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“イタリアンレストラン”を思わせる内装の店舗香川・高松市の中心街から車で一時間ほど。県の中心部に位置し、四国八十八ヵ所霊場「善通寺」がある善通寺市。この地で50年前、先代が創業した「バッグショップ山下」は、2代目の山下博司さんが継いで40年が経つ。。市内の幹線道路沿いにある路面店で、外装はグレーのストーン素材が覆いつくす。「YAMASHITA」という看板があるだけで、一見して何の店かわかる人は少ないだろう。 一歩中に入ると、木や石などの自然素材を基調にした、クラシカルな内装の店内が。外の世界とは一線を画す、灯りを落とした、落ち着いた雰囲気の空間が広がる。そこここに厚く重厚なウッドテーブルや椅子が置かれ、いわゆるバッグ用の中置き什器などはない。奥にはカウンターもあって、以前はレストランを営んでいたのかと思わせるインテリアだ。 「前はレストランだったのか? とはよく聞かれます。24年前にリニューアルした際に、まさしく『イタリアンレストランに居抜きで開いたような店』をイメージしてデザインしました。什器代わりに置いているテーブルや椅子も、実際にレストランで使われるような本格的なものを特注しました」と山下代表は話す。 単にそのときのトレンドやおしゃれっぽさを追求した店では、流行が過ぎればいつか陳腐化する。時間が経っても色あせず、むしろアンティーク感が出てきて、経年変化を楽しめる内装をねらってデザインされた店だ。すでに20数年が経っているとは思えないほどで、個性と新鮮さのある売場は、90坪ほどの広さだ。 ファクトリーブランドで顧客の支持を集めるランダムに置かれたように見えるディスプレイも、ひとつ新しい送品が入荷すれば、隣同士の配置も変わるため、一点一点を夫婦二人で毎日変えているという。先代の時代には、スーツケースやショッピングもあるフルライン店だったが、山下さんが継いでからは、国内のレザー系ファクトリーブランドへと思い切って絞り込んだ。主力としては「ドアン」「ソワール」「スロウ」などの導入からスタートし、メンズもレディスも関係なく、とにかく展示会に足を運び、商品選びをしている。 現在は「モキップ」「ロビタ」「マーヴェレッツ」「クレドラン」など、都心店舗でもなかなか見られない商品をセレクト。県外の高知や岡山、出張の帰りには必ず寄るという九州や大阪からの顧客も少なくない。 「現状では60ブランドほどあります。このスタイルに転換した当時、郊外型SCなどが進出していた頃で、こういった専門店が生き残るためには、単価を上げていくことしかないと考えました。ちょうどビンテージ系の革バッグが全盛の頃であり、『クリード』『スロウ』などのナチュラル系を強みとしてきました」。 その後は、少しずつきれいめなブランドも取り入れ、革もの中心にそろえてきた結果、現在のような品ぞろえになってきたという。メンズものを女性が買われたり、県外や市外から足を運んでいただいたりと、このMDでロケーションでも、エッジの効いたものを求める顧客から支持されている。 “エイジング”バッグでお客と会話ができる店同店では、基本的には半期ごとのセールは行わないが、12月に期間限定のイベントを実施している。全国の顧客に向けてDMを出し、売場にあるすべてのアイテムを割引販売するというもの。ほぼプロパー品なので大変お得であり、知っている方はこの時期をめざして全国から来店するという。「大変なにぎわいになりますよ。ただし、私達の店では“カードは使用不可”なのです。お客さまにも理解して頂いています。知らない方の中には『それじゃATMに行ってきます』とコンビニや銀行に走る方もいて、この話しがその後のコミュニケーションのネタになっています」。 学生だった方が、社会人になって再訪してくれ、「味が出てきたから」とエイジングしたバッグを持ってきてくれる方もいる。日頃から革についても話題にし、コミュニケーションを図っているからこそで、山下さん夫妻は普段からの接客を通して、リピーターをしっかりつかんでいる。 ◆香川県善通寺市上吉田町8-5-18 TEL:0877-62-0795 |
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