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新市場を狙う 「ミニウォレット」キャッシュレスの進捗で需要拡大

長財布に代わって手のひらサイズに

財布売場に異変が起こっている。財布コーナーでは圧倒的な存在感のあった長財布が、キャッシュレスの流れから動きが悪くなってきた。特に三方にファスナーのついたラウンドタイプは、重さやボリューム感もあって敬遠されがちだ。
代わって、コンパクトな二つ折り財布、ハーフL字型、三つ折り財布など、手のひらに乗るサイズのタイプが、男女問わず浸透してきた。L字の長財布でも女性の手でも持ちやすいコンパクトな幅で、ごく薄いデザインが支持されている。
 売場でも「一斉にコンパクト財布にシフトしたわけではなく、薄いL字財布はまだ根強く支持されています。ただし、今までのように『長財布さえあれば良し』だったころに比べると、現在の長財布の売上げは、今までの5割以下にとどまっていると思います」と話すのは、「エクルー」二子玉川店の橋本望店長。

ウォットポーチからスマフォケーズに進化

ミニサイズ誕生以前に、バッグと財布の中間的なアイテムが支持されたという経緯もある。「ウォレットポーチ」は、財布とポシェットが合体したショルダーで、手ぶら感覚のお出かけが楽しめる、これまでにはなかった画期的なアイテムだ。?財布機能のついたポシェット≠ニいう意味合いの商品だったが、最近では「スマートフォンケース」が主になったタイプに移行するなど、新たな進化を遂げている。
近年、キャッシュカードやQRコードによるスマートフォンでの支払いが増えたことに加えて、レジで現金のやり取りが、コロナ禍で?ウイルスを媒介するかも≠ニいった悪いイメージがついたことも背景にありそうだ。
百貨店の平場などでも、こうした長財布からミニ財布への人気シフトは顕著で、リニューアル後に長財布を一割程度に縮小し、代わりにコンパクト財布やスマートフォンケースなどを大幅に増やしたという売場もある。

さらに多彩になる「スマートアイテム」

長財布市場はかつて、分かりやすい有名ブランドが付いたものが長らく売場の主役であり、クリスマスギフトや「母の日」「父の日」などの定番だったが、その地位も揺らぎつつある。
「クリスマスの日にプレゼントを交換するという『クリスマスギフト』のマーケットは、『バレンタイン』や『ハロウィン』などのイベントに押され気味になっています。また、自立した女性たちにとって財布は、風水的な意味合いも大きいため、自分で好きなデザインを買いたいという流れに変わってきたんだと思います」(橋本店長)。
最近では、コンパクト財布やフラグメントケース、カードケース、スマートフォンケースなどの、小ぶりな革小物を総称して「スマートアイテム」と呼ばれている。フランス製カーフを使い、裏面にポケットを付けて機能的にし、さらにショルダーヒモにスタッズのついたアクセサリー感覚のものなど、バリエーションも豊富になっている。カード段やミラー付きなど、それを持っていれば手ぶらで外出もOKという便利なものだ。
革小物や財布も、スマフォ重視の人、財布の二個持ちの人など、ライフスタイルに応じて使い方が変化している。従来の?お金を入れるもの≠ニいう概念に縛られず、今後はスタイリング提案のひとつとしてとらえる必要がある。