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2020年


■  (L…レディス、M…メンズ、S…スニーカー)

      

シーズン商品が人気となったレディス 

2020年は営業自粛の影響で、多くのショップで春商戦に大きな打撃が見られた。春商戦が抜けた形となり、盛夏のサンダルや秋のブーツなど、季節商品が大きく注目される一年となった。ヤングトレンドではロングブーツの復活も見られ、目新しいトレンドがより強く求められた。しかし、多くの靴専門店ではブーツの提案が遅れ、売り逃しも目立った。(高橋悟史/アジアリング)




 横綱  ニットアッパーのスニーカー (L,M)

 昨年ころから新たなアイテムとして登場してきたニットアッパーのスニーカーが、今年は幅広い年齢層に支持され、普段履きの靴として3000円を切る商品も登場するなどボリュームで売れた。
若年層にも売れたが、ミセス層の支持は高く、既存のスニーカーに代わって売れた。
また、軽量で適当なフィット感がある快適なシューズとして、コンフォートシューズとしても人気となった。ニット使いは秋冬商品ではブーツにも使われ、人気商品となった。



 大関  フラットサンダル (L)

 2020年は「フラットサンダル」の当たり年。
フラットサンダルといえば、シーズン末期に着用される低価格のナチュラルサンダルのイメージが強かったが、今年はサンダルのトップトレンドとして、エレガンス志向の強い女性に、高単価のベタサンダルが大人気となった。
シンプルな横ストラップタイプやビーチサンダルのようなトングタイプを、上質の本革で再現し、金具使いなどでモードな雰囲気にアレンジする点が新しかった。



 大関  ローファー (L,M)

 ローファーは男女ともに大ヒットとなった。元々「オジ靴感覚」の一つとしてレディスのヤングトレンドで火が付いたが、2020年は足入れが良く、スニーカーのような履き心地のカジュアルローファーが充実し、大人世代やミセス世代にも大きく広がった。一方、男性の靴好きの間でもドレスローファーが人気を集め、ソフトロングノーズタイプからラウンドタイプまで、さまざまなローファーが幅広い世代に支持された。



 関脇  ドクターマーチン (L,M)

男女ともに「ドクターマーチン」人気が大きく拡大。
春は短靴タイプが人気で、夏はサンダルタイプが実売となり、秋からブーツが売れた。
年間を通じてさまざまなマーチンを楽しめるのが大きな特徴。
靴店では定番の3アイレットの短靴や8ホールの定番ブーツの提案が中心だが、2020年は厚底タイプ、ローファータイプ、デザインタイプなどが支持された。
靴店でもマーチンブームをサポートしていきたい。



 関脇  クラシックコートスニーカー (S)

 スニーカーでは、男女ともにクラシックコート・タイプが大復活となった。
前回のクラシックコートブームは、アディダスの「スタンスミス」を中心にテニスシューズが人気となったが、今回はナイキの「エアフォースT」を筆頭に、よりボリューム感のあるバスケットタイプが注目された。
レディスでは、さらに厚底ソールのアレンジタイプが登場するなど、ポスト・ダッドスニーカーとしてクラシックコートが大きく注目された。



 小結  スポーティーサンダル (L,M)

 スポーティーサンダルは昨年に引き続き人気となったが、2020年はより大人世代やミセス世代に広がった。
国内靴ブランドの提案する本革使用のスポーツサンダルは足入れも良く、適度なボリューム感なので、ミセス世代でも楽しみやすい点がヒットにつながった。
メンズでも同様に、本革のストラップサンダル、高品質のスポーティーサンダルが実売となった。



 前頭一  フラットパンプス (L)

 通勤履きからデイリーカジュアルまで、汎用性の高いフラットパンプスが安定需要となった。
今年はポインテッドトウやソフトスクエア、アシンメトリーカット、オープンタイプなど、目新しいデザインも充実し、幅広い世代により浸透していった。光沢カラーや全面パンソンなど、大胆な色や柄が取り入れ易い点も人気の大きなポイントとなった。



 前頭二  ミュール&スリッパシューズ (L)

昔のつっかけ感覚に近い、「シンプルミュール」や「スリッパシューズ」が大きなトレンドとなった。
梅春はフラットソールで踵なしのビットローファーなどのスリッパシューズが先行ヒットし、そのまま春〜盛夏にかけてシンプルミュールが実売となる流れができた。
ただし、旧来のつっかけとは異なり、スクエアラストやエレガントな金具使いなど、モードアレンジされている点が大きなポイント。



 前頭三  厚底ランニング (S)

 2020年1月の箱根駅伝を席巻した「厚底ランニング」。
メディアではドーピングシューズと呼ばれ、大きな話題となったが、ユーザーの購入モチベーションを高めていった。
また、コロナ禍での運動不足解消のため、ランニングを始める人も急増し、厚底ランニング需要の追い風となった。



 前頭四  ロングブーツ (L)

 ロングブーツはかなり長い期間「休眠状態」が続いていたが、2020年からトレンドでいよいよ復活。
都心部の若い層を対象とするショップでは人気となった。ヤングトレンドでは、ショートパンツやミニスカートにロングやオーバーニーを組み合わせ、大人世代は膝丈のスカートとロングを組み合わせるなど、新しいロングブーツの楽しみ方が登場した。
来年はより全国区でロングブーツが復活するので、売り逃しのないよう準備しておきたい。





