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特集 仕掛けて伸ばす コンフォート販売

インソール加工

インソールでフィッティングや歩き方を調整


 単に靴を販売するのみならず、インソールを加工・製作してフィッティングの効果を高めることは、現在の靴店には必要な技術だろう。よりパーソナルにならなければ、圧倒的な品ぞろえを誇る量販店に負けてしまうからだ。まずは既存のインソールを加工して調整し、それでは難しい場合はフルオーダーとなる。

3つのアーチを支えるインソール

「キック・オフ」(群馬・太田市)では「足ドッグ」をお勧めしている。カルテがあって、足のサイズだけでなく、足指の変形や足裏のタコなどの状態、足部のバランス、歩行姿勢までていねいに記入するようになっている。
 福田雅昭代表が選んだのが、オーソティックスソサエティーの監修による、DSIS(ダイナミック シュー インソール システム)のインソールだ。これをそれぞれの足に合うように加工し、靴とともに販売している。この方法は医療的な側面が強いので、福田代表はより多くの靴店に広めようと、講習会を企画し、量販店と提携するなどの活動をしている。
 DSISインソールを選んだ理由は次のようだ。
 「3つのアーチを支えるように設計されているからです。ほかのメーカーではどこか抜けていて、3つともというのは少ないです。また、素材がソルボ(人工筋肉ソルボセイン)であることも、よいと思います。さらに、DSISインソールはそれぞれの方の足に合うように加工することが可能なのです。会社によっては加工が許されないものもあります」。

歩き方の指導とセットでインソールを製作

 オーダーインソールは、一般的には1万円以上かかるが、「靴のマルタカ」(東京・八王子)では、手軽に作るもので対応している。ペドカルテ(足型に細かく寸法などを記入したもの)をとり、アサヒシューズから借りている「フットグラファー」で足圧を見てカスタマイズされたオーダーインソールを作る。単に渡すのではなく、靴に合っているか、靴が正しく履かれているか、歩き方が正しいかを見ていく。価格は5500円(初回だけ計測量1000円がかかる)とお手頃だ。その後、靴を特にお勧めすることはなく、お客が自由に靴を選ぶ。お勧めは「アキレスソルボ」「アサヒメディカルウォーク」などだ。
 靴だけではなく、オーダーインソール、歩き方の指導とセットで販売しているところは少ない。目標は自社のインソールを作って販売することだ。




フットケア

足をケアで靴を快適に履いてもらう

 靴を販売すると同時に「足に関することをトータルでケアしよう」と考える靴店も少なくない。だが、フットケアやこれに付随するリンパマッサージなど、リフレクソロジーはフィッティングとは全く異なる分野であり、独自に学ぶ必要があるためハードルは高い。

フットケアのスペースも設置

 「健康靴のプティメゾン」(千葉・八千代市)は、オーナーの古谷瞳さんがまだショップを始める前に「足を知るにはまずはフットケアからと、東京にある学校に通い、そこで靴や足のことも学んだ」という。その後、地元八千代台にショップを開いた際、フットケアのスペースも設置したのは、「いろいろな方の足を診たい」と思ったからだ。
メニューは足裏全体の角質の除去(フスフレーゲ)で1時間5500円、足裏のリンパマッサージ(リフレクソロジー)で40分3850円など。ただしコロナ禍のため新規顧客は取っておらず、「どうしても」という長年の顧客に絞っている。

美と健康をトータルに取り組む

 「地球堂靴店」(神奈川・横須賀市)は、自社ビル4階に「美と健康のトータルリフレッシュサロン プルミエール」を開いている。面積も広く、内装もゆったりできるように凝っている。コースも多様で、足リンパ、足つぼマッサージ(30分2950円)のほか、リラックスオイルマッサージ(60分8500円)やフェイシャルマッサージ(50分6800円)などのエステコースもある。
フスフレーゲコースでは、巻き爪も矯正してくれる。「もう5年間も通っているので何も言わなくても良いし、ていねいにやってもらっていると思っている」「何年もやっていただき、良さがわかっている」など、長年にわたって通う地元ファンも多い。上大岡に支店もある。
ちなみに、地球堂ビルは1階が靴店、2階ダンス・カラオケ用品、3階ダンスホールとなっていて、プルミエールのある4階には横須賀唯一の猫カフェもあり、どれも集客にひと役買っている。

「デトックス足湯」で足を活性化

 山梨・富士吉田の「岡本屋」は、創業100年を迎える老舗である。モットーは、「歩くを楽しく、幸せにする」こと。このためにフットケアも学び、「デトックス足湯」ともいうべき「ゴッドクリーナー・ゴールド」を導入している。水素水を生成する桶に足を入れ、振動を与えると老廃物が出るというもの。
実際に水素水が老廃物によって色を変えていくようすは圧巻で、「体内にこんなに老廃物があったのか」と実感。結果、「さっぱりする」「足が軽くなった」と人気のケアコースになっている。合わせて「爪コース」「角質コース」「爪角質コース」「巻き爪コース」などの充実した施術コースがあり、「ゴッドクリーナー」と組み合わせて提案している。



足関連のグッズ販売

機能ソックスを靴と一緒に勧める

 ソックスやシューレースなど足関連のグッズを販売することは、相乗効果をあげるための一つの方法だ。ことに足のトラブルを抱える顧客が来店するコンフォートショップでは、足の痛みを和らげることのできるソックスなどを販売すれば、独自のファンも獲得できる。

圧着ソックス、ストッキングを推奨

「プティメゾン」(千葉・八千代市)の特別な接客ポイントは、必ずソックスを靴と一緒にお勧めすることだ。店内にはメリノウールで編み上げたカラフルな着圧ソックス「ソックウエル」や、三本指、五本指でテーピング理論に基づく「カサハラ式」ストッキングと靴下などが並んでいる。
 圧のかかった靴下をはくと安定感が増し、外反拇趾、扁平足の予防にもなる。着圧ソックスは静脈瘤やむくみの予防のために履かれるが、同時に疲れもとることができ、足底筋膜炎専用靴下もある。コロナ禍でウォーキングを始めたら、靴を正しく履いていないことが原因で足底筋膜炎になってしまったというケースもある。ホールド感のある専用の靴下を履くことがお勧めで、インソールと併用するとより効果を実感することができる。

フットケアとともに、ソックスで痛み緩和

 「岡本屋」(山梨・富士吉田)では、ケアソックスの「ととのえる」シリーズを導入している。これは、新潟医療福祉大学の阿部薫教授と新潟の企業「山忠」が共同開発したもの。横アーチの崩れを防ぐために中足骨部分が絞られ、趾が重ならないように5本に分かれている、趾部分は生地が二重になっているため外反母趾の予防や痛みの緩和に役立つ、痛みの出やすいかかと部分はクッションが効いているなど、かなり機能的。外反母趾や足底筋膜炎の人にとって有効なソックスだ。
顧客の反応も上々で、「ここで買えてよかった」との声も聞かれる。巻き爪ケアに来店した「仕事中は靴下しか履けない」というお客に「指の腹も使えるように」とお勧めしたところたいへん喜ばれたという。価格はショートタイプ2500円、ロングタイプ3000円(税抜)。
 岡本屋では、フットケアとも合わせ、状況によってお勧めしている。