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地元で生きる いとうシューズ(東京・荒川区)

常連は地元の60〜70代。バッグや洋服も扱うおしゃれな専門店

地元の顧客層に合わせ アイテム数は絞り込む

東京・荒川区「はっぴいもーる熊野前商店街」。ここに地元を中心に長年固定客に支えられてきた靴店がある。昭和の高度成長時代より商売を始めたという「いとうシューズ」だ。店先に立つ竹林かよ子さんは2代目の店主、約50年ものキャリアを誇る。
生き残りの難しい個人店だが、「いとうシューズ」の強みは、がっちりと固定客をつかんでいる点だ。
主な年代層は60〜70代。8割が固定客で、元気な80代以上の方もいるという。男女比は1対9で圧倒的に女性が多い。男性はリタイアした年代の利用客が大半を占めるが、70〜80代でもほとんどスニーカーの愛用者が多い。革靴も扱っているが、これは冠婚葬祭用に需要があるためだ。
取り扱っている靴はムーンスター、アサヒシューズ、アキレスを筆頭に、世界長ユニオンやパンジーなどのスニーカーやコンフォートシューズが中心。アイテム数は地元の顧客層に合わせて絞り込み、顧客の要望や足の状況に合わせた品ぞろえをしている。「数が多すぎると、何が自分に合うのかお客さまにもわからなくなるうえ、サイズや幅の問題もある。最適な靴を選ぶのは難しくなる」というのが理由だ。

私の目で勧める靴を選び毎回試履してもらう

「外反拇趾、扁平足、巻爪などの問題を抱えている方も多い。ですからお客さまに合わせて、こちらからお勧めする靴を選びます。サイズはメーカーによって違いますから?靴はまず履かないとわからないですよ≠ニ説明することが大事。ふだん24pを履いている方も、メーカーによっては23・5pがピッタリということもありますからね。それを前提に。あとはお好みに合わせて選んでもらうという流れで接客しています」。
勧める靴はあくまで顧客の予算に合ったものだ。
「7000円くらいの靴を売った方が利益はありますが、まずはご要望に応じることが使命です。単価の高い商品ばかり売りたがってはいけません。この姿勢を大切にすることで?いとうシューズさんのところならなにか見つけてくれる≠ニいってくださるようになるのです。靴の専門店をやっていて良かったな、と商売冥利に尽きるところですね」。



来店客が選びやすいよう値下げ品もきれいに展示

20坪ほどの狭い店舗のため、在庫管理や品ぞろえも専門店ならではの特色がある。?店にとっては管理がしやすく、来店客にとっては見やすく≠重視した売り方と陳列の仕方に心がけている。
「去年の在庫は2割引、4年以上だったら半額で売る。これらを店頭にきれいに並べてお客さまに見ていただけるようにしています。きれいに並べて置けば、万引き対策にもつながります

またバッグや洋服などを展示することで、店内をファッショナブルなイメージに見せている。
「5000〜6000円の値段で売れるものでまとめています。和柄の服を置いてあるところが少ないので、遠くから洋服だけ買いに来てくださるお客さまもいます。20着仕入れた洋服がすぐに売れてしまったこともありました」。
荒川区は都内でも元気なお年寄りが多く、まだまだ年齢なりにおしゃれをしたいという方も少なくないよう。
「賑やかなところに買い物に出たり、いろいろな商品を見たりする環境にいると、ボケ防止にもいいような気がします。私もすでに70代ですが、?まだまだ元気で店を続けないと≠ニ奮い立たせてくれるものがあります」。

東京都荒川区東尾久5丁目17−14
TEL:03−3894−7000