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企業レポート クラフトバンク(東京・台東区)

高額ブーツとサンダルに特化。生産の9割がオリジナルブランド



東京の革靴産地である台東区浅草に工場を構えるクラフトバンク(徳永勝也代表)。OEMが主力の婦人靴メーカーが多いが、同社はオリジナルブランドを主力とした紳士靴メーカーである。その紳士靴もブーツとサンダルに絞って展開している。

オリジナルブランドには、ブーツで構成する「ローリング?ダブ?トリオ(Rolling dub Trio)」とメンズサンダルを展開する「トーキョ―サンダル(TOKYO SANDAL)」がある。販売は、小売店と直接取引するほか、ウェブや直営店でブーツを愛する顧客を取り込んでいる。

正統派アメカジ・ブーツを日本の職人技で作る

 2007年誕生の「ローリング?ダブ?トリオ」は、正統派アメカジ・ブーツを、日本のクラフトマンシップで作るというもの。ビンテージなデザインを守りながら、?末永く履いていただける靴作り≠目指している。
コレクションはいくつかのシリーズで構成し、グッドイヤー、ノルベージャン、ステッチダウン、ダイレクト・グットイヤー(※)の4製法を使い分けている。デザインに沿ったラストやヒール、ソールといった各部材の選定にこだわるほか、厚さを2・5〜3oアップにした素材も、米国、イタリアからの輸入革のほか、国産革から厳選している。
紳士靴メーカーながら、サイズは22〜30センチまで展開しており、レディスにもファンが増えてきている。価格は5万5000〜12万円。
 「既製品が基本だが、アメカジの代表のエンジニアブーツについては、ラスト、素材、カラー、ヒール、ソールなどを変えることのできるオーダーメイド対応です。これもブーツ専門メーカーのこだわりで、現状では8ヵ月待ちの状態です」(ショップマネジャー兼ブーツメイカーの宮澤直樹さん)。

サステナブルに根差した「トーキョ―サンダル」

2011年に発表した「トーキョ―サンダル」は、素足で履けるヌメ革のサンダルなどカジュアル商品。2枚の厚い革を使い、足裏に沿うよう3次元に成形された天板は、人間工学に基づいた快適サンダルだ。同商品は、ハードなブーツとは正反対の商品だが、ブーツを作るときと同じようにソールにラバーを使い、ステッチダウン製法で作られており、丈夫でオーツソールが容易だ。価格は3万5000〜5万円。
同ブランドはグッドデザイン賞を受賞しており、クラフトバンクの新たな顔となっている。革の経年変化が楽しめ、リペアも可能な商品であることから、同社ではサステナブルな展開を目指しており、さらに商品ラインを拡充させる計画だ。



ブーツファンが集まる浅草の直営ショップ

商品供給は、小売店との直接取引で行っている。大半がセレクト系のショップで、現状40店舗ほどある。また、米国、イギリス、中国、香港、台湾、韓国などの店舗との取引がある。主にウエブを通してブランドの存在を知り、取引が始まっている。ほかに自社ウエブと東京・浅草に直営店を構える。
直営店は週4日開け、営業時間も短いが、20代〜60代と幅広い年齢層のブーツ好きな人が来店している。
「ショップでは修理も受けており、リピーターの来店も多い。また、ゾウやハラコなど特異な素材を使った商品や過去の人気商品の復刻商品も展示され、これも来店のモチベーションになっている。スニーカー全盛の中でも、一定のブーツファンはおり、売上げも安定している」(宮澤さん)。
同ショップでは、作家さんの個展やオーダー会、ライブイベントなども不定期で開催している。

若い職人が集まり、直販主力に販売

クラフトバンクは2003年創業と比較的新しいメーカーである。約20名いる従業員。工場では20代の職人もおり、熟練の職人と日々切磋琢磨し、技術を継承している。
製造アイテムをブーツとサンダルに絞ることで、その存在感もきわだち、現状ではダブルネームやOEMの比率が1割ほどと、オリジナルブランドでの展開が主力になっている。さらに取引は、海外を含めて小売店との触接取引で、販路も百貨店や靴専門店にこだわっていない。こうした展開が、既存の市場が縮小する中で、注目される動きとなっている。

有限会社クラフトバンク
代表:徳永勝也
創業:2003年
従業員数:約20人
本社:東京都台東区花川戸2−3−3
  TEL:03−6 8 0 2 - 8 0 3 3
直営店:「ザ・ブーツ・ショップ」(住所は本社と同じ)