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マドラス
100周年で本社工場にミュージアム開設

――本社工場を公開し、小中学生などの工場見学を開始

マドラス(名古屋市・中区)は、創立100周年事業の一環として、愛知・大口町にある本社工場(大口工場)内に、100周年記念のアーカイブルームとなるマドラスミュージアム「ムゼオ・デ・マドラス(Museo de madras)」を新設した。
岩田達七社長にインタビューした。


エポックメーキングとなった伊マドラス社との技術提携

――今回、ミュージアムを新設した目的は。

「高質な靴づくりを通して、豊かな生活に貢献する≠ニいうマドラスの歴史や伝統の技術、靴づくりの楽しさを伝え、メーカーブランドである『マドラス』のブランド価値の向上を図る考えがあります。
ミュージアムでは多くの方に見ていただくと同時に、本社工場を公開し、小中学生などの工場見学に始めました」。

――100年の歴史のなかで、業界や消費者に貢献できたことは。
岩田社長 1965年、イタリア・マドラス社と提携し、日本に初めてマッケイ式製法を導入しました。このことで、欧米人と比較して華奢な足の日本人に向いた、柔らかい靴が開発できるようになりました。
この点は業界に影響を与え、消費者に履き心地の良い靴が提供できたと思います。

――100年の歴史の中で、エポックメーキングとなったことは。
今お話ししたマドラス社との技術提携は、当社にとって大きな出来事でした。もう一つは、2011年に東京・銀座に旗艦店「マドラス銀座店」をオープンさせ、SPA化を進めてきたこともエポックメーキングになりました。

――靴づくりで変わってきたことは
時代に合わせ、デザインが変わってきています。仕上げの面も、これまでにはなかったような、アンチーク仕上げが増えています。また、最近の日本人の足型の変化に合わせ、さらに履き心地を高めるために、カウンターを大幅に変えるなどしています。どんなにいいブランドや技術を持っていても、時代の変化に対応していかないと立ち遅れてしまいます。



紳士と婦人の同一出店と店舗と連動したEC展開

――百貨店での展開や婦人靴についての今後の取り組みは
百貨店に関しては、アパレルと同じように今後は厳しいと思うので、さらにSPA化を進めることを考えています。
レディスについては、これまでは紳士靴のイメージが強かったが、最近は婦人靴も支持されており、これからが楽しみです。売場展開も、メンズとレディスを一緒にくくった方がいい。東京・八重洲店はそういう形にしていますが、現状の婦人靴の売上げは前々年を超えています。

――ここ10年は小売店の出店に力を入れてきましたが、今後の10年は。
現状のECの広がりを見ると、靴でもECに目を向けていかなければと考えています。と同時に、靴はサイズがあり、画面だけでは買わないと思いますので、試し履きのできる実店舗の展開も必要でしょう。その意味では今後は、店舗がショールーム機能の要素を持つこともあるでしょう。