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商圏を歩く イオンレイクタウン越谷

ジーフットと東京デリカが各種業態の複数出店でシェアーを確保

今月号から各地の商業集積地を探訪、靴・バッグ店の現状をレポートする。
今回は埼玉・越谷市にあるイオンレイクタウンを訪ねた。敷地面積34万u、駐車台数1万台という巨大なSCは、ここ一ヵ所だけで大きな商圏を形成している。2008年にオープン、11年にはアウトレットモールが増床され、店舗数は700店を超えている。オープン7年後には大規模なリニューアルが行われ、およそ半数の店舗が入れ替えや移転、改装している。

ジーフットの婦人新業態「ダフネ」はポップアップ風

イオンレイクタウンはKaze(風)、mori(森)、アウトレットの3つの建物で構成される。
JR武蔵野線・越谷レイクタウン駅に近い方に「風」がある。駅乗降客の多くが、エスカレーターでつながる2階のエントランスに流れている。
この「風」の2階には、靴ではジーフットの婦人靴新業態「ダフネ」が出店する。商品はオリジナルの「ダフネ」が中心で、価格帯は3900〜5900円。20〜30代をターゲットに流行を抑えた商品を展開するが、既存の婦人業態店との違いが分かりにくい。箱積みを見せた陳列は、テンポラリーなポップアップショップのような感じだ。
同2階には、東京デリカ(サックスバー・ホールディングス)の「サックスバープチコレクト」と「バージョニー」が出店する。「サックスバープチコレクト」は財布・小物の専門店。店舗は赤と白をベースに、ポップなイメージで演出しており、全ての財布が1点1点見せる陳列がされている。商品は見やすいものの、価格表示がわかりにくい。「バージョニー」は吉田の「ポーター」「ラゲッジレーベル」のみで構成するセレクト業態。バーゲンシーズンでもプロパー展開で、売場も整然としている。
バッグの「サマンサベガ」も同2階に出店する。オレンジを基調とした店舗は目立つが、店頭のパンフレットラックが店内への導線を邪魔している。このほか、バッグを主力に雑貨展開する「&シュエットギャラリー」と、メンズのバッグ&雑貨を展開する「ミスターモストマブ」が出店する。

ファミリー狙いで賑わう「ムラサキスポーツ」

風1階にはバッグ2店舗、ブランドディスカウンター1店舗、靴1店舗が出店する。
「サムソナイト」はバッグとトラベルケースが半々の構成。3万〜6万円代が主力の価格帯での展開で、バーゲンシーズンの集客は弱い。「スケッチャーズ」はジーフットの運営するのコンセプトストア。キッズ・レディス・メンズとフルラインで、ファミリー層の多いモールの客層に合わせている。バーゲン中だが、店頭はすっきりと見やすい陳列がされている。
風の3階には2階から異動した、ジーフットの婦人靴業態「フェミニンカフェ」が出店する。壁面と島什器でディスプレイ演出をしており、清潔感がある。商品はオリジナルの「フェミニンカフェ」が主力で、4900〜7900円で構成する。最近のミセスニーズに合わせ、店頭にはスニーカーが並ぶ。
コモードが展開する「R&E」も3階に出店する。オリジナル「リゾイ」「R&E」「ウィーウィリー」で、マルキュー系ヤングカジュアルを展開する。店内の造花を使った演出や店頭のPOPに惹かれて店頭をのぞくお客は多いが、買い上げにはつながっていない。同3階の「ムラサキスポーツ」は、ファミリーやカップルで賑わっている。店頭左側にシューズコーナーがあり、「キーン」「ロクシー」などのサンダルが主力で、バーゲン商品に人が群がっていた。
同3階にはバッグや財布などメンズ雑貨を主力とした「ノーティアム」が出店する。バッグは雑材・合皮ものがほとんどで、財布は革モノもある。全体にカジュアルな構成だが、広い売場がショップテイストを散漫にさせている。

