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地元に密着 ザ・シュー(東京・飯田橋)

値ごろ感のあるビジネスシューズで顧客を増やす

飯田橋駅前の好立地に3年前にオープン

 JRと地下鉄の5路線が乗り入れる交通利便なビジネス街・飯田橋。その駅前の外堀通り、目白通り、大久保通りが交差する五差路沿いにたたずむのが「ザ・シュー(THE SHOE)」だ。オープンは3年前。いままで取り上げてきた老舗の個人店とは対照的に、こちらはデビュー数年の新参店になる。
 商売にはうってつけの好立地といえるが、開業はタイミングに恵まれたことも大きかったと話すのは、オーナーの笹本邦光さん。前職はビジネスシューズのバイヤーだ。
「ここはもともと銀行のATMが入っていたところ。移転で空き店舗になったのを知ったので抑えました。立地的に良いところだし、ビジネス街というのも魅力でした。今まで培ってきた知識や経験も生かせますからね」。

主軸はメンズビジネスで価格は6000円から

 売場面積は7坪弱と広くはないが、地域性にマッチしたカテゴリーの靴を厳選することでカバーしている。同店ではビジネス街を考慮し、メンズのビジネスシューズを主軸に、ビジカジや女性向けの機能・ファッション性を意識した品ぞろえとしている。店内の靴は140〜150足程度に絞り込み、扱う商品の価格帯は約6000円からと値ごろ感のあるものにウエートを置いた。
「バイヤー時代は5〜6000円くらいの靴がいちばんよく売れました。場所柄サラリーマンの方が気軽に来てくれそうですし、お客さまとしても手ごろな価格のものを狙ってくるのでは、という読みがありました。ですから当初から6000〜1万円ぐらいのビジネスシューズを中心にして、品ぞろえを変えながら営業するスタイルをとっています」。
 売れ筋のビジネスシューズでは、しゃれたストレートチップが6000円で買えることから人気が高い。トーヨーシューズやスタート、キンロックの1万円以内のビジネスシューズだ。
 カジュアル化の傾向をとらえた靴の売れ行きも良い。スーツ、ジャケパンファッションにあわせられる「フランコビエリ」は税込み4000円程度。また、きれいめのソフトレザーによる国産ブランドの革靴も、約1万円とこちらもリーズナブルなプライスだ。ソフトレザーのシューズはコストパフォーマンスを感じさせる質感もあり、40代を中心に購入客が多い。カラーは茶系の人気が高いという。


機能的なレディスやカジュアルも加える

 女性向けには機能やファッション性が売りになるシューズも扱っている。受けがいいのがコンフォート系のパンプス「アーチコンタクト」だ。低反発ウレタンフォームと衝撃吸収インソールを採用した履きやすさは、仕事柄歩く人に好評だ。値段も税込4000円程度と求めやすさも人気の理由だ。購入する年齢層も幅広く、指名買いするリピーターもいるという。
 ファッション性に舵を切ったものではニットシューズを陳列している。
「去年の秋から売れています。カラーは黒やピンク系のものが多くなっています。ただ当店はあまりトレンドを謡わないうえ、陳列も省スペースで行っていることから、見本として一種類だけ飾るようにしています」と、“ビジネス系シューズの店”というイメージをウリにしているだけに、全体的な品ぞろえのバランスを大事にしている。
 「ザ・シュー」は、サラリーマン客の割合が高いが、地元の生活者も来店しており、両方を顧客として取り込めるのも強みになっている。
 顧客の年齢的なボリュームゾーンは30〜60代。口コミで来店する方も多く、徐々に固定客も増加している。グーグルマップでは好評の声が多く、ネットを通じて存在を知る人もいるようだ。
現状では、宣伝やHPの開設は行っていないが「地元の方にずっと来ていただけるよう、地道に努力してゆきたい」と語る笹本さん。「まず愛されるような店づくりをすることがいちばん」と心がけている。

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