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昨年末に中国・武漢で発生した新型コロナウイルス感染症は世界上に蔓延した。日本経済に大きな影響を及ぼし、とくに4月の非常事態宣言に発令による自粛要請は、業界にもダメージを与えた。
 本誌編集部では6月末にコロナ禍の影響を調べるために、靴・バッグの小売店とメーカー・卸を対象にアンケート調査を行った。その結果は、5月下旬に非常事態宣言は解除され、春夏商戦は60〜70%に回復したものの、秋冬もコロナの影響は続くと予測し、依然として前年割れを見込むというものであった。
今年の皮革業界の主な倒産企業は35ページに一覧で掲載しているが、この中には新型コロナ流行に関連して、受注の大幅な減少や店舗の集客低迷による倒産が発生している。業績低迷は以前から続いており、ここに今回のコロナが後押しをした格好で、今後の見通しが立たない企業がほとんどだ。

医療機関を中心にマスクや義援金を寄付

コロナ禍でマスク不足が問題となる中で、マスクを無償提供する企業が業界からも現れた。靴メーカーのパンジーは、自社工場を使ってマスクを製造し社員だけでなく、取引先や地域機関に配布しており、その数は9月時点で1万5000枚を超えるいる。神戸の革靴メーカー・エルフも自社店舗で、3000枚(1袋3枚入り)のマスクを無料提供している。
SPA展開する靴小売のダブルエーは、医療従業者に対して靴1万足とマスク(1人5枚)をプレゼントした。オンラインストアへの会員登録してもらうという販促目的でもあったが、タイムリーな提供に対しては2万を超す応募があり、急遽、応募者全員に靴とマスクを提供した。
皮革業界らしいスタイルで、医療従業者への支援を行う活動も進んでいる。「ブルーレザープロジェクト」と名付けた同寄付活動は、皮革卸の丸喜が事務局となって呼び掛けているもので、現在までに業界関連の企業など●社が参加している。参加費として最低3万3000円を寄付しているが、このほか、小売店ではブルー系のレザーを使って作られた靴やバッグを販売し、その一部を寄付することも行われている。同プロジェクトは12月31日まで行われており、参加企業も募っている。寄付金額の公表は21年1月の予定。