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スキルアップへの取り組み


知識だけでなく心も学ぶ「リーガルカレッジ」と
接客力を競う「全国接客ロールプレイングコンテスト」

研修プログラムをレベル別に3段階設置

 リーガルコーポレーションでは、以前から「REGAL SHOES」の販売スタッフを中心に行われていた教育プログラムを基に、2009年に研修システム「リーガルカレッジ」をスタートさせた。それまで直営店とフランチャイズ店や他業態の小売店舗、百貨店の販売スタッフとの間で教育体制にばらつきがあるなど、課題も多かったためである。「グループとして小売りに力点を置いていくには、売場の力を強くしていかなくてはならず、それには体系化された教育の場が必要である」という考えが背景にある。
 リーガルカレッジは、レベル別に3段階に分かれており、それぞれのプログラムと課題研修がある。
 レベル1は、入社3ヵ月をめどに受ける基礎的なもので、接客、マナー、足と靴の知識を4日間にわたって学ぶ。
レベル2は、クレーム対応などを学ぶ接客研修・店舗演出を学ぶビジュアルプレゼンテーション研修・足とフィッティングについての社内資格を習得するフィッティングモデレーター研修・工場見学を通してモノづくりを学ぶプロダクト研修の4つのプログラムがあり、各2日間かけて学ぶ。
レベル3は、店長もしくは店長に準ずるスタッフ向けのリーダーシップや計数管理、コンプライアンスなど管理職として必要な知識を深めるための研修だ。


モノづくりの思いを知りお客さまにも伝える

 このほか、課題別の研修もある。一つが「シューケア」で、お手入れの技術とともに、皮革の知識も2日間にわたってじっくり学ぶ。修了すると「シューケアアドバイザー」として社内認定される。
 人気のコースとしては、レベル2にあるプログラムの一つである「プロダクト研修」があげられる。工場を見学しつつ靴の企画〜製造工程を知るコースで、実際に靴ができていくシーンは魅力的であり、それらを体験することで「お客さまに商品の良さを伝える原動力」となる。
 2019年度には延べ320人がリーガルカレッジを受講、最も人数が多かったのがレベル1のコースであった。講師は基本的に各分野に長けた社員だが、シューケア研修などでは外部から専門の講師を招くなどしている。
 「リーガルカレッジでは、接客や靴の知識だけではなく、おもてなしの心や靴のできた背景やモノづくりの思いも伝えていきます。その思いが、さらにお客さまにも伝わっていくのです。単に知識・技術だけではなく、心の部分も教えていこうというのが、リーガルカレッジの基本的な考え方なのです」(人事部能力開発課 中谷孝課長)。

良いところを学び合う「ロープレコンテスト」

 リーガルカレッジが開講した同じ2009年、「全国接客ロールプレイングコンテスト」もスタートした。接客のレベルアップをめざし、互いのよい部分を学ぶこと、またエリアをまたいだスタッフの交流を図ることなどを目的とする。全国を9つのエリアにわけ、毎年10月末から地区予選を開始。全国の店舗から出場者を募り、昨年度は96名がエントリーした。
 エントリーが決まると、それぞれの参加者に本部から「接客するお客さまの年代、サイズ、性別」などの情報が提示される。これを基にお勧めする靴を5足用意し、ロールプレイングの本番に臨む。接客の流れは参加者が自分で考え、店舗をあげて練習をサポートする。

 持ち時間は10分。アプローチ、ヒヤリングなど各段階に評価ポイントがあり、地区大会では能力開発課のスタッフの他、スーパーバイザーも審査員を務める。最優秀賞、優秀賞、特別賞、ベストドレッサー賞が各1名選出され、最優秀賞の受賞者と優秀賞受賞者から選抜された12名が新浦安本社で行われる全国大会に出場できる。
 全国大会は毎年2月に行われ、最優秀賞と優秀賞、大会によっては特別賞が各1名に授与される。最優秀賞には賞金のほか、自分が体験したい場所に行ける「感動体験ツアー」が贈られる。
 「出場するとたくさんの気づきがあります。ほかの参加者の接客を間近で見ることによって、自分の接客を見つめなおす機会にもなります。自分自身にとって、大きな自信となり、プラスになるのです」(人事部能力開発課 舟橋幸恵さん)。
 同社の接客力は、日本ショッピングセンター協会や各ディベロッパーが主催するロールプレイング大会でも上位で表彰されるなど高く評価されるようになった。
 今年は残念ながらコロナ禍の影響で、コンテストを開催することはできなくなった。能力開発課では「今年はさまざまな課題ができた1年、来年は2年分、よりよい大会にしていきたい」と考えている。