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新社長に聞く 丸紅フットウェア 滝井 登氏

アウトドア・ブランド「メレル」が人気。今後はデジタルマーケティングで若者開拓

総合商社系の靴卸の丸紅フットウェアが順調の売上げを伸ばしている。独自のブランドを持ち、マーケティングや流通だけでなく、企画・製造にも関わっており、直営店も2業態、11店舗ある。6月に社長に就任した滝井登氏に現状と今後について聞いた。


ブランド展開がプロダクト事業超す

――大変厳しい状況下での社長就任ですが。
滝井 これまで順調に伸びてきたわけですが、こういった状況になったことで、マーケティングの改革を加速させています。SNSやウエブなどを活用したデジタルマーケティングに力を入れ、取扱っている「MERRELL」「FILA」「IFME
について、各ブランドの世界観を発信していくことで販売を伸ばし、会社を成長軌道に戻していきたいと考えています。

――自社ブランドを展開する一方で、OEMも行っていますが、売上げ比率は?
滝井 当社では「MERRELL」「FILA」「IFME
を中心としたブランド事業とOEM/ODM事業の2つの事業を行っています。数年前からブランド事業に大きく舵を切りましたが、現在ではブランド事業が売上の半分以上を占めるまでになっています。
OEM/ODM事業についても、堅調に推移しておりますが、価格競争がメインとなるような取引は当社にとって厳しく、当社が持つ商品開発力が発揮できるような取引先さまとの取引に注力していきたいと思っています。

“ジャパン カプセル”でライフスタイル提案

――コロナ自粛の反動からか、郊外での健康的なアウトドアが、ファミリーの新たなライフスタイルになっていますが、「メレル」にとって追い風ではないでしょうか?
滝井 そうですね。「メレル」はアウトドア・ブランドですが、これまでのような実際に山へ行くことだけではなく、?家を出たらアウトドア≠ニいう考え方でアウトドアをとらえて訴求していきたいと考えています。「メレル」は生活様式の変化の中で、屋外で活動するさまざまな用途に適したブランドです。人気の高いジャングルモック≠ヘライフスタイルモデルの最も重要な商品の一つと考えております。
現状の「メレル」の主力購買層は40歳から上です。19年SSコレクションではジャングルモック2・0という新モデルを投入し、若年層の掘り起こしに挑戦しています。他のモデルに関しても特性をしっかりと訴求し、ファンになってもらえるよう、SNSの発信を増やしたり、ウエブなどを活用したデジタルマーケティングの強化を行っていきます。

――「メレル」の展開で新たな取り組みは?

滝井 「メレル」では20年秋冬コレクションから?ジャパン カプセル≠ニいう日本発信のコレクションを発売します。ここではアパレルの品ぞろえを増やしており、「メレル
をライフスタイルブランドに進化させる第一歩と考えています。同コレクションのアパレル商品は直営店からスタートしますが、販売状況次第では、来年からさらに拡大していきたいと考えています。
直営店については、あくまでもブランド発信や顧客情報を入手するためのタッチポイントであると考えております。したがって、まだ出店していない地区に数店舗出店する可能性はありますが、積極的に拡大していくことは考えておりません。
直営店で得られた情報を取引先さまの店頭MDに活用してもらい、セルスルーを上げていくことが重要であると考えております。

「イフミー」は機能性と売れる価格設定で人気

――6月には子供靴「イフミー」初の直営店がオープンしましたが、これも「メレル」と同じような目的でしょうか?
滝井 「イフミー」については、ブランドの深化を目指しており、直営店の出店もその一環です。店舗展開については、「メレル
同様に大きく拡大していくことは考えておりません。あくまでもブランド発信や顧客とのタッチポイントと考えておりますので、仮に出店するとしても、あと1〜2店舗といったところです。
 子供靴(未就学児向け)のカテゴリーでは大きなシェアを取っています。これは?機能と価格のバランスが良い商品≠目指して、取引先さまでの店頭情報を基に開発してきた結果です。高機能で、取引先様が販売しやすい上代設定にしたことで、魅力的な商品となっています。昨年から「イフミー・カラン」という、これまでのモデルとは違った、ママに支持されるオシャレな女児向けの新しいコレクションも発売し、好評です。

――「フィラ」では、新しいイメージで展開していますが。
滝井 当社唯一のファッションブランドです。発売当初より厚底スニーカーの流行をとらえ市場をリードし、大きく伸ばしました。今後はバスケットやテニスといった、本来のスポーツのパフォーマンスカテゴリーにも注力し、ファッションにパフォーマンスを付加した総合ブランドとして安定化させていきたいですね。

――Eコマースは、各社も力を入れて取り組んでいるようですが。
滝井 8月7日に「メレル」ブランドにて自社ECサイトを立ち上げました。現状の直営店の状況を見ると、都心から少し離れた店舗は復調しておりますが、都心部の店舗はまだお客さまが戻っていません。直営店の落ち込みをカバーすべく、また、地方のお客さまが買いやすいようにEコマースをオープンしました。将来的には「メレル」だけではなく、他のブランドにも広げていきたいと考えています。