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サックスバーホールディングスの2019年3月期の業績を発表した。3期連続のマイナスとなったものの、前の期より下げ幅は小さく、既存店の売上げはプラスに。復調しており、今期はV字回復を目指している。木山剛史社長にその内容を聞いた。 売上げに貢献したロゴバッグとコンパクト財布のヒット2019年3月期の売上高(従来の単体ベース=サックスバーホールディングス+東京デリカ)は523億5300万円、前期比0・55%とわずかながら前期を割っている。既存店ベースの売上げは、前2期のマイナスに対し、当期は前期比100・2%となった。月別に見ると、昨年6月と8月以降はすべて前年月をクリアした。 この結果について、木山社長は次のように説明する。 「ロゴマークをプリントされたバッグが人気となった。このブームをとらえ、F1カジュアル部門(20〜34歳までの女性層を対象としたカジュアル)に向けては『リー』『カンゴール』をNPB(ナショナルプライベートブランド=留め型)にすることで、売上げを作れた。取引先からはしっかり供給いていただき、ヒット商品が売場を活気づかせました」。 また、キャッシュレス化が広く報道される中、スマート財布やコンパクトケースのニーズを先取りし、売場の中に専門コーナーを設けたことが、大きな売上げとなった。これまで長財布とコンパクトタイプの売上げ比率は、9対1から7対3に変化しているという。 もう一つ好調な部門にメンズがある。サコッシュやコンパクトなショルダーが売れた。またビジネスシーンでリュックを持つ人が増えている中、前掛けスタイルでも使いやすいリュックを仕掛けたことが、売上げを伸ばす要因となった。 今期のPB売上げ比率は、NBPを含めて15%目標サックスバーホールディングスには、「キソラ」「エフィー」といったレディスPBがある。19年3月期のPBの売上げ比率は、NPBも含めて12・8%だった。PBは、粗利益率の向上に貢献する商品として力を入れている。同時に各店仕入れのメリットを生かしながら、売場発信のNPB作りにも取り組んでいる。ただし、セレクト型(メーカー・卸からの仕入れ)専門店として、PB比率には限度があるとしている。 「100%PBは不可能だが、そうするつもりはない。PBは最大で30%まで、70%はセレクトでないとお客さまは満足しません。消費者はブランドを求めており、どれだけタイムリーにブランドをそろえられるかが重要だと考えています。今期は構成比15・0%が目標です」(木山社長)。 PB「キソラ」のワンブランドショップは、現在13店舗ある。来春には「キソラ」の世界観を広げる新たなブランディングの場として、東京・蔵前に新店をオープンさせる。同店をキソラの旗艦店として、さらにアップグレードした、体験型店舗とする計画だ。 リアル店舗を活用し、EC売上げは16億円にECの売上げは、19年3月期は前期比130%で16億円の規模だった。「サックスバー」アプリのダウンロード数は40万人を超えており、今期のEC売上げは20億円超と、2ケタの伸びを計画している。EC事業では、「リアル店舗EC」と名付けた、店舗に在庫のない商品をタブレット端末から購入してもらい、商品は自宅に届けるか、店舗で渡すサービスを始めている。 課題も多い。現状ではリアル店舗とECのポイントは別々で、顧客管理や在庫管理のシステムが連動していない。これを一元化することが課題だ。また、EC顧客の修理サービスを強化し、リアル店舗をそのためのサービスセンターにすることも考えている。 リアル店舗とECの連動では、アプリの情報が重要としている。ここで取り組んでいるのは、アプリの商品に興味を持ち、実物を見てみたいと思った人に対して「今見ている商品は、あなたが今いる場所の近くの店には、何個あります」というように表示される。ネットでも買えるが、実際に見てみたいという人が多いという。 「リアル店舗を活用しながら、ECを引き上げていくことに力を入れています。リアル店舗はブランドを体感するメディアだと考えており、我々は信頼できるリアル店舗を数多く持っているので、ECはさらに大きくしていける。 ただし、商品に魅力な無ければ、アプリに何を送ったところで、見てもらえない。関心を持ってもらえるブランドをどれだけ持てるかです。メンズはそういうブランドをそろえており、堅調に推移しています。レディスもそうする必要がある」(木山社長)。 今期のEC事業では、投資強化、人員強化、システムの改修、PRの強化を上げている。また、7月からはJDドット・コムを通じて中国での越境ECをスタートする。中国人社員から「立ち上げたい」と言う声が上がり、スタートする。まだ?外市場でのリアル店舗の出店はなく、ECでの出店を先行させる。 ブランド訴求ができるよう100坪の大型店舗を出店19年3月期末の店舗数は632店舗。新規出店20店、退店43店、改装30店だった。今後の店舗展開では、店舗の大型化を目指す。SC内の店舗数は501店と最も多く、標準面積は50坪だ。SCの中には6店舗の複数出店もあり、複数店舗を一つにまとめて大型化することも考えている。 店舗の大型化では、扱いたいブランドが増えていると同時に、もっとブランドの世界を見せていきたいという狙いがある。同社は「サックスバー」業態の展開を始めてから、ショップの中にコーナーを設け、ブランドを売っていく売場を展開してきた。これがブランドに関心を持つ消費者から支持されているという背景もある。 「PBやNPBに加え、ブランドも増え、見せたい商品の世界観が、現状の40、50坪では表現できなくなっています。ビジネス的にも100坪程度ならできるという自信もついてきています」(木山社長)。 2020年3月期の売上高目標は533億1000万円、前期比1・83%増としている。経常利益、純利益とも増益を目指しており、今期は完全なV字回復を目指す。 |
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