タケヤは同商圏に3店舗出店

「風」から長い連絡路を通って「森」ゾーンに。横に長く延びる「森」は、各フロアに3ヵ所の広場を構え、いろんなイベントを開催している。学校が夏休みに入っていることや、猛暑の中でも館内は涼しいこともあり、各フロアとも多くの来場者でにぎわっていた。
森1階には靴専門店が5店舗、バッグ専門店が1店舗出店する。
「マーレマーレデイリーマーケット」はレディスと一部メンズの品ぞろえで、マニッシュ&カジュアルで構成してる。セール中で3780〜4320円が主力。「2BUY1000円OFF」のPOPも掲げられている。同店の特徴的な手書き黒板は、セール中ということで数が少ない。オリジナルのほか、「ルコック」「ニューバランス」といったスニーカーの展開している。プロパー時期よりも商品点数は多いが、POPや花を使った商品演出は上手に行っている。
「ミグプラス」はタケヤ(東京・立川市)が展開するショップ。靴のほか、ウエアや雑貨も一緒に扱う。同業態は現在4店あり、いずれも大型SCに出店している。また同店は、近くの新越谷駅ヴァリエには「コシュエコシュ」と「ネオスタ」を出店、同商圏で3店舗展開する。靴はオリジナルの「コシュエコシュ」でパンプスからカジュアルスニーカーまで展開するほか、「アーノルドパーマー」「チャンピオン」「アドミラル」といったスニーカーも扱う。バーゲン中で、価格は2900〜4900円が主力。

おく田はメンズとレディスの2業態体制

イオンモールへの出店常連組のおく田(岐阜市)。通路を挟んでメンズの「バーンズソーホーストリート」と、レディスの「アンジェリーク」の2店舗を出店している。オープン当初から出店している「バーンズソーホーストリート」は、ドレス&ビジネス、革カジュアル、スニーカーの構成で、インボートブランドも積極的に入れて、ほかに店と差別化している。革カジュアルでは「スピングル・ムーヴ」を主力に展開している。壁面は黒を基調色にし、レンガ壁と組み合わせた店舗は、今風のクラシックなイメージで、革モノを主力に展開するイメージに沿っている。
レディス業態の「アンジェリーク」は、オリジナルの「アンジェリーク」のほか、「サバサバ」などヒールカジュアルや「アーノルドパーマー」「チャンピオン」「ジョイ&マリー」などスニーカーも扱う。4000〜9000円の展開で20〜30代を対象としているが、各カテゴリーに統一感が見られない。
「アシックスウォーキング」もオープン当初から出店している実績店舗。店内奥には足形計測機を設置し、専門性を見せている。メンズ、レディスのドレス&ウォーキングで構成するが、セール期間中は本来の接客によるフィッティング販売もできず、売場の集客力も弱い。

イオン子会社が占有する「森」2階

森2階はイオンスタイルを中心に、イオン系の専門店や有力靴店が出店している。
SC2階の核店舗となっているのが「スポーツオーソリティー」。ウエア、用具、靴とのミックスでカテゴリー展開し、多くのお客を動員している。靴も壁面を使って迫力満点の品ぞろえで陳列するが、販売員は少なく、接客対応は手薄のようだ。
このスポーツオーソリティーを展開するメガスポーツが、同じ2階に出店するセグメント店が「コーナーズスポーツオーソリティー」だ。スニーカーを主力にウエアを加え、人気ブランドで構成したショップは、スポーツをライフスタイルに取り入れた業態で、現在全国で27店舗を展開する。左右はスニーカーウォールで、正面をTシャツなどウエアのディスプレイ、中央平台にシューズとウエアをコーディネイトで見せており、市場の人気を反映したスニーカーショップは、多くの若い人を集めている。。
「スポーツオーソリティー」とは通路を挟んで反対側に、ジーフットの主力業態「アスビー」の大型店が出店する。このレイクタウン店は、同業態が何か新しいことにトライアルするときに、実験の場として選ばれるショップであると聞く。店頭で目立つのは「パトリック」。ほかに「キーン」「リーボック」などスニーカーだが、奥の「ナイキ」「アディダス」「ニューバランス」などスポーツブランドは以前よりはフェースが縮小されている。一方「ドクターマーチン」「レッドウィング」は堅調。また、レジ回りのインソールやシューケア用品は充実している。
イオンスタイルの中にある大型靴売場は、ジーフットの「グリーンボックス」が担当する。メンズとレディスの構成で、子供靴は3階の「イオンスタイル」の中の「グリーンボックス」で展開している。通路全面で展開する主力スニーカーは「スケッチャーズ」「ニューバランス」「コンバース・ネクスター」PB「チャーキーズ」など。量販型の売場ながら、通路に面して多彩にディスプレイ演出されており、小物やウエアと並べてコーディネイトを見せている。

