代目にあたる。店舗はJR牛久駅から徒歩5分という便利な場所にあり、地域の中核店となっている。
 品ぞろえは、レディスウォーキングシューズを中心とし、ヨネックス、ミズノ、アサヒシューズ、ダンロップなど国内メーカーのブランドを置いている。顧客が地域の50〜60代の女性が中心であることを踏まえたもので、軽量、幅広で歩きやすいことを重視している。このほか、タウン用として「パンジー」や「トパーズ」なども人気だ。
 一方でメンズドレスはあまり扱っておらず、また子供靴も縮小傾向にある。自店の顧客をにらみながら、品ぞろえを変えている。
 現在、力を入れているのは、軽量ウォーキングシューズにインソールを加えてお勧めすることだ。さらに足指に力のはいる5本指のソックスで、靴、インソール、靴下2足で計3万円くらいになる。
しかし、サワムラヤ靴店が高級化路線に切り替えたというわけではない。チラシには表面で1980円の靴を訴求し、裏面に足形計測とウォーキングシューズの写真を乗せている。確実に「安い靴を求める層」は存在するからで、ダンロップなども5000円以下と買いやすい価格帯。いわば「足のソリューション」として2足の草鞋を履く、というところだろうか。

ボーダレスな時代に新しいサービス、商材を

 「裾野を広げて関連商品を置いていかないと、生き残れない。アパレルでも植物を売る時代で、すっかりボーダレスになりました。靴の専門店でも、靴だけでなく健康に関するいろいろな悩みに応えていくサービスが必要なのだと思います。全国には、モデルケースとなる靴店がたくさんあります」(入江社長)。
 サワムラヤ靴店の一つのテーマが「地元の人たちに健康になってもらうこと」であり、その延長線上にさまざまなビジネスモデルを考案している。今は「インソールを必要としている人はたくさんいる。どうしたら効率よく伝えられるか」を考えている。
そこで、病院や接骨院などを回り、チラシを置いた。特に営業はしなかったのだが、皮膚科医院から「サワムラヤさんで靴を選んでもらいなさい」と病院からの紹介で巻き爪の患者が来店する人があるなど、効果があったという。また、整骨院から「店頭にベッドを置いてマッサージをしたい」という申し出があり、1日だけだったが、15人ほどの人が5分くらい簡単な施術をしてもらい、予約をして帰宅した人もいた。こんなことも、いずれ商売につなげていきたいと話す。
 さらに「靴の配送」サービスも行っている。
「靴だけ持っていくのではなく、もっと違う方法があると思っています。老人ホームの方から足を診てもらいたいという連絡があれば、靴をお持ちしてフィッティングしています。牛久市には老人のための施設がたくさんありますので、サービスを広げていきたいです」。



ノルディックウォークのけん引役として活躍

 新しい分野も開拓した。下駄の復活である。サワムラヤ靴店は下駄屋からのスタートで、入江社長は「いずれ茨城の素材を使って下駄を復活させたい」と以前から考えており、それが形になってきた。「大工さんと開発中」という下駄は、何と畳表でインソールが入っている。いずれは、個々人の足に合った下駄をつくれればと考えているそうだ。
サワムラヤ靴店は、茨城県ノルディックウォーク連盟の本部となっていて、店内にもポールやウエアなど、ノルディックウォーク用品が多く置かれている。入江社長は、ノルディックウォークを茨城県に広め、早い時期に指導者となった人であり、県内の数市が集まって行われるノルディックウォークの大会で、コースの選定や指導をするなど、この分野でも広く活躍している。また、地元のウォーキングクラブの協力を得て、自店主催で年1回ウォーキング大会を行っており、100名ほどの人を集めている。
 さまざまなトライアルを続けながら、成長していくサワムラヤ靴店。確かに同店は変わりつつある。店頭ではウエアとシューズとのコーディネイトが飾られ、店奥ではバッグもコーディネイト販売されている。そこここにPOPも置かれ、より「わかりやすく、見やすいお店」となった。それもすべて、「自店のお客さまに何が必要とされているか」を分析した結果だ。
 
茨城県牛久市中央3−27−4
TEL:029−873−2725