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ブランド・クローズアップ 日本発のエシカルブランド「FUMIKODA(フミコダ)」

エグゼクティブに向けたスマートラグジュアリー



長年ITコンサルティングの仕事に携わっていたCEOの幸田フミさんは、軽さと機能性が高く、かつスタイリッシュなビジネスバッグを日ごろから探し求めていた。「世の中にないのなら、自分で作ってみよう」と思い立ち、エグゼクティブな女性をターゲットとしたブランド「FUMIKODA(フミコダ)」を2016年に立ち上げる。
デザインは仕事柄、ノートパソコンは必須。また雨の日も気にせず使え、クライアント先でも悪目立ち(わるめだち)することなく、自分の矜持をさりげなく示してくれるような存在感のあること。必要なアイテムがバッグからスッと取り出せ、加えて“サステナブル”も不可欠だった。
コンセプトは「スマートラグジュアリー」。現在では「エシカルなバックブランド」として認知を高め、直営店をはじめ、百貨店のポップ・アップ・ショップなどで展開しており、士業の方や管理職の女性などにファンを多く持つ。メディアなどのPRも浸透し、著名人の方々が“エシカルであること”を理由に支持していることもブランディングに一役買っている。「私と同じように“バッグ難民”だった女性たちから、このプロジェクトを支援して頂きました。同時にモノづくりのイロハなども、多くの方から教えて頂き助けられました」と幸田社長は振り返る。


“アニマルフリー”にこだわり天然皮革に近い人工皮革を使用

「エシカル」と呼ばれるに至った大きなポイントが、バッグに使われている素材。高級車の内装で使用される、耐久性の高い「人工皮革
を採用した。基布部分を天然皮革の“組成そのもの”に近づけて作った素材で、強度が高く、水に強く、軽量なことがバッグには最適と考えた。
「素材は国産で、メートル単価は数千円と、合皮とは比べ物にならない高価な素材です。端材も無駄にならないよう、できる限り小物などにアップサイクルしています。動物にも環境にも負荷の少ないことを考えると、ここに到達しました。エシカルとは、自分の周囲のことについて“思いやること”が基本にあるように思います」と幸田さん。
バッグに付けられたべっ甲風のパーツには、福井・鯖江で製造され、原料がほぼ植物性の植物性の「セルロースアセテート」を使用した。仕上げは手で磨くため、濡れたようなツヤが印象的だ。ターコイズブルーの金具は「高岡銅器
。三代目の職人と共に、このブランド用にオリジナルのパーツをデザインしたという。他では見られない、重厚感ある渋い輝きを放っている。

フラップが付け替えでオンからディナーシーン対応

ラインアップはシーズンごとにガラリと変えず、定番のショルダーバッグの大・小サイズ、クラッチバッグ、「ダイバーシティライン」と呼ばれるユニセックスな大ぶりトートが主なコレクション。ただし、フラップ部は取り外し可能で、好きなデザインに着替えられる仕様にしている。クラッチも同様だ。
「ひとつのバッグでさまざまな表情を楽しめるようにしました。大きめなチャームも、つけるだけでラグジュアリーな気分を味わえます
。オンからディナーシーンへと、自由に切り替えられることも、働く女性のライフスタイルに寄り添った幸田さんならではの発想だ。
幸田さんはアメリカの大学で学んだ経験があり、海外から日本を見たときに、その素晴らしさに改めて気づいたことが、このものづくりと繋がっているという。
「日本には、他国にはない美しい工芸品を作れる職人の技術力があります。このブランドを立ち上げたことで、そのことを再認識しました。彼らが今後も生き残って欲しいからこそ、変わろうとする意識ある職人たちとタッグを組んでいます。ITのテクノロジーをもっとこの業界が取り入れれば、日本のものづくりの人たちが夢を抱くことが出来るのではないかと考えています


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