今月の記事・ピックアップ 2021・1
 HOME > フットウエアプレス > 地元に密着 イトウ靴店 大船店(神奈川・鎌倉市) 
地元に密着 イトウ靴店 大船店(神奈川・鎌倉市)

「このお店に来てよかった」という顧客ファンの声を大切に

さまざまなヨーロッパのブランドをそろえる

 神奈川・大船駅東口は、大きな魚市場や青果市場があり、庶民の台所として繁盛している一角だ。中でも「仲通り商店街」はその中心で、昼夜を問わず人通りが多い。「イトウ靴店」はここに1958年から店を構えており、現在の伊藤徹社長は2代目にあたる。
 以前はキッズ、レディス、メンズとフルラインをそろえた「街の靴屋さん」であったが、70年代後半にスーパーマーケットが誕生し、安価な靴を大量に販売するようになったことがきっかけとなり、差別化のためインポートシューズを扱うようになった。だから「スーパーがなければ、今でもフルラインだったと思います」と伊藤社長はいう。茅ヶ崎市には住居兼本店店舗がある。
 バックヤードも含め約12坪と小振りな店舗だが、品ぞろえは多彩だ。国内では「アサヒメディカルウォーク」「ヨネックスパワークッション」「ボンステップ」「サロンドグレー」(クレッセント)など。インポートでは「メフィスト」(メフィストジャパン)、「フィンコンフォート」(シアンインターナショナル)、「リーカー」(バン産商)、「アラ」(ウエスキー)、ピコリノス(ニチマン)など。
さらにフィンランドの「カルフ」(シード・コーポレーション)のスニーカーや、遊び心のある「ジョイ&マリオ」(ヒューマンカンパニー)などもあり、店内を見ていて飽きない。ブラックパンプスのコーナーもあって、「菊地の靴」(ダイナス製靴)や、シアンシューズのオーダーシューズも扱っている。
 




「デジフィットシステム」で、最適なインソールを探す

 顧客たちは40〜60代の女性が中心で、鎌倉、横浜、藤沢など近隣に住んでいる人がほとんど。外反母趾や開張足などのトラブルを抱えている人が多いため、まずは足を触診し、「ここにたこがある、甲が薄い」などその人の状況を把握する。そののちリーガルコーポレーションの「デジフィットシステム」を使い、足を計測してインソールをセレクト、靴と合わせて販売する。これで90%以上は足にフィットするというが、足の状況を見てさらに加工していくこともある。
 「このお店に来て良かった、ここに来れば間違いない、というお声をたくさんいただいており、大切にしていきたいです。先代は靴職人でしたので、フルラインを扱ってきた時代から足に優しい靴を扱うことをモットーにしてきました。今はあまりごつくない、スタイリッシュなものもチョイスしています」(伊藤社長)。

バチェラーの資格で応対顧客の信頼を得る

 ショップは、伊藤社長と娘婿である岸澤真さんの二人で運営している。岸澤さんは大学卒業後靴メーカーに勤務、販売畑を歩いた。後にコンフォートシューズのショップでの店頭勤務も経験し、6年前にイトウ靴店に入社した。心強い後継者を得たというべきだろう。さらに、伊藤社長、岸澤さん2人ともバチェラーシューフィッターの資格をも取得している。フィッティング時に役に立つことはもちろん、顧客に大きな信頼感を与えるに違いない。
 今後舵取りを任される岸澤さんは、靴とショップに対してどんなビジョンを持っているのだろうか。
 「服では、安くていいもののニーズが高まっていますが、こと靴に関しては安くていい商品は成立しないと思っています。自分自身でセレクトし、『歩きやすい』をコンセプトにしてしっかりと品ぞろえをしていくことにこだわりたい。価格競争には陥りたくありません。例えば店頭のヘップサンダルも2000円くらいの価格で品質のいいものを選んでいます。丈夫で長く履けると主婦の方に支持されています」。
 近隣には大手量販店もあるが、あまり気にしない。棲み分けができているからだ。

神奈川県鎌倉市大船1−20−26
TEL:0467・46・6471