今月の記事・ピックアップ 2020・4
 HOME > フットウエアプレス >  コンフォートと生きる ロビンフット 大船店
コンフォートで生きる
 
ロビンフット 大船店(神奈川・鎌倉市)


「おしゃれな靴ですけれど、あなたの足に合いません」ということも

昨年のリニューアルで「歩く機能」をさらに重視

 鎌倉市の大船は、市場が立ち並ぶ駅前が印象的な庶民的な街である。JR上野東京ラインや湘南新宿ラインが走り、都心からの交通の便もいい。「ロビンフット 大船店」は、そんな賑やかな大船駅前から徒歩5分ほどのところに、約18坪の路面店を構える。荻窪と大森に、それぞれ支店を持っている。
 オープンは20年ほど前で、以前は健康靴店ではあっても、一般的な靴も多く扱う店だった。コンセプトは「地域の人たちのための専門店」。思い切って健康靴を強力に押し出したのは、昨年9月のリニューアルのことである。
 「靴にはファッション的な要素もあるので、おしゃれを楽しむのは大正解。でも、外反母趾で足が痛くなってしまったときに、靴の機能をなおざりにしていては解決できません。一口に外反母趾対応といっても、きちんと対応できていないものもたくさんあります。これまでファッションと機能性の双方を追求してきましたが、限界を感じてきました」(小黒一夫代表)。
 ファッションを追求した靴店はたくさんある。また、こなれた価格の商品を販売するショップも多い。代表的なものがABCマートであり、大船駅周辺に数軒点在する。それなら、同等の品ぞろえ、価格帯の靴を置いても意味がない。考えた結果、「歩く機能」をより強く打ち出すこととしたのである。そのため昨年6月から8月にかけて閉店セールを行い、8月半ばにいったん閉店、9月20日にリニューアルオープンした。改装も代表以下従業員あげてペンキ塗りをするなど、なるべくお金をかけずにすませたという。

日本人のために開発された「アナトミカル フットウエア」

 店頭には、メンズ、レディス、キッズとフルラインで並ぶが、主力はレディスの健康系シューズ。ドイツ整形外科靴では「フィンコンフォート」「ガンター」「ゾリドス」など。日本のブランドでは「コンフォルマ」「アサヒメディカルウォーク」「ムーンスタースポルス」など。仕入れにはこだわり、例えばアサヒメディカルウォークでは001、004、13と3型しか入れておらず、「自分たちの目線での仕入れ」している。ほかのブランドでも同様だ。
 「お客さまは、フォーマルにも普段にも履けるものがほしいとおっしゃいます。このニーズに対応できるもので、お手頃価格のお勧めは、『スポルス』の1万4000円のワンベルトタイプ。もっと機能性を追求するなら、『アナトミカル フットウエア』というブランドがあります」。

同ブランドはドイツ整形外科靴の考え方をもとに、福岡県立大学と共同で開発された靴で、インソールも日本人の足の骨格に適したコルク製のものが入っている。生産は福岡の職人集団「マイスター」が一足一足手づくりする、オールジャパン・メイドの靴だ。
アナトミカル フットウエアは、糖尿病やリウマチなどで変形してしまった足にも対応できる。インソール「アナトミカル フットベッド」は、7000〜9000円で別売もしている。



「足が痛くなります」と臆せずはっきりとお伝えする

 顧客層は20代から80代までと幅広い。若い年代は靴や足の健康に対する意識が高い人がほとんどで、シニア層は外反母趾、扁平足、巻き爪など足のトラブルを抱える人が多い。
 「接客では、お客さまに誘導されて方向を誤らないように注意しています。お客さまからは、ちょっと頑固に見えるかもしれませんね。足に優しい靴、お悩みに添う靴を選んでいくわけですが、『この靴を履くと、足が痛くなりますよ』とはっきりいいます。基本的にパンプスはおしゃれに装う靴で、履き続けると足が痛くなります。履き替えることが大切とお伝えします」。
 「足にあった靴」を選ぶのは簡単だ。インソールを抜いて足に当ててもらい、はみ出したり大きすぎたりしなければ、それが足にあった靴となる。ただし、その形がお好みに合うかどうかは別の問題。「え、こんな形なの」といわれれば「おしゃれのためには、お好みを優先するしかありません」と返す。実際、パンプスは足に合わないものが多いからだ。その人の足に合わないということをはっきり伝えることが大切だ、という考えなのだ。計測やフィッティングにも、納得してもらえるまでとことん付き合う。
 リニューアルして半年、手応えはどうなのか。
 「まだ、試行錯誤の段階ですね。困っているのは、コロナウィルス騒ぎで、人出が少なくなってしまったこと。早く終息してほしいです」。 
日本のだれもが、コロナウィルス騒動の一日も早い終息を願っている。

神奈川県鎌倉市大船2−6−1
TEL:0467−42−6322