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コンフォートショップ訪問
 
      シューズボックス(東京・杉並区)



65年間、地元の女性に支持される履きやすい靴の専門店

 「シューズボックス」は、JRと地下鉄が乗り入れる荻窪駅に直結する駅ビル「タウンセブン」の1階にある。1951年にこの地に誕生、再開発でこの駅ビルができると入居し、7年前に全面改装した。67年間荻窪の人々と歩んだ専門店である。
 店舗面積は9・25坪と広くはないが、充実した品ぞろえだ。子供靴とコンフォートシューズの2本柱で、ヤング向けはない。「そのへんは隣接するルミネにお任せ」(近藤正雄代表)とのことだ。コンフォート系ではアサヒシューズとムーンスターが中心となっている。

コンフォートとデイリーで品ぞろえ

 アサヒシューズでは、ソールにスクリューがついていて歩行を助け、変形性膝関節症の予防にもなる「アサヒ メディカルウォーク」、甲が大きく開いて履きやすく、軽くて介護用シューズにもなる「快歩主義」、防水性に優れたゴアテックスを搭載している「アサヒ トップドライ」などだ。
ムーンスターとは創業以来の取引があるそうで、Wクッションが効いて歩きやすい「ムーンスター スポルス」、シャープなシルエットでおしゃれな「ムーンスター イブ」などが売れ筋だ。
 定番が「OTAFUKU磁気付健康シューズ」。インソールの裏に磁石が貼ってあり、足に溜まりがちな血流を良くして疲労を軽減する。甲部分のみ革で、ほかは合成ゴムなため、立ったままかかとを踏みつぶしても履け、「腰が痛くて屈めない」人に喜ばれているという。
「パンジー」も軽量で3000円台という値ごろ感が受け、ファンがついている。パンジーとの取り組みも長く、サンダルなども多く扱っている。ケミカルでは「アンナコレクション」が「柔らかく歩きやすい」と好評だ。
 このほか、ブラックパンプス、学生ローファー(ハルタが中心)、メンズもあり、幅広い品ぞろえといえる。アイテム比率は婦人靴6割、紳士靴1割、子供靴3割。子供靴はムーンスターの「バネのチカラ。」などが強い。

希望する靴を履いてもらいパーツやインソールで調整

 館全体が地域密着型であるだけに、顧客も地元の60代以上のシニア層とファミリー層が多い。杉並区は都内で最も平均寿命が高い区であり、また経済的にゆとりのある地域でもある。シューズボックスには長年の顧客が多く、「前はここで子供の靴を買っていたけれど、今は自分のコンフォートシューズを買っている」と笑うシニア女性もいる。車椅子で来店する顧客もいるということで、近藤社長は、元気に歩ける方には『スポルス』や『メディカルウォーク』を、歩行が不自由な方には『快歩主義』を勧めている。
 「シニアの方を接客する際には、どういう靴をお望みなのか聞き出すことからスタート。履いていただいてサイズ調整をしていくことが重要です。外反母趾の方が多いので、外反母趾用の中敷きもありますよとお勧め。甲の浅い靴では前のほうにスポンジを入れて調整します。巻き爪の方にはトウ部分に高さのある靴がいいです。症状が進み、冬でも快歩主義のサンダルを履いている方もいらっしゃるほどです」。

フット&シューケア用品で履きやすさを提供

足を計測してみても、ぴったりする靴はなかなかない。そこを、インソールで補っていく。「お客さまに履きやすさを提供すること」が最大のミッションではあるが、年齢を重ねると筋肉が落ちて足が敏感になっていたり、自分の考えに固執して新しいブランドを受け入れることができなくなってしまうこともある。そんなちょっと癖のある顧客たちとも、近藤社長は上手に付き合っている。
 靴とともにインソールもお勧めしているだけに、フットケアやシューケア用品も充実しており、各種インソールやシュークリーム、防水スプレー、消臭スプレーなどをそろえる。
 「安い靴が大量に売れた時代は終わりました。周囲にも靴店がいくつもあります。新たにショップを作るなら、婦人だけにしたでしょうね。でも当店は、メンズも、子供靴も扱っています。現状は時代とともに紳士靴は減ってきているのですが。今後も、コンフォート系婦人靴と子供靴の二つの柱で行くつもりです」。
 日本全国どこに行っても、靴専門店の置かれている状況は厳しい。だがシューズボックスは、コンフォートシューズを「最も必要な人たちのもとへ的確に」届けることによって、荻窪の地に確固たる地位を築いている。


東京都杉並区上荻1−9−1タウンセブン1階
TEL: 03−3391−3750