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コンフォートと生きる

靴のシバタ(埼玉・桶川市)

和菓子職人から転身

手先が器用で、修理も行う

「靴のシバタ」は、JR桶川駅直結のショッピングモール「おけがわマイン」3階に、約14坪のショップを構える。おけがわマインは32年前にオープンした地域でも草分け的なモールで、桶川駅前の路面店からモールの開業と同時に移転している。

現在の代表は中村典征さんで、20年前に縁あってこの店を引き継いだ。それまではなんと和菓子職人であったという。

「以前から、靴の販売と修理を行っていたお店でした。和菓子職人で手先の器用さには自信があり、靴の修理もできるのではないかとお引き受けしました。雇用されていたときとは違って、がんばっただけのことはあり、やりがいがあります」(中村典征代表)。

おけがわマインの創業後、ベニバナウォーク桶川、久喜のモラージュなど次々に巨大モールが周辺にオープンし、桶川地区は日本でも有数のショッピングモールの激戦区となった。その中で小型のおけがわマインは、地元シニア層を中心に着実にファンを増やしてきた。靴のシバタの顧客層も、そうした地元の60〜70代で、ことに女性が多い。


国産コンフォートとウォーキングを軸に

品ぞろえは、1万円台の国産コンフォートとウォーキングブランドが中心となる。仕入れ先はアサヒシューズ、ムーンスター、アキレス、テイト、アモーラ・エイカなど。

顧客の多くが、外反母趾、足底筋膜炎、膝の痛みなどのトラブルを抱えている。ていねいに話を聞き出し、「この靴は足なり設計になっていて指先がゆったりしていて、外反母趾でも楽に履けます」などと最もその人に適した靴を選ぶ。
売れ筋は「アサヒ メディカルウォーク」で、多くのファンもついているが、販売するのには時間が必要になる。

「メディカルウォークは、膝の痛みを防ぐことが目的なので、足入れすると『固い』と言われる。ホールド感があるため、固く感じられるのです。『ソールにあるスクリューも、膝の負担を逃がすためにあるのですよ』などと、理解していただいたうえで販売していきます。人によっては最初、筋肉痛のような症状が出る場合もありますので、こちらも前もってきちんと説明しておきます」。

もう一つが、テイトの「LOIR et CHER(ロワール・エ・シエール)」で、スタッドレスタイヤのようにグリップ力のあるアウトソールが人気になっている。足が自然に前に出る感覚もあり、全色揃えている熱心なファンもいて、パンチングの入った夏物はあっという間に売り切れてしまった。

ただし、シバタ靴店はコンフォートオンリーのショップではない。店頭にはお多福産業の磁気シューズや「パンジー」の靴、たたみサンダル、ダンスシューズなども並ぶ。やはり、地元のニーズに合わせたものだろう。



自ら足入れ感を確認、販売につなげる

靴のシバタの特色は、靴の修理も行っていることだ。修理は中村代表が自分で手掛けており、それによって靴の構造をよく知り、販売へとつなげている。8割がかかとの減りの補強で、ウエッジソールでも修理してくれる。

中村代表には、もう一つの秘策がある。実は足のサイズが23・5cmで、実際に女性の靴を自分で履いて、クッション性などの足入れ感を確認している。
「レディスを販売するには、最大の武器ですね。よく、『お宅で買った靴、失敗したことがないの』といわれますが、このためかもしれません。これからも、コンフォートやウォーキングを軸にし、大手ナショナルチェーンにはないきめ細かな接客で販売していきたいです」。

埼玉県桶川市若宮1−5−2
おけがわマイン3F
TEL:048−787−6639