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コンフォートで生きる
シュークリニック 靴のマシモ(東京・中野区)

ドイツ整形靴と日本の靴作りのよさを融合させ、快適性を追求する

足の3大トラブルに対し、キレイに見せる工夫をする

 「シュークリニック 靴のマシモ」は、JR中野駅と西武新宿線新井薬師前のほぼ真ん中、どちらの駅から歩いても10分ほどという便利なところにある。もともとは宮内庁御用達の靴職人だった先代の間下庄一氏が始めたショップで、氏は上皇陛下ご婚礼の際の騎馬隊のブーツをはじめ、政界や経済界の重鎮たちの靴を作った。そのフルオーダーのショップ兼アトリエを新宿に開き、現在のところに移転してきたのは1964年ごろのことである。
 現在、ショップを運営しているのは2代目の間下徹さんで、ファッションメーカー勤務などを経て94年ごろに店に入った。勉強にも熱心で、「足と靴と健康協議会」の「バチェラーオブシューフィッター」の資格を持つばかりでなく、シュリットでドイツ整形靴についても学んでいる。
品ぞろえは「フィンコンフォート」「ドゥレア」「ハッシア」「リーカー」などが中心となっている。目指すのはドイツ整形外科靴の技術と日本の伝統的な靴づくりの技術を融合させていくことだ。
 「靴の作り方は寸法を測ってラストを作り、出ているところを乗せていく。靴の形は悪くなります。例えば脚長差が1センチある場合、片方を1センチあげてしまうと見た目が変わる。もう片方を5ミリ下げることができれば、あげるのも5ミリですむわけです。片方だけでなく、双方で調節することが必要です」(間下徹さん)。
 顧客の抱える足の3大トラブルは、外反母趾、内反小趾、開張足という。症状は一つではなく、例えば外反母趾であればハンマートウを伴うのが普通である。もし外反母趾であるなら、足長が短くなるのが普通であり、指を伸ばしてあげることができれば、外反部分を小さく見せることができる。
 「構造を理解すれば、どうすればキレイに見せられるか工夫することができます。ですが、足は十人十色で、一人ひとり異なります。いろいろな実例に携わっていかないと、答えは出ないと思っています」。

靴づくりに対する情熱が漫画の題材に取り上げられる

 店舗はヤードを含めて18坪とさほど広くはなく、外観も一般の靴店とさほど変わらない。ただ、「靴のマシモ」はかなりの有名店で、その名は全国的に知られている。
 顧客の分布を見るとよくわかる。地元中野区の顧客は10%に満たず、関東圏でも70%くらい。残りは北海道から九州まで全国に散らばっていて、中には中国に赴任していったエグゼクティブが「一時帰国したから」と来店することもある。顧客の中には政財界の重鎮やタレント、漫画家、スポーツ選手などの著名人も少なくない。小泉純一郎前総理の父君で要職を歴任した小泉純也氏も顧客で、その足跡をたどって純一郎氏自身もお店を見に来たことがあるという。
 最初から有名であったわけではなく、きっかけは93年「ビッグゴールド」(ビッグコミックの別冊)に間下庄一氏が取り上げられたことにあった。靴づくりに情熱を捧げる様子と工夫が共感を呼び、テレビや雑誌の取材が数多く舞い込むようになった。その結果、技
術の高さが全国的に評価されるようになったのである。

フットケアのプロと組みケアレベルのアップを目指す

 間下徹さんは、活動範囲を広げている。現在は大手百貨店の社員教育や、商品開発にも携わっている。
 「フェイスブックをやっていますが、読んでくれている人たちの半数が、アロマテラピーやフットケアに従事する女性たち。彼女たちは足のプロですが、靴が合わないことによって生じる、トラブルのケアをしなくてはならない部分もあると思うのです。意見交換しつつ、協力し合いたい。それはお客さまのためであり、目指すところは同じなはず。そのためにタイアップしたいと思っています」。
 遠く地方から来店する顧客たちをていねいに接客するとともに、間下さんは新たな道を開拓しようとしている。
 
東京都中野区新井1−35−11
TEL:03・3386・5083