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インタビュー 新井康夫氏(日本ケミカルシューズ工業組合 理事長)

        震災を乗り越えてきた神戸メーカー、コロナ禍でも力を結集して踏ん張る<br>

1月に日本ケミカルシューズ工業組合主催の見本市「日本グランドシューズコレクション」が開催された。ここで最近の神戸メーカーの動向などを、同組合の新井康夫理事長に聞いた。

夏商戦に向けたトレンド商品を見せる

――昨年10月展に続いて開催されました。
新井理事長 1月13日より兵庫県にも緊急事態宣言が発令されました。リスクなどを考えると開催すべきか中止すべきか非常に難しい判断を迫られました。最終的には、開催を望む声やこの1月展が最も大事な展示会だというメーカーもあることなどを考慮し、開催するに至りました。もちろん、厳重なコロナ感染防止策を施したうえで実施しています。
――神戸メーカーが打ち出す、トレンド商品への期待は大きい。
パンプスを中心とした春物については、昨年の在庫があることから、あまり期待は出来ないかと思います。一方で、昨年5月末の緊急事態宣言の解除後は、予想以上に夏物サンダルが売れました。最新のファッションを追い求めるお客さまは、新しいトレンド商品の購買意欲が強いと感じています。そのためにも、神戸メーカーがサンプル・アップしているトレンド商品を、展示会を開催することで生かすことが重要だと思います。


組合単位でネットに力を入れる

――産地ブランド「神戸シューズ」や「プレミアムライン」の現状は。
残念ながら、昨年は百貨店での催しなど、リアルイベントの機会はありませんでした。ショップ展開については、コロナ禍の様子を見ながら収束後に改めて判断することになりますが、準備しておく必要はあります。現時点では、組合単位で楽天に出品する他、ZOZOTOWNでの販売も準備しており、コロナ禍で注目されているネット販売に力を入れています。

――メイド・イン・コウベのモノづくりの課題は。
メーカーの熟練の職人さんが減っていることや、これまでのような大量発注がないなどの問題もありますが、中でも資材の供給が間に合わないといったことが、現場の大きな課題となっています。小ロット多品種生産の中で、資材の供給会社が在庫を積んでいないことで、売れた商品ほど追加する納期が短いため、補充ができない状況になっています。

――今年もコロナの影響は続くと思うが。
ワクチンが全国民に行き渡り、安心感が出てくるまでには少なくとも今年いっぱいはかかり、厳しい状況は当分続くと思います。コロナが終息しても、コロナ前の状態に100%戻るのは難しいのではないかと考えます。
終息の見えないコロナ禍ですが、神戸の組合員は阪神・淡路大震災をはじめ、これまでに幾多の難局を乗り越えてきた実績もあります。
もう一度力を結集して、この国難を乗り越えていきたいと思います。