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売場レポート そごう横浜店

1万足の中から足に合う靴を推奨する「マイサイズスタジオ」が活躍

 そごう横浜店地下1階の婦人靴売場中央にある「レッグ&シューズステーション」で、3月16日から「MY SIZE studio(マイサイズスタジオ)」サービスの提供が始まった。「MY SIZE studio」は、革靴メーカーの団体である全日本革靴工業協同組合連合会が開発した、新しい靴の買い方を提案するサービスだ。
壁面にはカラフルなパンプスが並ぶが、実は靴売場ではない。「お客さまに自分の足のサイズをわかっていただき、ブランドの垣根を越えて靴をレコメンド(推奨)する」場所だ。

計測、試し履きを通して画像から好きな靴を選ぶ

 ここには、優れたシステムとノウハウが詰まっている。来店客はまず「2Dスキャナー」に乗って足を計測。画面では足長、足幅値に加え、足底の形、足圧が見られ、プリントも出てくる。部分的な角度も出せるので、簡単な「ペドカルテ(足のカルテ)」があっという間にできてしまう(注:2Dなので足幅は出せるが足囲は出せない)。さらに画面を進めてJIS規格のページで男・女を入力すれば、測定は終了。自分の足がどのサイズかがわかる。
 次に、壁面に並べられたスケールパンプスでフィッティング。21・5〜25p、ヒール4・5と7・5p、カラーは足幅によって分けられ、ブルー2E、パープルE、ピンクD、オレンジC、イエローBと対応している。そろえられているパンプスは、幅5×8サイズ×2ヒールで、計80足になる。先の測定したデータに基づいて、近いサイズの靴を複数履くことで、感覚も含め自分に最も適した靴のサイズがわかる。
 フィッティングが済むと、今度はタブレットから自分の足に合う靴を検索することができる。3月末の時点で36ブランド約1万足のラインアップの中から、自分の足に合う一足が見つけられるわけだ。さらに、ヒールの高さ、価格、素材(生地、スエード、レイン、スムースなど)、つま先(ポインテッド、ラウンド、スクエア)、カラー(20色)などを自分の好みに設定すれば、より絞り込むことができる。
 こうして画像と「ブランド名、品番、価格、カラー、サイズ」がタブレット画面に表示される。好みのものがあれば、画面に?マークをつけると、プリントアウトされてくる。実際の靴はマイサイズスタジオのスタッフが出してくるが、「このブランドをもっとたくさん見たい」という方は、ブランドのスタッフに任せる。



バチェラーの有資格者がフィッティングをフォロー

 「自分の足を計測したことがない、サイズを知らなかったというお客さまが多いです。ご自分のサイズより大きな靴を履かれてしまう方が少なくありません。緩い靴なら、痛くないと思っていらっしゃる。中で足が動くと、よけい痛くなってしまいます。近いサイズのものを見つけて差し上げられること、これまでトライしたことのないブランドを買うきっかけになることが、とてもよいことと思います」(婦人雑貨部 婦人靴係 婦人靴売場 田中友紀さん)。
 売場を担当する田中さんは、シューフィッターの上位資格「バチェラーオブシューフィッティング」の持ち主。そごう横浜店の靴売場には、プライマリー7名、バチェラー3名と10名ものシューフィッターが在籍し、「マイサイズスタジオ」の運営に大きな役割を果たしている。
このシステムは、売場1万足もの靴の情報をiPad上で紹介するため、写真撮影や展開サイズの登録が必要になる。写真は手分けして時間のあるときにバックヤードで撮影している。サイズはメーカーからのデータによるが、同じサイズ表示でもブランドやデザインによって足囲(幅)はバラバラなので、これをシューフィッターたちが一足ずつ壁面に並べられたスケールパンプスと履き比べて足囲を決めていく。
撮影された写真や展開サイズのデータは、全日本革靴工業協同組合連合会に送られてクラウドに登録されると、店舗のiPadに表示されるようになる。


計測した約半数が購入へと進む

 季節ごとに変化する商品をフォローしていくのは大変なことだが、成果はあった。4月からのカウントで、計測した方が928人、スケールパンプスを履いた方が732人、レコメンド商品を試しばきした方が529人、購入に至った方が450人という結果となった。何と計測した方の48・5%、約半数が買い上げしている。それだけ、信頼感が高いということなのだろう。
 「パンプスをすぐ探すことのできるお客さまは少ないです。合わなくて困っている方に、自分のサイズを知っていただけると、パンプスがちょっと近くなるのでは。ご提案だけでなく、しっかりとアフターケアもさせていただきます。中敷きも含めてフィッティングし、『履きなれるまでお時間が必要です』などとデメリットもお伝えします。何かあったらお持ちくださいとお伝えしていますが、実際に『最初は固かったけれど、今はゆるくなって踵が脱げてしまう』といらっしゃった方も。インソールを含めて、再調整しています」。
 秋からは、バレエシューズとローファーもレコメンドのラインアップに加えられ、さらに充実しそうだ。マイサイズスタジオに「お客さまがときめいてくだされば」と、田中さんは願っている。


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TEL:045・465・5142