西 バッグ   

エコバッグが新登場、財布はさらに小型に


  新型コロナウイルスの流行は、バッグ業界にも大きな影響を及ぼした。テレワークの拡大で、通勤用やトラベル用のバッグが大打撃を受けた。マスクをしまうケース類もヒットした。また7月からの「レジ袋有料化」に伴い、多様なバリエーションのエコバッグが登場した。先の見通せない現状でも、ユーザー目線でさまざまな工夫を続け、販売につなげている。(川ア智枝/CHIENOWAコミュニケーション)




 横綱  エコバッグ (L,M)

 生活の必需品として、ギフトとして2個、3個と購入する人も多かった。折り畳む手間をはぶいた「シュパット」や、ミュージアムプリントを施した「LOQI ( ローキー)」などがヒット。
ただ単価は1000円〜2000円程度の低単価が中心。メンズ向けとして小ぶりなタイプも登場した。小さく折り畳める「ナノバッグ」や、素材に工夫を施した「ハンカチ×エコバッグ」



 大関 コンパクト財布 (М,L)

 昨年に引き続きキャッシュレス¢ホ応のアイテムは好調だったが、特にこのコロナ下では「お金に触ること」を避ける動きも出たことで拍車がかかった。キャッシュカードやスマホでの支払いによるキャッシュレス化が一気に進んだことで、長財布からコンパクトな財布を探す人が男女ともに増加した。一方で、コンパクト財布はあまりにもモノが入らないことで、長財布に逆戻りという現象もみられた。



 大関 マスクケース (M,L)

 マスクが不可欠となったコロナ下では、外で食事をする際に、自分のマスクを一時保管する「マスクケース」のニーズが高まった。
バッグや革小物を作っていたメーカーも、革素材、帆布、クリア素材などでさまざまなマスクケースを打ち出した。「抗菌加工レザー」を使い、安心をアピールするところもあり、ギフトとして複数購入されるケースも。



 関脇  フラグメントケース (L,M)

 キャッシュレスの流れを受け、「カードケース」と「コインケース」を合わせたシンプルなフラグメントケースがヒットした。
カード段が4、5段あるものが多いため、カード派の人には便利アイテムとなった。コインスペースをファスナーにし、折ったお札を入れても使える。ハイブランドもこぞって提案したことから、幅広い世代に認知された。D環付きのものに別売りストラップをつけて、首から掛けるコーディネイトも見られた。



 関脇  大ぶりトート (L、M)

レジ袋の有料化で、エコバッグを持つだけでなく、大き目なトートバッグで荷物をオールインワン≠ナ収納するという人も増えた。
コロナ以前はレディスのバッグは小ぶりサイズが人気だったが、エコバッグや2個持ちが面倒な方は、大きめを一つ持ちという流れになった。
またGoToトラベル用に、キャリーケースは目立つので、大き目トートやボストンで旅行バッグを代用するという方も登場した。



 小結  スマホケース (L,M)

今やスマホは財布代わり。スマホケースにカードスロットが付くのは当たり前で、コインケース、ミラー付きなど多機能化≠ノ拍車がかかっている。
またショルダーをつけて斜め掛けするコーディネイトも増加。百貨店のバッグの平場の中には長財布を削減し、アイフォーン・ケースを中心としたスマートアイテム≠そろえた売場も誕生した。
ハイクオリティな打ち出しで、革バッグ並みに売上げを作るブランドも出てきている。



 前頭一 パソコンリュック (M,L)

テレワークが加速し、春先には多くの人がオフィスのパソコンを家に持ち帰る必要に迫られた。
その際に男女とも、ノートパソコンが収納できるリュックを探す人が増えた。また通勤電車の車内では、リュックの前持ちがマナーになってきたことから、薄型で前持ちでも使いやすい「エースジーン ガジェタブルシリーズ」が人気に。
レディスでも同様にパソコン対応の機能が求められており、今後の標準仕様になりそうだ。



 前頭二  パンチングレザー (L)

春先、先行して動いていたのがパンチングレザーを使った商品。
軽さと涼しさを演出する加工として人気で、今年はシューズなどでも目立っていた。
今年は円形、スクェア、文様風、各種組み合わせなど、さまざまなバリエーションが広がった。
素材もスムースだけでなく、箔加工、スエード、ヌバックなどにパンチングを施した2次加工の個性派バッグも人気となった。



 前頭三  地元応援型ブランド、デザイン (М,L)

 今年は県をまたいだ移動が制限された時期が長かった。このことを逆手にとって、地元でのものづくりの見直しや、地元素材の発掘といった動きも見られた。
「TAデザイン」は地元愛知県の伝統工芸「有松絞り」を使ったバッグを提案。
また、徳島産の藍を前面に押し出し、藍色に染め上げた革で小物やシューズなどを作るといった動きも。
藍は抗菌・防臭などの効果が見込めるといった点でも広く支持された。



 前頭四  手持ちのミニトート (L)

 年間を通してカジュアルな軽量タイプが席巻した1年だったが、レトロ回帰で、一本手のクラシックなハンドバッグを、若い世代があえてコーディネイトするというスタイリングも見られた。
中には小さめサイズのミニトートを手持ちするという若者もいた。
コロナが落ち着く頃には、さらにクラシックなスタイルが期待できるかもしれない。