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浅草エーラウンド2019秋奥浅草盛り上がる革の祭典

ツアーや施設公開、物販と盛りだくさん

 「浅草エーラウンド2019秋」が、10月18〜20日の3日間にわたって東京浅草・奥浅草エリア一帯で開催された。奥浅草とは、浅草寺・言問い通りの北側に広がる、隅田川を臨むおよそ2平方キロメートルのエリアの通称で、明治維新後に革靴産業発展の中心になった。
 浅草エーラウンドは、今回で13回目を数える。発端は「岡山にデニムが、今治にタオルがあるように浅草にも地域ブランドを」という願いだったが、回を重ねるほどに、知名度があがってきている。訪れる人の数は2万人を越え、遠く北海道や九州から足を運ぶ人も少なくない。「九州から来た、このまま買った革を持って羽田に行く」という人や、北海道からボランティアに来た人もいる。もはや、知名度は全国区になり、リピーターも増えている。
 協賛企業は100社前後で、会期中は靴づくりの工程を見られたり、革のなめし工場をめぐるツアーも開催され、工場や工房を探訪することもできる。浅草駅近くの「マテリアルギャラリー」には革問屋12社が集結、革を安く購入することができ、多くの人たちで賑わった。
また、「エーラウンド・マーケット」では、数多くの物販や飲食のテントが並び、こちらも大変な賑わいを見せた。さらに、若いクリエーターたちが工房を構える「浅草モものづくり工房」やマテリアルギャラリー、エーラウンド・マーケット、各社内や路上でも数多くのワークショップが開かれ、子供からシニアまで多くの人々が参加し、革に親しんだ。



東京メトロやTLFともコラボレート



発起人代表の富田常一氏(富田興業社長)の話
「今回の最大の特色は、東京メトロと東京レザーフェア(TLF)との共創です。TLF100回記念の山本寛斎さんプロデュースの革半纏(*)をギャラリー入口に飾り、12月4〜5日に開催される第101回のTLFでは、浅草エーラウンド同時開催としてワークショップやセミナーを受け持ち、革の文化や物語を伝えていきます。TLFはB2B向けのトレードショーで、エーラウンドはB2C向けに裾野を広げるという位置付けで共に相乗効果が見込めます」。

エーラウンド実行委員会の川島武雄実行委員長の話
「エーラウンドの認知度も上がってきていて、製品だけでなく、革や道具を求める人も増えてきました。浅草に多い靴メーカーさんたちに、この機会にぜひメイド・イン・ジャパン、メイド・イン・浅草の靴の良さをアピールしてほしいと思います」。

エーラウンド・マーケットの責任者である上原一男氏(丸上社長)の話
「エーラウンドは、どうしたら商品が売れるかを考える勉強の場でもあります。人の流れを見て、看板はここに置こうなどと考えることは、とてもいい経験になります。浅草のモノづくりを広くアピールし、多くの人がここでモノづくりをして、生活していきたいと思えるような街にしていきたい」。
東京メトロは街歩きツアーを企画、国際通りなど10キロのツアーコースを組んだほか、エーラウンド・マーケットにもテントを出してグッズを販売した。
   
 *19年5月に東京レザーフェア100回記念開催に際して、山本寛斎氏総監修によりTLF100th記念革半纏を作成。台東区立富士小学校6年生76名により”富士”と”太陽”をモチーフに、元気一杯に表現してみよう!と、寛斎さんの号令のもと、ペインティングが行われた