コンフォートをSCの中で販売する「ブロック」

同2階の「ダブルエーオリエンタルトラフィック」は、既存の「オリエンタルトラフィック」にナチュラル感を加えた「WAオリエンタルトラフィック」ブランドを展開するショップ。プロパーでは5500〜6500円が主力。店内には10人くらいのお客がいて、賑わっている印象。バーゲン中ながら、壁面棚の上段では小物を使ったディスプレイを行っている。
エスカレーターの横で、角地といった好立地にある「リーガル」。メンズとレディスで構成する小型店だが、オープンな売場でにぎわっている。前面にカジュアル、後方にドレスシューズを置くが、全体的にはカジュアルの割合が多い印象。バーゲン中だが、左側平台は新着商品が並び、レディス1万8360円、メンズ2万9100円(税込)。
「リーガル」と隣接し、奥まったところにあるのが「ブロック/エムビーティーウォーキングショップ」。千葉・柏市に本店があり、現在5店舗出店する。内、3店舗で「エムビーティーウォーキングショップ」を一緒に展開している。ブロック・ゾーンでは「アサヒメディカルウォーク」「ヨネックスパワークッション」のほか、「フィンコンフォート」や「トリッペン」、さらにはオーダーシューズにも対応するコンフォート販売をする。一方のエムビーティーウォーキングショップでは、「MET」を置き、売場内で歩行できるスペースも設けている。SCショップながら2万〜4万円代と高額商品を販売している。また、「シダス」での調整インソールの販売も行う。SCの中で、クローズドな展開はしにくいが、通路より一歩下がった場所で、接客販売を行っている店だ。
大阪のメーカー・シューズミニッシュが出店する小売店「リゲッタカヌー」。個性的なソールで履き心地の良いサンダルを接客販売する。小型店ながらお客の入りは良く、少ない販売員では対応ができていない状態だった。
同2階のバッグ売場は「サックスバーアナザーラウンジ」と「ラブサックス」。いずれも東京デリカのショップで、同社は「森」と「風」を合わせって5店舗、それぞれ業態を変えて出店している。以前には地方の個性的な店舗も出店していたが、いずれも退店している。
「サックスバーアナザーラウンジ」はメンズバッグとトラベルを主力とした大型店。革モノも多く、2万〜3万が主力。バーゲン時期だが、安売りをしている雰囲気を感じさせない。「ラブサックス」は旬のレディスバッグを集積した売場。小物からバッグ、ケースまでポップな色使いの商品で構成する。

ドン・キホーテ風の店舗で賑わう「ゼットクラフト」

森3階は子供のファッション、グッズを主力としたフロア。
ジーフットは「イオンスタイル」の中に子供靴だけの「グリーンボックス」を展開するほか、好調に推移しているといわれている子供靴専門業態の「アスビーキッズ」を出店する。同社はレイクタウンの中で計7店舗出店する
「アスビーキッズ」はファースト、ベビー、チルドレンと3ゾーンに分け、11〜22センチの靴を扱う。「グリーンボックス」と差別化するため、「ナイキ」「アディダス」「コンバース」といった有名スポーツブランドを扱うほか、「アシックス」「マッドフット」(PB)、ムーンスターの「バネノチカラ。」を扱う。価格は2000円代から6000円代で、「グリーンボックス」より上で展開する。
同3階では卸のロイヤルが展開する「ゼットクラフト」も出店する。同店はスニーカーやカジュアルシューズ、ウエアまで広く扱う。イオンモールを中心に全国10店舗を展開する。ボリューム感を感じさせる陳列は、ドン・キホーテのように迷路状態で導線を取っている。また、ディスプレイを刻々と変化させることと、「この店にしかない珍しい商品」を入れることで集客している。価格は6000円代から1万半ばが主力。店内はファミリーやカップルでにぎわっている。
なお、アウトレットゾーンには、インポートブランドやスニーカーブランドなどのショップが、靴・バッグ合わせて16店舗出店する。