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企業レポート リゲッタ
    「下駄」にヒントを得たオリジナルデザインのシューズ

若手が活躍する自由闊達な社風

大阪・生野区の大阪メトロ北巽駅から徒歩5分ほど、町工場が集まるエリアに「リゲッタ」の本社がある。広々とした事務所に加え、サンプル開発室、ショールーム、金型置き場までそろう3層建てのクリーンな建物内に、スタッフが働いている。
2019年に「楽しく歩く人をふやす」という経営理念を打ち出した。社内の壁にはスタッフの写真や手書きのイラストが貼られて、社内の自由闊達な雰囲気が伝わってくる。今年は3名の新卒も入社し、平均年齢が30代の若い企業だ。
「16年前は家族経営で社員は5名でしたが、現在スタッフは100名ほどです。立場は社長ですが、スタッフが気軽に話しかけて来る社風です。先日の豪雨では、事務所内まで水が溢れるましたが、率先して社員がバケツリレーし、翌日には嘘のようにピカピカ、あのチーム力はすごかったです」と代表取締役の高本やすおさんは笑顔で話す。

「下駄」にヒントを得たオリジナルデザイン

先代である父親が「タカモトゴム工業所」を創業。高本社長は東京の靴学校に入学して靴づくりを学び、神戸のメーカーで3年間の修行ののち、家業に入った。
2011年に35歳で父親から代替わりし、今年で丸10年目となる。3年前には企画生産会社の「シューズミニッシュ」と、販売会社の「リゲッタカヌー」を合併し、現在の「リゲッタ」に一本化している。
オリジナル「リゲッタ」のフォルムは、2005年に高本さんが開発した。シューズのデザインは、金型を削るところから全て高本社長が手掛けている。「Re:getA(リゲッタ)」というネーミングは、日本の下駄≠ノ由来するもので、その構造からヒントを得て、人間工学の見地から再設計されたものだ。
丸みのある特徴的なソールデザインの「リゲッタカヌー」は、一度足を入れると自然とローリングをサポートし、姿勢よく快適に歩ける。アウトソールがそり上がっているのも、つま先とかかとを保護する役目を担っている。


ものづくりは生野区内で「バトンリレー」

現在の「リゲッタ」のラインアップは、足を覆うデザインの「リゲッタ」、サンダルタイプの「リゲッタカヌー」、足をほどよく指圧するボールを備えた「2ball(ツボル)」の3ブランドがある。
「製品は地元の生野区内ですべて作られています。素材の裁断から縫製、貼りまでの一連の工程を、地元の小さな町工場で製作してもらっています。バトンをつなぐリレーのように、パーツが町全体をめぐりながら完成させます。しかし、職人の高齢化や後継者不足などの問題もあったため、昨年自社工場も作りました」


新たな製品開発をめざし社員に成長の場を提供

東京で開催された合同展では、初めてルームシューズを発表し、好評だったという。また、薄型で超軽量のインソール「bine(バイン)」を開発して、クラウドファンディングに出展するなど、新しいチャレンジをしている。
「クラウドファンディングでは、2000万円を越える支援が集まりました。世の中にない、本当に新しいものが作れば、その価値は伝わることが証明されました。同時に自分たちの自信にもつながりました。
これからは、会社がいかに社員の成長の場≠ノできるかどうかがカギです。『オモロかったらやってみよう』を合言葉に、どんどん社員に任せ、トライする機会を作っていきたい」と高本さんは目を輝かせる。